2023年3月18日、JR京葉線(以下京葉線)に幕張豊砂駅が新たに開業しました。新習志野駅と海浜幕張駅の間に位置し、2013年開業の大型商業施設「イオンモール幕張新都心」はすぐ目の前。幕張豊砂駅誕生がもたらす効果と京葉線沿線の注目の街を紹介します。

幕張豊砂駅(筆者撮影)

イオンモール幕張新都心のアクセスがよりスムーズに 沿線駅の利便性が大きく向上

幕張豊砂駅よりイオンモール幕張新都心を望む(筆者撮影)

2023年3月18日に京葉線新習志野駅と海浜幕張駅の間に幕張豊砂駅が開業しました。1975年開業の京葉線の中で、18番目の駅となります。
「幕張豊砂」という新駅名は、1万4,715件の公募から選ばれたもの。古くからの地名である幕張を冠し、地域の地名である豊砂を加えることで周辺住民を含め愛着を持ってもらいたい、という思いが込められているようです。

幕張豊砂駅前では、ホテルの建設工事が進む(筆者撮影)

新駅開業の目的は、京葉線沿線の利便性を高めること。駅舎の建設費は、JR東日本、千葉県、千葉市に加え、駅前の商業施設を運営するイオンモールが負担しました。「イオンモール幕張新都心」は、約360もの店舗が入る大型商業施設で、これまでも千葉市内などの広域から多くの人を集めていました。新駅の誕生によって、今までのバスや車でのアクセスに加え、電車での動線がスムーズに。車を利用しない高齢者や子育て層の日中での買い物も便利になります。

イオンモール幕張新都心のアクティブモール(筆者撮影)

幕張地区は、今から50年前の1973年に埋め立て工事がスタートしました。1980年に工事が完了し1989年に幕張メッセが開業。1990年には京葉線の蘇我~東京の全線が開業し、千葉マリンスタジアム(現 ZOZOマリンスタジアム)や幕張テクノガーデンがオープンしました。

ZOZOマリンスタジアム(筆者撮影)

1995年には、住宅街区である幕張ベイタウンの入居がスタート。「職・住・学・遊」が融合した未来型の国際業務都市に向けて、幕張新都心は大きく発展をし続けています。

幕張メッセ(筆者撮影)

一方、海浜ニュータウンとして住宅地が形成された検見川浜駅や稲毛海岸駅などの住宅地は、高齢化が進むなど課題もあります。ワンストップで買い物や食事ができる商業ゾーンへ電車で気軽にアクセスできるようになることは、地域周辺だけでなく京葉線沿線広域にも生活利便性を向上させるというプラスの効果がありそうです。

イオンモール幕張新都心は新駅開業に合わせ大規模リニューアル

幕張豊砂駅を訪ねると、利便性が高まったことが実感できます。イオンモール幕張新都心のファミリーモールに面するバスロータリーが拡張され、交通の利便性が向上。屋根付きの遊歩道で駅とつながり、悪天候の中でもぬれることなく、スムーズにイオンモール幕張新都心にアクセスできます。

イオンモール幕張新都心の海浜幕張駅側の入り口(筆者撮影)

イオンモール幕張新都心は、海浜幕張駅に近いグランドモールと幕張豊砂駅にアクセスしやすいファミリーモール、その間のペットモール、南側にある体験型のアクティブモールからなります。食事や買い物だけでなく映画鑑賞やスポーツを楽しむこともできます。

イオンモール幕張新都心の外観ファサード(筆者撮影)

外観は、未来型国際業務都市にふさわしいシンプルでモダンなデザインに刷新。ブラウンを基調に、木質の温かみある素材や緑が映える植栽をアクセントに、幕張豊砂駅周辺の洗練された雰囲気を醸成しています。

イオンモール幕張新都心では、2023年春より約2年を通じて、段階的に全体の約3分の1にあたる約120店舗を刷新する大規模リニューアルを実施します。4月21に行われた第1期リニューアルでは、「ミライをつくり続けよう。now miraing!」をコンセプトに、グランドモールを中心に話題のライフスタイル型専門店やアウトドア専門店など新たに13店舗がオープン。移転改装を含め、46店舗が生まれ変わりました。

またグランドモール3階には、新たにキッズ・ファミリー向けの専門店が多数入店。千葉県産の木材を使用した木のぬくもりあふれる子どもの遊び場「もくいくひろば」も新設されています。小さな子どもがのびのびと遊ぶことのできる空間です。

イオンモール幕張新都心(筆者撮影)

