広瀬アリス、モットーは「いつでも逃げていい」 自分と向き合い休む大切さ実感 好きな自分に近づく努力も
●5年ぶりホワイト・ウィドウ役「大人な雰囲気を出せた」
シリアスからコメディまで幅広い役を演じ存在感を高めている女優・広瀬アリス。現在、NHK大河ドラマ『どうする家康』の於愛の方役を好演中だが、21日に公開を迎えたトム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』では、前作に引き続きホワイト・ウィドウの吹き替えを務めた。広瀬にインタビューし、5年ぶりにホワイト・ウィドウを演じた感想や、女優業への思いや転機、自身のモットーなど話を聞いた。
広瀬アリス 撮影:加藤千雅
トム・クルーズ演じるスパイ組織IMFに所属する主人公イーサン・ハントと彼率いるチームの活躍を描く『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作。全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すミッションを課せられたイーサンたちが、世界各地で命を懸けた熾烈な攻防を繰り広げる。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)に引き続き、闇の組織を操る美女ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)の吹き替え声優を務めた広瀬は、「ドラマや映画でも続編でまた同じ役を演じられるのはとてもありがたいことで、こうしてまたウィドウを演じられるのは光栄だなと思いました」と喜んでいる。
前作のときは自分の演技に納得できなかったそうで、「男性へのアプローチで女らしさを出したり、当時の自分は無理だったなと。『大人っぽく』と言われ、声のキーを下げてセリフを発していましたが、大人になりきれなくて悔しい思いをしました」と振り返る。
そして、この5年での自身の変化について「年齢と場数を重ねました」と述べ、自身の成長を生かして「5年前よりちゃんとウィドウに近づけたかなと思います」と手応えを口に。
「今年29歳になりますし、当時よりは大人な雰囲気を出せたと思います。いろんな作品を経験し、男性とのシーンを含め場数を踏んできたことで、引き出しが増えてきたのかなと」
2008年に女優デビューしてから15年。年齢とともに任される役が変わってきたことで、女優業のやりがいを改めて感じているという。
「私は圧倒的に学生役と新人役が多かったのですが、今は中堅の入り口ぐらいの役が多く、母親役も演じたり、今まであまり経験したことのない役がここから増えていくと思うとすごく楽しみです。同世代の方たちがプライベートで状況が変化しているのを見ると、自分もそういう年齢に差し掛かったのかと実感しますし、ここからどう新しい役に挑戦していこうかなと、30歳手前になって一気に楽しみになりました」
声の仕事に関してはいつも難しさを感じつつ、やり終えたときには達成感があるという。
「表情も動きもある中でお芝居することに慣れているので、声だけで表現するのはとても難しいですし、吹き替えになると日本人とは違うしゃべり方のテンポがあって、そこも難しさを感じます。声優さんは本当にすごいなと、職人だなと思います」
●仕事の幅の広がり実感 朝ドラの女芸人役が転機に
主演作を含めドラマや映画で重要な役どころを任され、さらにピン芸日本一決定戦『R-1グランプリ』で3年連続MCを務めるなど、活躍の幅を広げている広瀬。「大きなお仕事をいただけるようになったなというのは目に見えてわかっていて、うれしい気持ちはもちろんですが、挑戦してダメだったら次やらなければいいぐらいの気持ちで挑むようにしています」と語る。
新しいことにも愛情や興味を持ちやすい性格ということもあり、初めての仕事も楽しくできているという。
「最初は不安な役でも、台本を読んでいるうちに作品に愛情を持てたり、そういう気持ちが湧きやすいタイプなんです。バラエティも、私は収録に行くというより、芸人さんの面白い話を聞きに行こうみたいな、観覧の皆さんと同じような気持ちで参加しています(笑)」
生放送の『R-1グランプリ』のMCでは、芸人たちのネタに大笑いしていた姿が印象的だが、「あんなに緊張することってなかなかないというぐらい緊張しますが、年に1回ぐらい目バキバキになりながら仕事するのも楽しいかなと思っています」と語る。
そして、バラエティでの経験が女優業に生きることはあるか尋ねると、「メンタルが強くなりました」と笑顔で回答。今後も女優業が軸ではありつつ、さまざまな仕事に挑戦していきたいと考えている。
