子どもに反抗的な態度を取られると腹が立つこともありますが、親である自分は周囲に反抗的な態度をとってしまっていませんか?(写真:プラナ/PIXTA)

こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。

長い休みに入り、生活のリズムも崩れがち。親子の時間が増えるとともに衝突や行き違いの起きやすい時期でもあります。より良い関係を育てるための関わり方についてお伝えしたいと思います。

反抗的な態度や汚い言葉にどう対応する?

子どもに反抗的な態度を取られると、腹が立つこともあるでしょう。

「親に向かってなんて態度なの?!」と怒る前に、自分も同じことをしていないか振り返ることが大切です。子は、親の写し鏡とも言います。

反抗的な態度など、自分の子どもに対して取っていない、と不満に思う方もいると思います。確かに「子どもに対しては」していないかもしれません。しかし、自分の親やパートナーなど、他の家族等に向けられる言動を振り返ってみましょう。友人や知人もしくは、店員の方などに向けられた態度かもしれませんし、場合によっては、テレビに向かって悪態をつくケースなども含まれます。

子どもは本当によく見ているものです。子どもに対して、注意を促す前に、自分自身が「されて嫌だな」という言動を省みて、しないようにすることが根本的な改善策の一つになります。

もう一つは、いわゆる「反抗期」にあたる場合です。年齢も期間も個人差があると思いますが、この場合は「親を試している」ことが多いと、実際にカウンセリングをしている中でも強く感じます。

「私をもっと見て」というサインです。普段の調子で関わっていても見てもらえないので、あえて刺激的な態度を示すということです。極端な場合は、リストカットなどの行為に及ぶこともあります。なお、反抗期は、自我の確立とともに葛藤を覚え、どうしようもないイライラ感などもあり、関わり方ですべてが解決されるわけではありません。

この場合は、子どもとしっかり向き合うことが大切です。特に「忙しいから後にして」などと、子どもの話に耳を傾ける時間が少なかった場合は、顕著に表れますので、子どもと話をする時間を持つことが大切です。

短時間でもよいので、真摯に向き合うことが必要です。

子どもと話をするときのポイント

1.「○○が言いたいんでしょ」話している途中で結論を出さない

語彙の少ない子どもは、思うように言葉が出てこないものです。また、本心とは違う言葉を使ってしまうこともあります。先取せずに待ちましょう。

2.「それはだめよ」良し悪しのジャッジをしない

物ごとの正誤は、そう簡単に振り分けられるものではありませんし、感じ方に良し悪しを求めてしまうと、相手を否定してしまうことにもつながります。

3.「なんでそう思う(考える)の?」と理由を聞く

まずは、子ども自身が、なぜそう思ったのか、どうしてそのように考えるのか理由を聞き、子どもの理解度や意向を把握しましょう。

4.「○○なんだね。お母さんはこう思うよ」子どもの意向を聞いてから自分の意見を述べる

会話はキャッチボールです。打ち返すラリーになってしまわないよう、しっかり受け止めてから返球しましょう。

5.折り合えない場合は、お互いに譲れないポイントを示して、折り合う地点を探す

親子といえども、価値観の違いや譲れないポイントはあると思います。社会ルールなど明確な基準のある場合は、教えることが大切ですが、家庭のルールなどは、ささいなことでも、どこで折り合うかを話し合いで決め、実際にやりながら微調整を繰り返し、急がずにお互いに納得がいく形を探していくことが大切です。

言語獲得の過渡期にいる子どもたちは、とにかく新しく耳にした言葉を使いたがります。人前でははばかられるような言葉や、相手をさげすむような言葉は、ヒヤリとしてしまうのではないでしょうか。

意味がわからずに使っている場合や、大人の反応が面白くて使うこともあります。また、友達同士ではやっているとみんなが使うので、習慣化されてしまうこともあります。

単に言葉遣いが悪い、ひどい言葉を使うときは?

特に、「やばい」「うざい」「むかつく」など、一つの言葉でいろんな意味合いを持たせてしまう言葉を多用すると、それだけでやり取りが済んでしまい、語彙を増やす機会を失いがちです、

例えば、「やばい」は、「危ない・状況が良くないとき」に使う言葉ですが、今やよいことに対する意味で使用したり、最上級を意味する感嘆に使うことも散見されます。反対の意味にもとらえられる言葉を多用するのは、相手から誤解される危険性もあります。

また、「宿題がうざい」と言っている子どもは、内容が難しいのか、単に面倒なのか、とても量が多いのか、取り組む時間がないのか、そのほかにも意図があるかもしれません。

どういう意図で使っているのかを聞き、意味合いがわかったら、「こういうとわかりやすいよ」「きちんと伝わるよ」と親子の会話で語彙を増やすチャンスととらえていただけるとよいかと思います。余裕があれば、ほかにどんな言葉があるのか調べるのもよいと思います。日本語には、一つのことを表すのにも微妙に意味合いが違う、美しい言葉がたくさんあります。

親子で過ごす時間が増えている夏休みこそ、ちょっとした会話のやり取りの工夫をすることによって、よりわかりあえる関係性を築くことができると思います。親子だからこそ、「わかっている」という思い込みは捨て、「わかり合う」ための姿勢を大切に、親子関係をさらに豊かなものにしていきましょう。


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(大野 萌子 : 日本メンタルアップ支援機構 代表理事)