コロナ禍が収まり日常が戻りつつある中、交通利便性に優れた都心のタワーマンションに注目が集まっています。立地の希少性による資産性の高さが、注目度が増している理由の一つです。今回は、都心のタワーマンションの魅力と2023年度の注目プロジェクトを紹介します。

2022年度の首都圏新築マンション価格は最高値を更新 市場をけん引する超高層タワー

不動産経済研究所発表の「首都圏 新築分譲マンション市場動向2022年度(2022年4月~2023年3月)」によれば、2022年度の首都圏新築マンションの発売戸数は2万8,632戸。前期よりも12.9%減少し、2年ぶりの3万戸割れとなりました。

平均価格については6,907万円、1平方メートルあたりの単価は103.9万円となり、過去最高値を更新しました。初月契約率は70.7%と価格上昇にも関わらず、好不調の目安となる70%を上回っています。この好調なマンション市場をけん引しているのが、都心のタワーマンションです。

オフィスや住宅のない、ホテル×エンタメ施設の複合が特徴の「東急歌舞伎町タワー」(筆者撮影)

都市再生の動きが活発化する中で、JR山手線沿線をはじめ都心各所で再開発プロジェクトが進行中です。2023年4月には、国内最大級のホテル×エンタメ施設複合タワーである「東急歌舞伎町タワー」が新宿歌舞伎町に誕生しました。高さ約225メートルの建物内には、ホテル、映画館、劇場、ライブホールなどが入り、すでに多くの利用客でにぎわっています。

都市再生緊急整備地域及び特定都市再生緊急整備地域の指定状況(平成30年10月現在)(出典:東京都都市整備局)

この新宿エリアをはじめ、池袋、渋谷、東京、品川といった都心部は、都市再生の拠点として緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域である特定都市再生緊急整備地域に指定されています。そのため、都心エリアのタワーマンションでは、交通利便性だけでなく商業・文化・交流など再開発で付加される都市機能をより享受することができるのです。

「ブランズタワー豊洲(分譲済)」のグランドエントランスホール(筆者撮影)
「パークコート渋谷 ザ タワー(分譲済)」の36階住戸からの眺望(筆者撮影)

コロナ禍では郊外に目を向ける動きもありましたが、共働きで高年収のパワーカップルと呼ばれる層などを中心に、通勤時間の短縮や豊かなライフスタイルがかなう都心タワーマンションの注目度は上昇。2022年度に分譲されたマンションでも、浜松町や田町、目黒など、交通利便性の高い立地のタワーマンションは好調物件が目立ちました。

浜松町駅に直結する「WORLD TOWER RESIDENCE」の建設地(筆者撮影)

2023年度は、好調に販売が進んだ「HARUMI FLAG」のタワー棟である、地上50階建ての超高層タワー「HARUMI FLAG SKY DUO」をはじめ、都心エリアで注目のタワーマンションのラインアップがそろっています。今回は、2023年度に筆者が注目する都心のタワーマンションを5物件紹介します。

5物件の概要を簡単にまとめた一覧表は下記の通りです。それぞれの特徴や魅力について、紹介していきます。

※2023年6月7日時点。最新情報は各物件の公式ホームページで確認を

レインボーブリッジを望む地上50階建て超高層免制振タワー「HARUMI FLAG SKY DUO」

「HARUMI FLAG SKY DUO」 パビリオン内の模型(筆者撮影)

まず一つ目に挙げるのが、「HARUMI FLAG」のタワー棟として販売される「HARUMI FLAG SKY DUO」です。東京五輪の選手村として使われた、約18ヘクタールもの晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業地内で誕生する地上50階建て2棟構成のタワーレジデンス。街区全体の住戸数は、分譲と賃貸あわせて5,632戸のスケールです。街区内には小学校・中学校や商業施設も新設され、TOKYO BRT(Bus Rapid Transit)の発着場所となるマルチモビリティステーションも設置されます。

中央区晴海アドレスで、3方向が海に囲まれレインボーブリッジまで約1.5キロメートルという立地。人気を集めた板状棟は一部未販売住戸を残して成約済みですが、海やレインボーブリッジなどの都心風景が眼前に広がる景色は、超高層タワー地上50階建ての「HARUMI FLAG SKY DUO」ならではの魅力でしょう。

48階のSKY LOUNGE URBAN 完成予想CG(出典:公式ホームページ)

