(撮影=MASAHIRO YAMADA)

4人組ロックバンドのONE OK ROCKが5月13日、北海道・札幌ドームで『ONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR』のツアーファイナル公演を行った。ツアーは最新アルバム『Luxury Disease』を引っ提げ、2023年1月28日の愛知・バンテリンドーム ナゴヤ公演を皮切りに、福岡、大阪、東京、埼玉、北海道の6都市をまわるというもの。ライブはアルバム『Luxury Disease』を中心に「The Beginning」、「完全感覚Dreamer」などヒット曲を網羅したセットリストでオーディエンスを楽しませた。声出し解禁でライブならではの一体感に満ち溢れていた東京ドーム公演2日目(4月5日)の模様を以下にレポートする。

またこのステージに舞い戻ることができて良かった

開演時刻になり会場は暗転。SEに続いてTOMOYAのドラムがけたたましく鳴り響く。そして、TORUとRYOTAは客席アリーナ後方から登場し、メインステージへと向かっていく。そして、最後にTAKAも客席から登場し、花道を通りメインステージへと移動。テンションが上がる登場にヒートアップするオーディエンスの歓声が高揚感を高めるなか「Wonder」でライブの幕は開けた。抑揚のあるサウンドで、一気に会場をONE OK ROCKの世界観へと導いた。続いて、最新アルバム『Luxury Disease』の1曲目に収録されている「Save Yourself」へ。4人のアティチュードが込められたナンバーで、オーディエンスのテンションはさらに上昇していく。

TAKAが「今日の答えを探しに行こう」と投げかけ披露された「アンサイズニア」では、オーディエンスによるシンガロングとクラップで、ライブの一体感は爆発的に高まっていく。この瞬間、ライブの醍醐味であるメンバーとオーディエンスとのエネルギーのキャッチボールの素晴らしさを感じさせてくれた。

TAKAは「皆さんが喜んでもらえるようなセットリストを持ってきました。昨日は昨日、今日は今日、今日しか出せない、この雰囲気全部まとめて僕にぶつけてください」と、今日というライブに臨む姿勢を語り「Let Me Let You Go」へ。ビートに合わせオーディエンスが身につけているシンクロライトが、色を変化させ幻想的な景色を作り出していた。

そして、TAKAのエモーショナルな歌声が印象的に響き渡った「Clock Strikes」。オーディエンスのシンガロングをバックに、TAKAのロングトーンがけん引。TAKAのそのロングトーンは永遠に続くのではないかと思えるほど伸びやかだ。そして、オーディエンスのペンライトで白く染まる会場を見渡し、笑顔を覗かせるTAKAの表情も印象的だった。

そして、MCコーナーへ。

TORUは、「久々にこの景色を見て大興奮しました。できること全部やって帰ろうと思います。最後までよろしくお願いします!」と意気込みを覗かせ、RYOTAは、「前回の東京ドーム、緊張しすぎて全然楽しめてなかった。自分が思うようなパフォーマンスができなくて悔しかったけど、今日はすでにめちゃくちゃ楽しいです。最高の思い出作って帰りたいので、最後までよろしく!」と今の気持ちを伝える。

TOMOYAは、「めちゃめちゃ楽しい。みんなの声が返ってくるのが感動的です。最後まで行けますか?

行けんのか!」と煽れば、TAKAは、「皆さんお待たせしました。前回の東京ドーム公演は悔しくて、終わった後に泣いたんです。今日こうやってまたこのステージに舞い戻ることができて良かったなと思います。色々つらい日々がみんなにもあったでしょう。今日はそれを全部俺らに渡して下さい。それを全部還元して返してあげるから」と、頼もしい言葉に続いて届けられたのは1stアルバム『ゼイタクビョウ』に収録されている「カゲロウ」を披露するという、なんとも胸が熱くなる展開だった。

そして、「コロナ禍でたくさん泣いたけど、この曲でストレスを発散したいと決めてきました!」と話し「Mad World」、続いてTORUのソリッドなギターサウンドによるイントロが心地よい「Vandalize」、そして、バラードナンバーの「So Far Gone」と最新アルバムに収録された楽曲たちを惜しみなく披露。

MCでは、最近あまりやっていなかった楽曲についての話題に。絶対にやらないという振りのなか、TORUは自ら「努努-ゆめゆめ-」のギターを弾き始め、ノリノリでワンコーラスを披露するというサプライズも。“〇〇しないバンド”というイメージがあると語るTAKA。その中でも2008年にリリースされた2ndアルバム『BEAM OF LIGHT』の収録曲は絶対にやらないと話す中、「でも何かのタイミングであるかもしれない。だからその日が来るまで、ずっと俺らのファンでいてね」と会場を和ませた。

みんなに日本の未来の光になってほしい

しっとりと「Heartache」を届け、Official髭男dismの藤原聡とのコラボで話題となった「Gravity」では、花道の先端で歌唱するTAKAの両サイドから紙吹雪が盛大に舞い上がる演出で聴かせてくれた。楽曲の世界観をより一層引き立てる演出に、楽曲が終わるとオーディエンスから盛大な拍手が送られた。そして、メンバー3人によるインストナンバーからアルバム収録曲の中でも少々異質な雰囲気を持つ「Neon」へと流れ、シアトリカルなナンバーで、オーディエンスを盛り上げていく。

そして、盛り上がり必至の「Deeper Deeper」でライブは後半戦へ突入。オーディエンスの声の圧もさらに増している。TAKAの「最高に気持ちいいことしようぜ」という言葉に嘘偽りのないパフォーマンスを提示。続いて披露された「Renegades」は、ステージ上はスモークで白く染まるなか、客席は対照的に真っ赤に染まるというコントラストが印象的。バンドのスケール感の大きさを感じさせてくれたサウンドと、新しい時代を開拓していくというバンドの強い意志が感じられるなか、盛大なシンガロングがドームを席巻した。

