佐賀ダービー出走予定のネオシエル(c)netkeiba.com、撮影:高橋正和

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 日本ダービーから約2時間半後、佐賀競馬場でも“ダービー”が行われる。5月28日佐賀6Rは九州ダービー栄城賞(18時15分発走)。佐賀三冠の一冠目・佐賀皐月賞を制した馬がここも制するのか、はたまた巻き返し組や別路線組がダービー馬の称号を手に入れるか、という構図は九州の地でも同じだ。

 一冠目の佐賀皐月賞を勝ったのはネオシエル。近年、再び注目を集める九州産馬だ。九州産馬は21年にヨカヨカが北九州記念を勝ち、今年はイロゴトシが中山グランドジャンプを制覇するなどJRAの大舞台でも活躍。宮崎県生まれのネオシエルは、九州産馬限定の3歳重賞「たんぽぽ賞」でオバケノキンタ(JRA)と直線をいっぱいに使った追い比べの末、ハナ差2着と、JRA馬相手にも力を見せた。惜しくも勝利は逃したが、この勝負根性こそが強み。

 真島二也調教師補佐(真島元徳厩舎)は「山口勲騎手も言っていた通り気が悪くて遊ぶところがあるので、己との戦いかなと思います。相手がいれば、なかなか交わさせない根性があります」と、さがけいば公式インタビューで答えている。成績欄には1着以外の数字もいくつか並ぶが、実は「地元3歳馬」相手には無敗。敗れた相手は他地区の馬や年長馬で、二冠が期待される。

 佐賀皐月賞2着はテクノゴールド。管理するのは騎手時代に「キングシャーク」の愛称で親しまれ、地方通算5054勝を挙げた鮫島克也調教師だ。デビューしたJRAでは2戦ともに子息の鮫島克駿騎手が騎乗していた馬。末脚が武器で、佐賀皐月賞では4コーナーで内をすくって伸びてきた。前走はトライアルの鯱の門特別で、ここでは大外から伸びる王道の競馬で2着に2馬身半差をつけた。

 中1週となるが、「順調で、疲労も回復しています」と鮫島調教師。佐賀皐月賞の1800mから今回は2000mに距離が延び、その分だけ最初のコーナーまでの距離も長くなる。序盤に急かされる必要のないコースが追い風となるか。なお、鞍上は佐賀皐月賞に続き和田譲治騎手(大井)が務める。

 ミヤノウッドリーは佐賀生え抜きで、デビューから3連勝を果たした馬。重賞タイトルこそまだないが、常にこの世代で上位争いを演じ、佐賀皐月賞は出遅れながらも3着まで追い上げた。騎乗する山田義貴騎手は昨年デビューしたばかりながら3月には重賞初制覇を果たし、すでに100勝も達成。若手ホープがその勢いでダービーに挑む。

 また、エイシンレミーやイチノコマチも重賞ウィナー。アストライオスは「走る時と走らない時の差が激しくて、今回は鞍上の進言でホライゾネットを着用しようと思います」と手島勝利調教師。前走に続き兵庫から下原理騎手を呼び、変わり身が期待される。

 府中でも佐賀でも、ダービーの称号へかける関係者の思いは強い。九州で唯一、生き残った地方競馬場で5月28日、3歳頂上決戦が行われる。

(文・大恵陽子)