「楽しいことをやっていけたらいいなと。やるからには広く深く。MCやバラエティなど、女優業から1、2歩外れたところでも、深く頑張ってやっていきたいです」
役者人生の転機になったと感じている経験を尋ねると、「朝ドラは大きかったです」と女芸人・リリコを演じたNHK連続テレビ小説『わろてんか』を挙げた。
同作でコメディエンヌとしての才能が開花し、その魅力が広く世に知れ渡ることになったが、「女芸人の役で、関西弁で漫才をやらせていただいて、あれからコメディ色がつきました。いまだに『朝ドラ素晴らしかった』と言っていただくことがあって、初めて自分の中で挑戦というか我慢をして挑んだのですが、やってよかったなと。我慢というのは、たくさん飲みたいし食べたいところを、我慢してジムに行くようにしていて。地方に行くと太って帰ってくるとよく言われていたので、それを払拭しようと頑張っていました(笑)」と振り返る。
今後について尋ねると、「あまりこうなりたいと思ってしまうと、理想とのギャップにストレスを抱えてしまうので、楽しいことをやっていたいなと、それぐらいです」と回答。以前は目標を掲げていたが、20代前半の頃に理想を追い求めないようになったという。
「諦めることも大事だなと。思うようにいかないことがたくさんあって、現実そんなイージーじゃないと知り、目標はおまけぐらいで考えておいたほうが楽だなと思ってからは、一つ一つのお仕事を楽しもうという意識になりました」
●「少しずつ自分のことを好きになれている気がする」
自身のモットーを尋ねると、「『いつでも逃げていいんだよ』ということぐらいです」と述べ、「逃げ道を作ってあげないと人は頑張れないですし、さぼることは悪いことではなく、休むことも大事だということは常に頭に入れて生きています」と説明。昨年、自分自身と正面から向き合ったことで休む大切さを実感したそうで、「今は休む時間をお仕事以上に大事にするようにしています」と話した。
仕事の楽しさも改めて感じたようで、今は仕事と休みのバランスに気をつけながら活動しているという。
「この仕事がすごく楽しいから続けていますし、家の時間も大事だという発見があったので、家の時間も同じぐらい大事にしていきたいなと。引き締めるところは引き締めて、緩めるところは思いっきり緩めてあげるという切り替えを大事にしています」
心も体も健やかになれたという広瀬だが、以前から趣味の一つとして日々楽しんでいるのがエゴサーチだ。純粋にコメントを楽しみつつ、自分を客観視するのにも役立っているという。
「10代の頃からエゴサーチしています。自分のことは客観視できないので、客観視したいというところから始まって、今ではもう暇があるとエゴサーチしています(笑)。『この髪型似合っている』とか『ああいう服装が似合うんだね』というのは、人から見ないとわからないことなので、そういう情報を得たりもしています」
SNS上ではさまざまな意見が飛び交うが、否定的なコメントも「全然傷つかないです」ときっぱり。「知らない人には強いので(笑)。自分が納得できるような自分磨きをしているから、人に言われても気にならないのかなと思います」と話した。
そして、自分のことを認めてあげようという意識を持つことで、自分のことが少しずつ好きになれてきたという変化も明かしてくれた。
「自分の悪いところは自分が一番わかっているから、自分のことを完全に好きになるのは無理ですが、認めてあげたり受け入れてあげるだけでもだいぶ違うなと。それがいつしか自信に変わったり、『自分のこと好きかも』とプラスなマインドに変わっていくというのを身をもって経験しました」
さらに、「好きな自分やなりたい自分になれるように、毎日ちょっとだけの努力をするだけでいいんです」と続ける広瀬。
「例えば、夜ご飯は炭水化物を食べないとか、お風呂にちゃんと浸かってストレッチをするとか、お酒いつも3杯飲んでいるけど2杯にするとか、そんなんでもいいんです。それができたら自分を褒めてあげる。うぬぼれてあげるんです。自分のいいところを自分で褒めてあげるとすごく気分がよくなって心が強くなれるので」と言い、「少しずつ自分のことを好きになれている気がします」と素敵な笑顔で語ってくれた。
■広瀬アリス
1994年12月11日生まれ、静岡県出身。2008年、ドラマ『ファイブ』でデビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『探偵が早すぎる』、『七人の秘書』、『知ってるワイフ』、『ラジエーションハウス』、『恋なんて、本気でやってどうするの?』、Amazonプライム『失恋めし』、映画『AI崩壊』、『地獄の花園』、『七人の秘書 THE MOVIE』など。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』では於愛の方役を演じている。
