再就職手当とは? 受給するための要件や手続き、受給額の相場などを解説!
雇用保険の基本手当(失業手当)の受給決定後、就職が決まった場合に再就職手当を受けられる可能性があります。再就職手当を受給できれば、失業によって一時的に減った収入を補えるため、受給要件や受給額などの確認が大切です。今回は、再就職手当の受給要件や手続き、受給額の計算方法について解説します。
再就職手当とは
再就職手当とは、基本手当の受給が決定したあと、早期に就職が決まった場合に受けられる手当のことです。再就職は正社員に限らず、派遣社員として就職する場合や、個人事業主として事業を始めた場合でも要件を満たせば受給可能です。
なお、再就職手当は「ハローワーク就職祝い金」と呼ばれることもあります。
再就職手当を受給する要件とは?
再就職手当を受給するには、一定の要件を満たす必要があります。ここでは、各要件の内容について解説していきます。
待期期間の満了後に就職または事業を開始
基本手当の受給手続きを完了したあと、給付開始までに7日間の待期期間があります。待期期間が過ぎて給付開始となったのち、就職または事業を開始することが再就職手当を受給する要件の一つです。
なお、仕事をして失業状態ではなかった日や、失業の認定を受けていない日は待期期間に含まれないので注意が必要です。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上
就職または事業開始日の前日までに失業認定を受け、その時点で基本手当を受給できる日数が、所定給付日数の3分の1以上残っている必要があります。所定給付日数に関しては、基本手当の受給資格者の年齢や、被保険者であった期間などによって定められています。
離職前と同じ会社に再び就職していないこと
離職前と同じ会社に再就職した場合は再就職手当の対象外となります。離職前の会社の子会社や関連会社など、資本や資金面などで密接な関連がある会社に再就職した場合も対象外なので注意してください。
給付制限がある場合はハローワークなどの紹介により就職していること
自己都合など離職理由によっては、7日間の待期期間が満了したのちも、基本手当が支給されない給付制限期間があります。そのような給付制限がある人は、待期期間満了後の1ヶ月間はハローワーク、もしくは職業紹介事業者の紹介によって就職した場合のみ、再就職手当の対象となります。
1年を超えて就業することが確実であること
再就職した会社で1年を超える就業が確実と認められる必要があります。ただし、契約時の雇用期間が1年以下の場合(派遣スタッフや契約社員など)でも、契約更新の見込みがあれば支給対象となる可能性があります。
なお、契約更新にあたって、一定の目標達成が条件付けられている場合は該当しません。
雇用保険の加入者になっていること
原則として、再就職先で雇用保険の被保険者になる必要があります。雇用保険に加入するには、勤務開始から31日以上働く見込みがあること(31日未満の雇い止めの明示がない場合も対象)、週に20時間以上働くことなどの要件があります。
過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
過去3年以内に再就職手当(事業開始にかかるものも含む)または常用就職支度手当を受給した人は対象外となります。常用就職支度手当とは、障害などにより就職困難な人が、1年以上の雇用が確実な職業に就いた場合に支給される手当のことです。
受給資格決定前から採用が決まっていた就職先でないこと
基本手当の受給資格決定前から採用が決まっていた会社への就職は対象外です。たとえば、前職を辞める前から転職活動をし、すでに採用の通知をもらっている企業で働いても、再就職手当の対象にはなりません。
再就職手当の支給決定の前に離職していないこと
再就職手当の支給が決定する前に、再就職先を離職している場合は対象外です。また、すでに離職予定の場合も対象外となります。
再就職手当の受給手続き
ここまで再就職手当の要件について説明しましたが、ここでは受給手続きについて解説します。具体的な手続きの流れと、再就職手当を受け取れる時期を紹介するので参考にしてください。
手続きの流れ
再就職手当の手続きの流れは次のとおりです。
1.採用証明書または開業届など、再就職を証明する書類をハローワークへ提出します。雇用保険受給資格者証や失業認定申告書、印鑑なども必要です。
2.再就職手当支給申請書を受け取り、事業主の証明欄を再就職先で記入してもらいます。
3.再就職手当支給申請書と雇用保険受給資格者証を提出し、再就職手当の申請をします。提出期限は再就職の翌日から1ヶ月間です。
手当を受け取れる時期
申請をしたあと、ハローワークの審査で問題がなければ再就職手当を受給できます。再就職手当の申請から1ヶ月程度で指定した口座に振り込まれるので確認しましょう。
再就職手当の受給額は?
再就職手当の受給額は基本手当や支給残日数などによって決まるため、相場があるわけではありません。ここでは、受給額の計算方法や計算例を解説します。
再就職手当の計算方法
再就職手当は「基本手当日額×支給残日数×給付率」で計算します。基本手当日額には上限があり、離職時の年齢が60歳未満の人は6,190円、60歳以上65歳未満の人は5,004円です。
給付率は所定給付日数によって60%または70%に分かれます。所定給付日数の3分の1以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の60%、所定給付日数の3分の2以上の支給日数を残して就職した場合は支給残日数の70%です。
所定給付日数と支給残日数は次のとおりです。
再就職手当の計算例
基本手当5,000円、所定給付日数90日の人が、待期期間満了後40日目の給付制限中に就職した場合、支給残日数は90日なので次の計算式となります。
5,000円×90日×70%=31万5,000円
次に、基本手当5,000円、所定給付日数270日の人が、受給資格決定日から100日目に就職した場合、支給残日数は178日(※)なので次の計算式となります。
5,000円×178日(※)×60%=53万4,000円
※待期期間が受給資格決定日を含め7日間あり、就職日の前日までの支給日数が92日分となるため、270日(所定給付日数)-92日=178日(支給残日数)です。
まとめ
再就職手当とは、基本手当の受給資格を満たしている人が早期に再就職した場合に支給される手当です。再就職手当を受給するには要件を満たす必要があります。受給金額は基本手当の支給残日数などによって異なるため、自分の状況に合わせて計算してみましょう。