新たな店舗もオープンし、アウトドア・スポーツ・レインウエア専門店「#ワークマン女子&ワークマンシューズ」が千葉県初出店。北欧デンマーク・コペンハーゲン発のファンライフスタイル雑貨ストア「フライング タイガー コペンハーゲン」も出店しています。約360店舗もあるだけに、同じカテゴリー内でも複数の店舗で買い物することが可能。核店舗としてイオンスタイル幕張新都心が入っており、効率的にショッピングが楽しめそうです。

イオンモール幕張新都心の案内(筆者撮影)

5月中旬の平日に施設内を訪ねましたが、お店の方に話を聞くと新駅開業で明らかに来店数が増えたとのこと。今までは、海浜幕張駅に近いエリアからの来店が多かったものが、幕張豊砂駅方面からの来店者が増えたそうです。休日はもちろん、平日の日中や遅い時間も来店者が増えており、新駅開業の効果は顕在化しているようです。

また、高齢者の来店や主婦層の買い物も増えている模様。鉄道が利用しやすくなったことで、幅広い層の来店に結びついているようです。リニューアルしたことで、館内通路も明るく開放的になっていました。

コストコホールセール幕張倉庫店(筆者撮影)

さらに駅周辺には、コストコホールセール、島忠ホームズ、ラウンドワンといった施設もあり、イオンモールからはZOZOマリンスタジアムへも歩いて行くことができます。新駅の誕生で幕張新都心の街の回遊性は、大きく高まっています。

豊砂公園(筆者撮影)

イオンモール幕張新都心には7,000台以上の駐車スペースがあり、車での買い物に便利でしたが、これからは電車利用の子育て層や高齢者なども利用しやすくなるでしょう。

京葉線沿線のアクセスが向上 隣駅の海浜幕張駅は新改札口も計画中

では、幕張豊砂駅の開業により、アクセスはどの程度向上したのでしょうか。海浜ニュータウンの稲毛海岸駅からは、日中の京葉線利用で幕張豊砂駅へは約7分でアクセス。検見川浜駅からは約5分の近さで、車を利用しなくてもイオンモール幕張新都心へ気軽に買い物に出掛けられます。実際、検見川浜駅から来たという高齢者から「買い物がしやすくなった」との声が上がりました。

海浜幕張駅前(筆者撮影)

留意したいのは、幕張豊砂駅には快速電車が停車しないこと。近隣のほかの路線と比べて京葉線は電車の本数が少ないほうですが、日中時はさらに減少します。たとえば、幕張豊砂駅で11時台、12時台の上りの各駅停車はそれぞれ4本(※)と、利用できる電車の本数は限られます。その点、東京方面への始発電車のある海浜幕張駅なら、快速と各駅停車あわせてそれぞれ6本(※)あります。1駅で電車の本数が違う点は留意すべきでしょう。
※いずれも2023年6月現在

海浜幕張駅の新改札予定地(出典:JR東日本リリース)

海浜幕張駅では、蘇我方面寄りに新たな改札口を設けることが決定し、2025年春の完成に向け工事が進められています。住宅街区である幕張ベイタウンに加え、新住宅街区である幕張ベイパークが街びらきしたことによる駅利用者の増加に対応するもので、完成すれば住宅街区からの駅アクセスも向上します。海浜幕張駅北口からは、バスでイオンモールへもアクセスできますが、新改札ができればさらに利便性が高まるでしょう。

海浜幕張駅の口コミや住みやすさを「TownU(タウニュー)」でチェック(無料・登録不要)

次に、幕張豊砂駅開業で注目が高まる京葉線沿線狙い目の街を紹介します。

幕張ベイタウン、幕張ベイパークの美しい街区が魅力の海浜幕張駅

住拠点として考えると、幕張豊砂駅開業の恩恵を最も受けるのは、海浜幕張駅でしょう。これまでは、車やバスでアクセス、電車なら海浜幕張駅からのアクセスだったイオンモールが、幕張豊砂駅からアクセスが可能に。これならライフステージが変化して、シニアになっても利用がしやすいでしょう。

幕張ベイタウンの街並み(筆者撮影)

もともと、海浜幕張駅に造られた幕張ベイタウンは、新しい時代のライフスタイルに対応した居住環境の実現を目指し、都心型の住宅を提案しています。住棟を沿道にそって並べ、低層部には商業・業務系の施設を配置することでにぎわいを演出。1995年の入居開始以降、9,000戸を超える住宅が供給され、2万5,000人を超える人が住んでいます。

幕張ベイタウンの街路(筆者撮影)

そして、2019年には、海浜幕張駅の新たな街として幕張ベイパークの街びらきがスタートしています。幕張ベイパークは、10年以上をかけて、総面積17万 5,809平方メートルの8区画に約4,500戸の住宅機能を整備し、約1万人が暮らす街を開発するプロジェクトです。

幕張ベイパーク(筆者撮影)