建物は免制震ハイブリッド工法で、長期優良住宅認定を取得。免震構造と制震装置を採用することで、地震に対する安全性を追求しています。各棟の48階には、ラウンジを設置。都市のきらめきやリゾートの開放感が楽しめる空間づくりです。

「HARUMI FLAG SKY DUO」のモデルルーム(筆者撮影)

住戸は、専有面積47.74平方メートル~161.12平方メートルの多彩な間取り。平均専有面積が約74平方メートルとゆとりがあり、標準タイプのリビングダイニングの天井高は約2.6メートルも。フルフラット設計で廊下幅やサッシ高も確保するなど、住み心地に配慮した工夫が随所に見られます。さらに、日本では初めてとなる蓄電池とエネファームの両方を全住戸に設置しています。

50階建ての超高層タワーですが、竣工予定は2025年秋。2024年春には商業施設の開業、小・中学校の開校、初夏には板状棟の入居も始まる予定でこれからの街の発展が楽しみです。なお、第1期の販売開始は現時点(2023年6月7日)で、2023年7月上旬予定です。

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豊島区最大級最高層の地上52階建てタワーマンション「グランドシティタワー池袋」

2つ目は、再開発で街が大きな変貌を遂げつつある豊島区東池袋に誕生するタワーマンション。豊島区最大級の総戸数878戸、最高層の地上52階建ての「グランドシティタワー池袋」です。

「グランドシティタワー池袋」の建設地(筆者撮影)

東京メトロ有楽町線「東池袋」駅から徒歩約1分、首都圏有数のターミナル駅「池袋」駅へも徒歩約8分という商業利便性の高いロケーションです。隣接街区には、豊島区役所も入るとしまエコミューゼタウンが立地。行政機能のほか、カフェやコンビニエンスストアなども入っています。

「グランドシティタワー池袋」の完成予想CG(出典:公式ホームページ)

再開発プロジェクトとして、低層部には公益施設や生活支援施設が入る予定。多世代がにぎわう豊かなライフスタイルをサポートします。周囲の道路なども整備される見込みで、「東池袋」駅と結ばれる地下通路の端に広場が設けられるなど、快適で安全な交通機能が生まれます。

高層階からは、池袋の高層ビル群や新宿方面も一望。住戸や共用施設からの景色も注目です。建物は、省エネ性能「ZEH-M Oriented」を備えています。完成は、2027年4月中旬予定。第1期の販売開始は、現時点(2023年6月7日)で2023年8月上旬予定です。 

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月島の商店街に面した地上58階建てのタワーマンション「グランドシティタワー月島」

3つ目は、月島もんじゃストリートとして有名な西仲通り商店街に面した敷地面積1万平方メートル超、地上58階建てのタワーマンション「グランドシティタワー月島」です。

都営大江戸線・東京メトロ有楽町線「月島」駅より徒歩約5分の地に、総戸数1,285戸のスケールで誕生。隅田川にほど近いロケーションで、親水性の向上や川の景観に配慮したシルエットになります。

「グランドシティタワー月島」の建設地(2022年11月筆者撮影)

中央区月島という下町ならではの魅力を享受するために、趣きある路地空間を街並みの整備の中で醸成。保育所やデイサービスなどの公益施設の機能も拡充します。こちらの物件もまた、省エネ性能「ZEH-M Oriented」を備えています。

「グランドシティタワー月島」の完成予想CG(出典:公式ホームページ)

銀座エリアに近いロケーションで、都心のビューも期待できそう。「月島」駅に加え都営大江戸線「勝どき」駅へもアクセスしやすく、職住近接がかなえられる交通アクセスも魅力です。完成は、2026年4月中旬予定。第1期の販売開始は、現時点(2023年6月7日)で2023年8月中旬予定です。

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西新宿五丁目の再開発街区に誕生する地上40階建て超高層「パークタワー西新宿」

4つ目は、「パークタワー西新宿」です。都営大江戸線「西新宿五丁目」駅徒歩約6分、東京メトロ丸ノ内線「西新宿」駅徒歩約10分に立地する、地上40階建て、総戸数470戸の超高層タワーマンションです。

「パークタワー西新宿」の完成予想模型(筆者撮影)

「パークタワー西新宿」が立地する新宿区西新宿五丁目は、4つの街区で再開発が行われる予定です。街道沿いの西新宿五丁目北地区では、2023年3月にオフィスと高級賃貸住宅が入る「住友不動産新宿ファーストタワー」が竣工。新宿副都心にふさわしいスタイリッシュな街並みを醸成しています。

