信号なしの横断歩道で止まらないクルマ。2016年には、9割以上が止まらないとの調査結果がでて関係者に衝撃を与えました。2022年は格段に向上したものの、まだまだ、止まらないドライバーが多数派です。

各段に改善されているもののまだ遠い

 日本自動車連盟(JAF)では、2016年から「信号機のない横断歩道での歩行者横断時における車の一時停止状況全国調査」を毎年行っています。横断しようとしている歩行者がいる場合に止まったクルマの割合は、わずか7.6%――最初の調査で提示されたこの数字は、全国の警察関係者に衝撃を与えました。


信号のない横断歩道のイメージ(画像:PAKUTASO)。

 6年後の2022年には、39.8%と格段に向上しています。しかし、まだ6割もの人が一時停止していないという考えもできます。JAFはドライバーに対し、「横断歩道の手前に道路標識や道路標示がありますので注意して運転しましょう」と呼び掛けています。

 また、信号機があったとしても止まらないドライバーもまだ一定数いるようで、押しボタン式の横断歩道を青になってから渡ったにも関わらず、クルマに轢かれかけたなどの体験談もSNSでは確認できます。

 この問題に関しては、警察庁も2017年から2021年までの過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故5052件のうちの約7割、3588件は歩行者が横断中の事故だと発表しており、「横断歩道は、歩行者優先であり、運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務があります」とルールの厳守をうながしています。

 また、忘れられがちな横断歩道の交通ルールとしては、「車両等は、横断歩道等またはその直前で停止している車両等がある場合、その停止している車両等の側方を通過して前方に出ようとするときは、その前方に出る前に一時停止しなければならない」というものがあります。

 これは、例えば2車線ある道路のうち、左車線にいるクルマが横断歩道の手前で停止している場合、右車線を走るクルマは前方に出る前に一度停止する必要があるということです。もし歩行者が横断を始めた場合、これは極めて危険な状況を招きかねません。

 JAFの調査が始まって以降、各都道府県では横断歩道手前でのクルマの減速義務や停止義務の徹底を訴えており、宮城県では「横断歩道は歩行者が絶対に守られるべき『聖域』です」とまでアナウンスしています。