TAKAは、「このドームツアーでみんなに対してメッセージを見つけて投げかけたい」と語る。

「このツアー中に、人生は1本の紐みたいだなと感じる瞬間がたくさんありました。1回きりの人生の中で、人間というのは生きてきた証とか、自分が残したい結果を証明していきたがるところがあると思います。その紐に固結びを作って『俺は死ぬまでにこれとこれを残してきました』とみんなに見せびらかして死ぬみたいな人生ゲームみたいなさ。もちろん生きていればそれは大事なことだと思う。でも、俺はこの何年かで一つ感じたのは、人生って固結びを作ることだけじゃないよなって。時にはそれを解いたり、緩めたりすることも大事なんじゃないかなと感じたわけです」。

続けて、「そう感じた時にふと世の中を見ると、世界をよくしようとしている人たちがいつまで経っても固結びばかり考えて生きているような気がしてならないんです。それはただの違和感なのかもしれません。そんなことだけを考えて生きてる人間たちが集まって世の中を良くしようと思っても、きっと世の中は良くならないんじゃないかと。そういう人たちにステージ上やSNSで『この野郎!』と言ってもいいと思う。でも、言っても変わらないこともあって、変わらないのならば何をしなければいけないのかというと、自分たちにできることを全力で見せることしかない」。

「自分が35歳になって感じるこの環境はすごく恐ろしいです。実は怖くてたまらない。でも君たちはまだそこにも到達してないかもしれないからこそ、僕はあなたたちに日本の未来の光になってほしいんです。決して人生が固結びだけでできているということだけではなくて、ちゃんとそれを届けたりする勇気を持って、そんな優しい人間に皆さんたちになってもらいたいと思っています。僕らはしょうもないクソロックバンドですけど、このクソロックバンドが東京ドームのステージで、皆さんたちに勇気を持ってこうやって言葉を発信したことで僕ら自身も救われます。愛を持って生きていってほしいと思います」と語り、明日への希望に繋がるバラード「Your Tears are Mine」を届けた。

皆さん達に会える機会をこれから増やしていきたい

サポートメンバーのGakushi(Key)による美しいピアノの旋律から「The Beginning」、「キミシダイ列車」とアグレッシブなナンバーを立て続けに投下。TAKAは「一回きりの人生絶対無駄にするなよ!」とメッセージを送ると、オーディエンスの歓声もリミットを超え、さらにボリュームは上がっていく。それに対してTAKAは「上出来だな」とオーディエンスのリアクションを称えた。

TAKAは、「今この世ははっきり言ってどうしかしてるよ。もう俺から見てもどうかしてる。だからこそ(みんなには)真っ直ぐに生きてほしい。次の曲はいろんな思いで18歳に向けて書いた曲で、まっすぐにみなさんに届けたいと思います」と熱く語り「We are」を披露。曲中でTAKAが、「お前の中にある違和感を信じろ、違和感はお前らを救ってくれる」と、生きるための道標ともなる言葉を投げかける場面もあり、より彼らのメッセージが胸に響く。

「次、東京ドームに帰ってくるのいつだろうな?

わかんないな。たまにしか会わないからこそ、自分たちの思いを正面からぶつけられるのかもしれないけど、もっともっと皆さん達に会える機会をこれから増やしていきたいと思います」と嬉しい言葉に続いて届けられた「Wasted Nights」。オーディエンスの声が一つになって多幸感あふれる空間を作り上げた。TAKAのアカペラによる歌声は、確実にこの場所にいる全ての人の心を揺さぶった。

アンコールは「When They Turn the Lights On」でスタート。情感たっぷりにダイナミックに歌い上げ、続けて「Stand Out Fit In」へ。サビではオーディエンスもビートに合わせ、身体を軽快に弾ませ楽しんでいる姿が印象的だ。TAKAはこの至高の空間に「最高だ!」と叫んだ。

TAKAは「TORUが今日、『努努-ゆめゆめ-』をやって男気見せたからボーカリストとしてはTORUに全部持っていかれるわけにはいかない。この時期だからこそこれしかないか。35歳になってまだ“感覚”で生きているからな!」と述べ、「完全感覚Dreamer」を投下。この日の全てをぶつけるかのようなパフォーマンスに、オーディエンスの振り上げる拳も声もボルテージが最高潮のなか、大団円を迎えた。TAKAは去り際に「見たか!

これが35歳になったONE OK ROCKだ!!」と力強く告げ、東京ドーム2daysを締め括った。

約5年ぶりとなった東京ドーム。多くのオーディエンスとともに作り上げた圧巻の一夜だった。彼らのキャリアも結成から18年、円熟したロックサウンドを轟かせてくれた。アメリカへのブレイクスルーとなるアルバム『Luxury Disease』の持つエネルギーを存分に感じさせてくれた。とにかく真っ直ぐに自分たちがやるべきことを真摯に体現したライブで、未来への期待感は留まることを知らない。セットリスト「ONE OK ROCK 2023 LUXURY DISEASE JAPAN TOUR」4月5日@東京ドーム- OPENING SE -01.Wonder02.Save Yourself03.アンサイズニア04.Let Me Let You Go05.Clock Strikes06.カゲロウ07.Mad World08.Vandalize09.So Far Gone10.Heartache11.Gravity12.Neon13.Deeper Deeper14.Renegades15.Your Tears are Mine16.The Beginning17.キミシダイ列車18.the same as"*19.We are20.Wasted Nights- ENCORE -21.When They Turn the Lights On22.Stand Out Fit In23.完全感覚Dreamer