『NVIDIA Jetson AGX Orin Industrial』モジュール発売中 高い堅牢性、248TOPSでXavierの8倍性能

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NVIDIAは今年の5月、「COMPUTEX 2023」で、過酷な環境にAIエッジコンピューティングを実現する新しい「Jetson AGX Orin Industrial」モジュールを発表した。この新しいモジュールは、前世代の NVIDIA Jetson AGX Xavier Industrial と Jetson AGX Orin モジュールの機能を拡張し、「組込みエッジAI」にサーバー並みの性能を堅牢なシステムをもたらす。

組込みエッジAIは、現場にAIの知能とリアルタイム処理を実現し、産業環境を変革している。エッジAIは、農業、建設、エネルギー、航空宇宙、人工衛星、公共部門などでの利用が進んでいる。そこで活用されているのが、GPUを搭載した超小型のコンピュータボード「NVIDIA Jetson」シリーズだ。
NVIDIA JetsonエッジAIやロボティクス プラットフォームを活用すれば、現場やモバイル環境向けにAIとセンサー フュージョン搭載のコンピューティングをデプロイすることができる。

●堅牢なアプリケーションにエッジを組込む

農業、工業生産、鉱業、建設、輸送などの用途に対応した多くのアプリケーションは、過酷な環境、長時間の衝撃や振動に耐えうることが求められる。

農業:

例えば堅牢なハードウェアは、幅広い農業の用途に不可欠であり、例えば重機は重い作業負荷に耐え、畑や林道を進み、様々な過酷な温度環境下でも継続的な動作が求められる。「NVIDIA Jetson モジュール」は、収穫、除草、選択的散布のための自律型トラクターやインテリジェント システムを駆動し、スマート農業に変革をもたらした。

鉄道:

鉄道では、列車が高速で走行する際に振動が発生する。また、列車の車輪とレールの相互作用により、断続的な振動や衝撃が更に発生する。そんな交通機関にも、物体検知、事故防止、メンテナンスコストの最適化などに Jetsonシリーズは活用されている。

鉱業:

鉱業もまた、Industrial モジュールの要件が活かされる分野です。例えば、Tage IDriverは、「Jetson AGX Xavier Industrial」を活用した車両、地上クラウド協調型、スマート鉱山用の無人輸送ソリューションを発表した。この無人採掘トラックには、オープンな鉱山環境でのさらなる堅牢性が求められる。NVIDIA Jetson モジュールは、LiDAR、カメラ、レーダーなどのセンサーを搭載しており、過酷な採掘環境で必要とされる正確な認識機能を実現する。

宇宙:

放射線レベルが大きな課題となる近/外宇宙では、信頼性の高い効率的な運用を実現するために、耐久性と耐放射線性に優れたモジュールの配備が不可欠です。多くの衛星会社はエッジに AI を導入しようとしているが、適切なコンピューティング モジュールを見つけるという課題に直面している。

●「Jetson Xavier Industrial」モジュールに対する放射線の影響を研究

欧州宇宙機関とバルセロナ スーパーコンピューティング センターは共同で「Jetson AGX Xavier Industrial」モジュールに対する放射線の影響について研究した。詳細については、ホワイトペーパー「Sources of Single Event Effects in the NVIDIA Xavier SoC Family under Proton Irradiation
」(英語)に記載があるが、彼らの放射線データでは、頑丈な筐体と組み合わせた「Jetson AGX Xavier Industrial」モジュールが、地球低軌道と対地同期軌道の両方に配備された熱的制約のある衛星の高性能演算に適した候補であることを紹介している。

Jetson モジュールは、これらの宇宙での用途の多くを変革しており「NVIDIA Jetson AGX Orin Industrial」は、これらの機能を拡大してきた。

●NVIDIA Jetson AGX Orin Industrial 登場

「Jetson AGX Orin Industrial」モジュールは、15〜75Wの間で構成可能な電力で最大248TOPSのAI パフォーマンスを提供する。「Jetson AGX Orin」とフォーム ファクターおよびピン互換性があり、「Jetson AGX Xavier Industrial」の8倍以上の性能をもたらすとしている。