クルマに乗っていると、国道や大通りを中心に、「すぐ次の信号に引っかかった」という体験をすることがあります。実はこれ、信号機のプログラムによるものかもしれません。

「飛ばすだけ損」信号機のカラクリ

 国道や大通りを走っていると、信号機が連続する区間で、「青になって、ちょっと走ったら、また赤信号に引っかかった」という経験をしてイライラすることもあるかもしれません。

 実はこれ、「運の巡り合わせが悪い」とはあながち言えず、ある意味必然であるかもしれません。その秘密が信号機の「系統制御」というものです。


すぐ次の赤信号に引っかかってしまう理由とは(画像:写真AC)。

 系統制御とは、隣り合う複数の信号機を連動させて制御する仕組みのことです。一般的には「線制御」という方法で、主要幹線道路で連続する信号機を連動させる方式が使われます。中には「地域制御」として、面的に複雑な制御をしているところもあります。

 基本的には、「一定の速度で走れば、先の信号はちょうどいいタイミングで青信号となる」ように制御されています。速度と信号間の距離から時間を割り出して、信号の変わるサイクルをずらし、交通の流れを円滑にしているのです。

 一方、信号を青のうちに通過しようと急加速して走っても、系統制御のサイクルからずれてしまい、結局は次の赤信号に引っかかって、ゆっくり走ったのと変わらない――といったケースも起こり得ます。また、朝は上り線が、夕方は下り線が混むため、制御のあり方が時間帯によって異なるところも。こうした仕組みから、「やけに赤信号になる」と感じることもあるかもしれません。

「いま飛ばせばギリギリセーフ!」を防ぐ仕組みも

「どう頑張っても赤信号に引っかかる!」というのは、「短気なドライバーに暴走させない」といった明確な意志をもって警察が信号制御しているパターンがあります。

 信号制御システムは人間の心理をふまえた、いろいろな仕組みが開発されています。一般社団法人 交通工学研究会はそのうちいくつかを紹介しています。

 まずは「ジレンマ感応制御」。黄信号になる直前にクルマが停止線ギリギリにいた場合、「あっ、信号が変わる!」と急停止しても危ないですし、そのまま通過しても信号が変わったあとに停止線を越えてしまいます。こういった「ジレンマ・ゾーン」にいるクルマを自動で感知して、青信号表示を少し延長してあげるのが、ジレンマ感応制御です。

 道路交通法上、停止線ギリギリでどうしても停まれない場合は、赤信号までに停止線を越えてそのまま進行してもいいとされています。後続車が「前の車がそのまま進行すると思ったのに、急停止した」として追突する事例が多いため、頻発する交差点を中心にこういった制御が導入されています。

 また、もっと直接的な「高速感応制御」というものがあります。一定速度以上で走るクルマを感知すると、その先で赤信号に引っかかるようにサイクルを調整するものです。

 そのほか、バスが通りがかると自動的に青信号にする「公共車両優先システム」や、救急車・パトカーなど緊急車両がスムーズに通行できるように青信号にする「現場急行支援システム」もあり、複数の自治体で導入されています。