地区中央に位置する若葉3丁目公園(千葉市所有)を取り囲むように街区が設計され、多様な機能を併せ持つミクストユースのにぎわいある街づくりに。コミュニティー拠点「幕張ベイパーク クロスポート」を設けるなど、街のコミュニティーづくりも積極的に進められています。

幕張ベイパーク内の若葉3丁目公園(筆者撮影)

また、商業施設「イオンスタイル幕張ベイパーク」をはじめ食品スーパー、飲食店、生活雑貨店など、日常的に利用できる商業施設が充実。街区内には、クリニックモールなどもあり、安心して生活できる環境です。

幕張ベイパーク内の商業施設(筆者撮影)

分譲住宅街区としては、幕張ベイパーク クロスタワー&レジデンスや幕張ベイパーク スカイグランドタワーが竣工済みです。次いで販売された幕張ベイパーク ミッドスクエアタワーの売れ行きも堅調で2023年6月時点で全戸申込完売。街の成熟に伴って注目度が増しています。計画では、今後も新規分譲が続くので、比較的値頃感のある幕張ベイタウンの中古マンションと並行して検討してみてはいかがでしょうか。

街づくりが進む幕張ベイパーク(筆者撮影)

幕張豊砂から2駅、豊富な商業施設が集まる南船橋駅

もう一つおすすめしたいのが南船橋駅です。

南船橋は、1981年のららぽーと船橋ショッピングセンター(現在のららぽーとTOKYO-BAY)誕生以来、商業利便性の高い街として大きく発展してきました。2004年には、ビビット南船橋、2006年にはIKEA船橋(現在のIKEA Tokyo-Bay)といった商業施設が新たに開業。街の利便性が大きく高まり、大規模マンションの供給も相次ぎました。

ららぽーとTOKYO-BAY(筆者撮影)

商業施設が集積する南船橋駅から幕張豊砂駅へは、2駅約5分の近さになっています。南船橋の商業施設で話を聞くと、幕張豊砂駅が開業した2023年3月は客足がいつもより少なかったとのこと。幕張豊砂駅開業の影響があったのかもしれません。

現在、ららぽーとTOKYO-BAYでは北館の建て替え計画が進行中(北館の一部は現在閉鎖中)。詳細は未発表ですが、今後の展開に注目したいところです。

「(仮称)南船橋駅前商業施設計画」外観イメージ(出典:三井不動産リリース)

また、南船橋駅前では2023年11月の開業に向けて、ライフスタイル型商業施設「三井ショッピングパーク ららテラスTOKYO-BAY」の工事が進行中です。スーパーマーケット、飲食店舗、クリニックモール、ウェルネス関連などの全36店舗で構成。約5,000平方メートルの広場空間も設けられます。敷地面積は、約1万6,740平方メートル(約5,060坪)もあり、建物の構造は鉄骨造地上2階建て。高齢者や子育て層も利用しやすい空間になりそうです。

「(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」の建設地(筆者撮影)

さらに2024年春(予定)には、収容客数1万人規模のアリーナ「(仮称)LaLa arena TOKYO-BAY(ららアリーナ 東京ベイ)」も開業予定。音楽コンサートやバスケットの試合などに使われ、B.LEAGUE1部に所属する千葉ジェッツふなばしのホームアリーナとして活用されます。

パークホームズ南船橋の建設地(筆者撮影)

この南船橋駅では、駅周辺部の大規模マンションの中古物件が流通しています。さらに、新設される駅前芝生広場に隣接する場所で、全212邸の大規模レジデンスであるパークホームズ南船橋の第1期1次の販売が2023年6月中旬に行われました。第1期1次の価格は、2LDK~4LDKで4290万円~1億990万円(登録・抽選は終了)。手に届きやすい価格設定の住戸もあるので、以降の販売も注目を集めそうです。

南船橋駅の口コミや住みやすさを「TownU(タウニュー)」でチェック(無料・登録不要)

幕張豊砂の不動産会社の人に話を聞くと、幕張豊砂駅の新駅開業以前からコロナ禍による住宅ニーズの高まりによって海浜幕張駅など京葉線沿線の住宅価格は上昇傾向にあり、新駅開業の価格への影響は限定的だそうです。そういった意味では、京葉線沿線の駅徒歩圏の住宅は狙い目かもしれません。高齢化社会を迎え、コンパクトシティー化が進むのは時代の流れ。幕張豊砂駅はもちろんのこと、南船橋駅や海浜幕張駅など、新駅開業のプラス効果が見込める京葉線沿線の住宅にも注目してみてはいかがでしょうか。

【最短1分】東京近郊で引っ越し予定の人必見!
あなたにぴったりな「街」をTownU(タウニュー)で無料AI診断 ※対象エリア:首都圏主要駅