ステーブルコインの「テザー(USDT)」を発行しているTetherが2023年5月17日に、同月から純利益の最大15%をビットコインに投資する計画を発表しました。Tetherはビットコイン購入について、「準備金の多様化のための投資」と説明しています。

Tether to Further Strengthen Reserves Through Purchase of Bitcoin with Realized Net Operating Profits | May 17 2023

https://tether.to/en/tether-to-further-strengthen-reserves-through-purchase-of-bitcoin-with-realized-net-operating-profits/



Tether buys bitcoin with net profit to back USDT stablecoin

https://www.cnbc.com/2023/05/17/tether-buys-222-million-worth-of-bitcoin-to-back-its-usdt-stablecoin.html



Tether Bought $1.5 Billion Bitcoin, Will Buy More - Trustnodes

https://www.trustnodes.com/2023/05/17/tether-bought-1-5-billion-bitcoin-will-buy-more



アメリカドルとペッグされたステーブルコインである「テザー」の準備金を管理・運営しているTetherは今回の発表で、準備金の多様化のために純利益の15%をビットコイン購入に充てる考えを示しました。

Tetherはビットコインの購入額を、同社の全体的な利益のごく一部に過ぎない水準にするとしており、超過利益の大部分は銀行手数料を含む事業運営費に充てられるとのこと。



Tetherの広報担当者はメディアに対し、「ポートフォリオにおけるビットコインの価値を、2023年第1四半期末時点で計上された24億8000万ドル(約3400億円)の余剰準備金を大幅に下回る水準に保つことが目標です」と話しました。

テザーの記事作成時点の時価総額は820億ドル(約11兆2700億円)で、ステーブルコインとしては最大です。また、Tetherは「テザーの価値を裏付ける準備金の85%は現金やアメリカの国債といった流動性の高い資産で占められている」ことや、「準備金としてこれまでに15億ドル(約2000億円)相当のビットコインを保有している」ことを明かしていますが、利益の15%で追加購入されるビットコインはテザーの裏付けではなく余剰準備金として扱われるとのこと。

Tetherで最高技術責任者を務めるパオロ・アルドイーノ氏は、「世界初にして世界最大の仮想通貨に投資するという決定は、ビットコインの投資資産としての強さと可能性に裏打ちされたものです。ビットコインは、その回復力を継続的に証明しており、大きな成長の可能性を秘めた長期的な価値の貯蔵庫として頭角を現しています。ビットコインへの投資は、当社のポートフォリオのパフォーマンスを向上させるだけでなく、私たちのビジネスや生活のあり方を変える可能性を秘めた革新的なテクノロジーと連携する手段でもあるのです」と述べました。



2023年5月に発表した2023年第1四半期保証報告書で、Tetherは純利益が14億8000万ドル(約2000億円)に達したことを報告しており、その15%は2億2200万ドル(約300億円)です。Tetherの純利益は今後の業績によって変動しますが、直近の業績が今後も続くと仮定するとTetherは四半期ごとに最大約2億2200万ドル、毎月約7000万ドルのビットコイン(約100億円)を買い増す計算になります。

ニュースメディアのCNBCは「この動きは、Tetherをさらに大きなビットコインの保有者とするもので、これによりTetherは『トークンは通貨安やインフレの影響を受けない』との考えにより仮想通貨などを大量に備蓄している著名投資家に追随することになるでしょう。アナリストや投資家は以前、CNBCに巨額の資金力を持つ市場参加者、いわゆる『クジラ』の影響により2023年のビットコイン相場が勢いを増す可能性があると語っています」と述べました。

また、デジタル金融関連のニュースを扱うTrustnodesは、「Tetherによる購入額は巨額ではありませんが、継続的な需要圧力が新しく追加されることになるので、ビットコインをより強気なバイアスに傾ける可能性があります」と分析しました。