シリアスからコメディまで幅広い役を演じ存在感を高めている女優・広瀬アリス。現在、NHK大河ドラマ『どうする家康』の於愛の方役を好演中だが、21日に公開を迎えたトム・クルーズ主演の映画『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』では、前作に引き続きホワイト・ウィドウの吹き替えを務めた。広瀬にインタビューし、5年ぶりにホワイト・ウィドウを演じた感想や、女優業への思いや転機、自身のモットーなど話を聞いた。
トム・クルーズ演じるスパイ組織IMFに所属する主人公イーサン・ハントと彼率いるチームの活躍を描く『ミッション:インポッシブル』シリーズ最新作。全人類を脅かす新兵器が悪の手に渡る前に見つけ出すミッションを課せられたイーサンたちが、世界各地で命を懸けた熾烈な攻防を繰り広げる。
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(2018)に引き続き、闇の組織を操る美女ホワイト・ウィドウ(ヴァネッサ・カービー)の吹き替え声優を務めた広瀬は、「ドラマや映画でも続編でまた同じ役を演じられるのはとてもありがたいことで、こうしてまたウィドウを演じられるのは光栄だなと思いました」と喜んでいる。
前作のときは自分の演技に納得できなかったそうで、「男性へのアプローチで女らしさを出したり、当時の自分は無理だったなと。『大人っぽく』と言われ、声のキーを下げてセリフを発していましたが、大人になりきれなくて悔しい思いをしました」と振り返る。
そして、この5年での自身の変化について「年齢と場数を重ねました」と述べ、自身の成長を生かして「5年前よりちゃんとウィドウに近づけたかなと思います」と手応えを口に。
「今年29歳になりますし、当時よりは大人な雰囲気を出せたと思います。いろんな作品を経験し、男性とのシーンを含め場数を踏んできたことで、引き出しが増えてきたのかなと」
2008年に女優デビューしてから15年。年齢とともに任される役が変わってきたことで、女優業のやりがいを改めて感じているという。
「私は圧倒的に学生役と新人役が多かったのですが、今は中堅の入り口ぐらいの役が多く、母親役も演じたり、今まであまり経験したことのない役がここから増えていくと思うとすごく楽しみです。同世代の方たちがプライベートで状況が変化しているのを見ると、自分もそういう年齢に差し掛かったのかと実感しますし、ここからどう新しい役に挑戦していこうかなと、30歳手前になって一気に楽しみになりました」
声の仕事に関してはいつも難しさを感じつつ、やり終えたときには達成感があるという。
「表情も動きもある中でお芝居することに慣れているので、声だけで表現するのはとても難しいですし、吹き替えになると日本人とは違うしゃべり方のテンポがあって、そこも難しさを感じます。声優さんは本当にすごいなと、職人だなと思います」
●仕事の幅の広がり実感 朝ドラの女芸人役が転機に
主演作を含めドラマや映画で重要な役どころを任され、さらにピン芸日本一決定戦『R-1グランプリ』で3年連続MCを務めるなど、活躍の幅を広げている広瀬。「大きなお仕事をいただけるようになったなというのは目に見えてわかっていて、うれしい気持ちはもちろんですが、挑戦してダメだったら次やらなければいいぐらいの気持ちで挑むようにしています」と語る。
新しいことにも愛情や興味を持ちやすい性格ということもあり、初めての仕事も楽しくできているという。
「最初は不安な役でも、台本を読んでいるうちに作品に愛情を持てたり、そういう気持ちが湧きやすいタイプなんです。バラエティも、私は収録に行くというより、芸人さんの面白い話を聞きに行こうみたいな、観覧の皆さんと同じような気持ちで参加しています(笑)」
生放送の『R-1グランプリ』のMCでは、芸人たちのネタに大笑いしていた姿が印象的だが、「あんなに緊張することってなかなかないというぐらい緊張しますが、年に1回ぐらい目バキバキになりながら仕事するのも楽しいかなと思っています」と語る。
そして、バラエティでの経験が女優業に生きることはあるか尋ねると、「メンタルが強くなりました」と笑顔で回答。今後も女優業が軸ではありつつ、さまざまな仕事に挑戦していきたいと考えている。