「パークタワー西新宿」の位置図(出典:公式ホームページ)

「パークタワー西新宿」は、新宿中央公園まで歩いて約4分の西新宿五丁目中央南地区に位置しています。建物の特徴は、免震構造に加え、「ZEH Oriented」を取得した超高層ZEH免震タワーレジデンスであること。断熱性能を高め、高効率な設備等を導入することで、室内環境を維持し、大幅な省エネを実現しています。

「パークタワー西新宿」の建設地周辺(筆者撮影)

5階にはオーナーズリビングやゲストルーム、フィットネススタジオなど共用施設が充実。個室のスタディルームなども用意されています。23階にはスカイラウンジが設けられ、富士山も望めるダイナミックな景色が楽しめます。

住戸はワイドスパン中心で、専有面積42.48平方メートル~108.88平方メートル(全体概要、分譲済含む)の多彩なプラン。各フロアにはゴミ置き場だけでなく、食配ステーションや宅配ロッカーも設けられ生活利便にも配慮されています。

東京都と新宿区では、新宿グランドターミナル構想により新宿駅周辺地域の再整備を決定。東西デッキや地下の東西自由通路の整備など、歩行者中心のネットワークづくりに着手しています。既存ビルの解体はすでに始まっており、新宿駅を中心とした街の将来性も「パークタワー西新宿」の魅力です。

「パークタワー西新宿」の第1期販売は2023年4月に始まっており、追加販売を含め138戸の供給全戸に申し込みが入るなど好調な売れ行き。第2期は2023年6月下旬販売予定。2024年11月下旬竣工予定で2025年4月上旬入居予定となります(いずれも6月7日時点)。

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新宿御苑一望の地上35階建て制震タワーマンション「クラッシィタワー新宿御苑」

5つ目は、「クラッシィタワー新宿御苑」です。東京メトロ丸ノ内線「新宿御苑前」駅徒歩約4分の地に誕生する地上35階建て制震タワーマンション。施工は鹿島建設が担います。

「クラッシィタワー新宿御苑」の建設地(筆者撮影)

「クラッシィタワー新宿御苑」の魅力は、都心の憩いの場として多くの人に親しまれている新宿御苑に近いロケーションであること。地上35階建ての建物の上層階住戸や、27階の共用施設からは四季折々の新宿御苑の自然と新宿の高層ビル群のビューを楽しむことができるでしょう。

新宿御苑の大木戸門(筆者撮影)

総戸数280戸のスケールメリットを生かした共用空間も魅力。外構の植栽が窓面に広がる2層吹き抜けのギャラリーや現代アートを配したエントランスラウンジ、27階にはパークビューラウンジやロイヤルサロンなどの共用施設を配置。このロケーションならではの時間を満喫できます。

「クラッシィタワー新宿御苑」の現地案内図(出典:公式ホームページ)

住戸の専有面積は42.88平方メートル~208.17平方メートルで、間取りは1LDK~3LDK(いずれも全体概要、分譲済住戸含む)。ワイドスパンの開放的な間取りが多く、南方向の上層階からは新しい国立競技場も見えます。この立地ならではの景観は、「クラッシィタワー新宿御苑」に住まう魅力でしょう。なお、現時点(2023年6月7日)で、竣工予定時期は2024年11月、引渡可能予定時期2025年3月となっています。

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2023年はタワーマンションの当たり年

今から10年前の2013年は、新宿区富久町の大規模再開発「富久クロス」や月島駅直結の「キャピタルゲートプレイス」、北品川再開発街区「パークシティ大崎 ザ タワー」、豊島区役所と一体の再開発タワー「ブリリアタワー池袋」、湾岸エリアの大規模プロジェクト「スカイズ タワー&ガーデン」など、まさにタワーマンションの当たり年とも言える年でした。

「ブリリアタワー池袋」の外観(筆者撮影)

2023年は、浜松町駅直結徒歩約2分の地上46階建て「ワールドタワーレジデンス」が3月に第1期の販売がスタートして注目を集めるなど、タワーマンションの豊富なラインアップがそろう年と言えるかもしれません。2023年だからこそ出合えるマンションがあります。タワーマンションを狙うなら、この機会をぜひ生かしてみてはいかがでしょうか。

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