カルフールは地場系スーパーやネット通販との競争で苦戦していた。写真は北京市内の店舗(撮影:財新記者 張芮雪)

中国の大手スーパーマーケット・チェーン、家楽福中国(カルフール・チャイナ)の店頭で異変が起きている。同社は6月から、多数の店舗で会員顧客向けプリペイドカードの使用制限を開始した。それを聞きつけた会員が、カードの残額を使い切ろうと駆けつけると、店内の商品棚の多くが空っぽだったのだ。

財新記者は、北京や上海の複数の店舗を実際に訪れてみた。北京の店舗では、レジカウンターの前に掲示板を設置。「会員カードによる支払いは購入総額の20%までしか受け付けません。残額は他の決済手段で支払ってください」と顧客に告知していた。

上海のカルフール万里店は、2022年末までチェーン全店で最大の売り上げを誇る店舗だった。それが今や、生鮮食品売り場の水産物コーナーには商品がまったくなし。青果、精肉、冷凍食品コーナーも少量の商品が残っていただけで、菓子コーナーの棚もがらんとしていた。

中国資本傘下でも立て直せず

「事の始まりは、カルフールからの代金支払いの遅れを理由に、少数のサプライヤーが商品供給を停止したことだった。ところが、大手ブランドもそれに続くと、慌てたサプライヤーが次々に撤退した」

財新記者の取材に応じた大手日用品ブランドの販売代理業者は、店舗の異変の背景をそう明かし、次のように続けた。

「顧客がせっかく来店しても、買える商品がなければ、客はますます来なくなる。まさに悪循環だよ」

カルフールはもともとフランス資本で、28年前に中国に進出した。だが、近年は地場系のスーパーやEC(電子商取引)業者との競争で苦戦が目立ち、フランス本社は2019年6月、中国法人の株式の80%を中国の小売り大手の蘇寧易購集団(スーニン)に48億元(約948億円)で売却した。


本記事は「財新」の提供記事です

その後、蘇寧易購集団は不採算店舗の閉鎖を加速し、カルフールの経営立て直しを図った。買収後の2019年9月末時点で210店あった店舗数は、2023年3月末には114店と6割以下に減少した。それでも業績悪化を止められず、現下の惨状に至った格好だ。

(財新記者:孫嫣然,包雲紅)
※原文の配信は6月5日

(財新 Biz&Tech)