「楽しいことをやっていけたらいいなと。やるからには広く深く。MCやバラエティなど、女優業から1、2歩外れたところでも、深く頑張ってやっていきたいです」
役者人生の転機になったと感じている経験を尋ねると、「朝ドラは大きかったです」と女芸人・リリコを演じたNHK連続テレビ小説『わろてんか』を挙げた。
同作でコメディエンヌとしての才能が開花し、その魅力が広く世に知れ渡ることになったが、「女芸人の役で、関西弁で漫才をやらせていただいて、あれからコメディ色がつきました。いまだに『朝ドラ素晴らしかった』と言っていただくことがあって、初めて自分の中で挑戦というか我慢をして挑んだのですが、やってよかったなと。我慢というのは、たくさん飲みたいし食べたいところを、我慢してジムに行くようにしていて。地方に行くと太って帰ってくるとよく言われていたので、それを払拭しようと頑張っていました(笑)」と振り返る。
今後について尋ねると、「あまりこうなりたいと思ってしまうと、理想とのギャップにストレスを抱えてしまうので、楽しいことをやっていたいなと、それぐらいです」と回答。以前は目標を掲げていたが、20代前半の頃に理想を追い求めないようになったという。
「諦めることも大事だなと。思うようにいかないことがたくさんあって、現実そんなイージーじゃないと知り、目標はおまけぐらいで考えておいたほうが楽だなと思ってからは、一つ一つのお仕事を楽しもうという意識になりました」
●「少しずつ自分のことを好きになれている気がする」
自身のモットーを尋ねると、「『いつでも逃げていいんだよ』ということぐらいです」と述べ、「逃げ道を作ってあげないと人は頑張れないですし、さぼることは悪いことではなく、休むことも大事だということは常に頭に入れて生きています」と説明。昨年、自分自身と正面から向き合ったことで休む大切さを実感したそうで、「今は休む時間をお仕事以上に大事にするようにしています」と話した。
仕事の楽しさも改めて感じたようで、今は仕事と休みのバランスに気をつけながら活動しているという。
「この仕事がすごく楽しいから続けていますし、家の時間も大事だという発見があったので、家の時間も同じぐらい大事にしていきたいなと。引き締めるところは引き締めて、緩めるところは思いっきり緩めてあげるという切り替えを大事にしています」
心も体も健やかになれたという広瀬だが、以前から趣味の一つとして日々楽しんでいるのがエゴサーチだ。純粋にコメントを楽しみつつ、自分を客観視するのにも役立っているという。
「10代の頃からエゴサーチしています。自分のことは客観視できないので、客観視したいというところから始まって、今ではもう暇があるとエゴサーチしています(笑)。『この髪型似合っている』とか『ああいう服装が似合うんだね』というのは、人から見ないとわからないことなので、そういう情報を得たりもしています」
SNS上ではさまざまな意見が飛び交うが、否定的なコメントも「全然傷つかないです」ときっぱり。「知らない人には強いので(笑)。自分が納得できるような自分磨きをしているから、人に言われても気にならないのかなと思います」と話した。
そして、自分のことを認めてあげようという意識を持つことで、自分のことが少しずつ好きになれてきたという変化も明かしてくれた。
「自分の悪いところは自分が一番わかっているから、自分のことを完全に好きになるのは無理ですが、認めてあげたり受け入れてあげるだけでもだいぶ違うなと。それがいつしか自信に変わったり、『自分のこと好きかも』とプラスなマインドに変わっていくというのを身をもって経験しました」
さらに、「好きな自分やなりたい自分になれるように、毎日ちょっとだけの努力をするだけでいいんです」と続ける広瀬。
「例えば、夜ご飯は炭水化物を食べないとか、お風呂にちゃんと浸かってストレッチをするとか、お酒いつも3杯飲んでいるけど2杯にするとか、そんなんでもいいんです。それができたら自分を褒めてあげる。うぬぼれてあげるんです。自分のいいところを自分で褒めてあげるとすごく気分がよくなって心が強くなれるので」と言い、「少しずつ自分のことを好きになれている気がします」と素敵な笑顔で語ってくれた。
■広瀬アリス
1994年12月11日生まれ、静岡県出身。2008年、ドラマ『ファイブ』でデビュー。近年の主な出演作は、ドラマ『探偵が早すぎる』、『七人の秘書』、『知ってるワイフ』、『ラジエーションハウス』、『恋なんて、本気でやってどうするの?』、Amazonプライム『失恋めし』、映画『AI崩壊』、『地獄の花園』、『七人の秘書 THE MOVIE』など。現在放送中のNHK大河ドラマ『どうする家康』では於愛の方役を演じている。