「軽自動車なので軽油を入れた」。こう思い込んでいる人が、実はそれなりにいるようです。各所で注意喚起が行われていても、未だに誤給油が後を絶ちません。

軽自動車の“軽”は“軽油”の略ではない!

「軽自動車には軽油」。このように思い込んでいる人が少なくないようです。軽自動車の多くはガソリンですから、こうした誤給油は重大な不具合につながりかねません。


「レギュラーガソリン=赤」「ハイオクガソリン=黄」「軽油=緑」ノズルの色で燃料の種類は分かれている(画像:写真AC)。

 JAF(日本自動車連盟)が2022年12月、同年10月に発生した燃料の入れ間違いによる出動件数を発表しました。それによると、1か月のあいだに105件出動、うち「ガソリン車に軽油」を給油してしまったケースは全国で57件あったそうです。現場でのヒアリングでは、「レンタカーを借りて普段の車両と違ったため」「軽自動車なので軽油を入れた」といった回答が聞かれたといいます。

 SNSでは、修理業者が顧客の代車として軽自動車を貸したところ「燃料は軽油ですか?」と言われ驚いたという話や、実際に軽自動車に軽油を入れた顧客に対応したディーラーの話などを確認できます。

 こうしたトラブルを避けるため、セルフサービスのガソリンスタンドでは「軽自動車への給油は行わないでください」と軽油の給油ノズルの近くに注意書きを貼っているところもあるほどです。

ベテランほど注意? “軽油だろう”という危険な思い込み

 一方、JAFの調査によると、軽油を使う「ディーゼル車にガソリン」を給油してしまった件数も1か月で39件あったとか。

 こちらはむしろ、ベテランも注意が必要かもしれません。ガソリン、ハイオク、軽油(ディーゼル)の違いを理解しているドライバーでも、そのときたまたま使用した商用車でガソリンなのにも関わらず「貨物車だから軽油」と思い込みで入れてしまった例や、逆に「借りた欧州車だけど多分ガソリン車だろう」と入れたところクリーンディーゼル車だったというケースも聞かれます。

 なお、JAFでは誤給油を防ぐポイントとして、セルフスタンドの給油ノズルカバーが「レギュラーガソリン=赤」「ハイオクガソリン=黄」「軽油=緑」と決められていることを挙げ、「燃料の種類と給油ノズルの色を確認してほしい」としています。また、レンタカーなどでは、給油口の蓋にクルマの指定油種を記したステッカーを掲出する対応をしているショップもあります。

 ちなみに、JAFによると、ガソリン車に軽油を入れた場合、はじめの症状としてエンジン出力が下がり加速が鈍くなりますが、燃料が100%軽油だけになるまでは動くとのこと。そうなる前の時点で黒い排気ガスなどが出るので、動かなくなる前に間違いに気づいた場合は、正しい燃料を入れ替えれば大きな問題にはならないそうです。