『フェイブルマンズ』
 - (C) 2022 Universal Pictures. ALL RIGHTS RESERVED.

写真拡大

 『トップガン マーヴェリック』という予想を超える大ヒット作が生まれ、洋画の底力を見せつけた2022年。では2023年も、同じようなサプライズが生まれるのか。映画ファンなら絶対に押さえておきたい、今年の洋画の注目作を10本セレクトしてみた。(文・斉藤博昭)

『フェイブルマンズ』3月3日公開

 誰もが認める“巨匠”スティーヴン・スピルバーグ監督の最新作。自身の少年時代をモデルに、スピルバーグ自ら脚本に深くかかわっていることから、ひとつの集大成として映画ファンには必見の一本。映画館で初めて映画に夢中になった思い出や、プレゼントされた8ミリカメラを回す喜びなどスピルバーグの原点に、家族のエモーショナルなドラマ、多くの名作映画が鮮やかに絡み、真っすぐな感動を呼ぶのは確実。アカデミー賞でも作品賞有力の一本とされており、2023年の幕開けにふさわしい傑作になっている。

『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』3月3日公開

 アカデミー賞に至る前哨戦の賞レースを席巻している超異色作。『ミッドサマー』『LAMB/ラム』などで日本の映画ファンにもすっかり人気ブランドとなった映画配給・製作会社、A24の作品だが、全世界で同社史上ナンバーワンのヒット作となった。マーベル映画などですっかりおなじみになった“マルチバース”を題材に、経営するコインランドリーの税金問題など悩み多き主人公が、別のバース(=宇宙)に瞬間移動することでパワーを身につけ、救世主になる……という奇抜なストーリー。細かいネタが楽しすぎて、何度も観たくなる作りなので、リピーターを増やす可能性も!?

『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』4月28日公開

 世界的な人気ゲームの世界観を基に、発売元の任天堂と『ミニオンズ』などのアニメーションスタジオ、イルミネーション・エンターテインメントが共同で長編アニメ化。世界の支配を企むクッパに対し、マリオとルイージの兄弟、ピーチ姫が立ち向かう冒険ストーリーには、ゲームでおなじみのキャラが総登場。ゴールデンウィークの公開なので爆発的なヒットも予感される。ボイスキャストは、マリオ役に『ジュラシック・ワールド』シリーズのクリス・プラット、ピーチ姫役に人気スター、アニャ・テイラー=ジョイ、日本語版も宮野真守など楽しみな面々。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』5月3日公開

 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の中でもキャラクター人気が高いシリーズ、待望の最新作。銀河で暴れまくる“地球人”のヒーロー、スター・ロードを中心に、凶暴なアライグマのロケットや、樹木ヒューマノイドのグルートらおなじみのチームの大冒険は、2022年公開の『ソー:ラブ&サンダー』でもちらりと描かれた。今回のシリーズ3作目ではロケットの故郷である惑星も舞台に、それぞれの秘密や過去が重要パートになるとのことで、思いがけないエモーショナルな展開の可能性も!?  監督・脚本は1作目からずっとシリーズを手掛けてきたジェームズ・ガン。ファンが興奮するツボを押さえた演出に期待したい。

『インディ・ジョーンズと運命のダイヤル』6月30日公開

 1981年の『レイダース/失われたアーク《聖櫃》』に初登場して以来、これまでシリーズ4本で活躍をみせた、ハリソン・フォード演じる考古学者インディ・ジョーンズ。その15年ぶりとなる新作は、1969年、アメリカとソ連(当時)が繰り広げる宇宙開発競争を背景に、秘宝が絡む一大アドベンチャーが展開。王道のエンターテインメント大作として、2023年のサマームービーの本命になりそうな気配。敵役は、日本でも人気の高いマッツ・ミケルセン。公開時に81歳になっているハリソンは今作でインディを引退すると表明。最後となる勇姿をスクリーンで拝みたい。

『リトル・マーメイド/人魚姫』初夏公開

 『美女と野獣』『アラジン』と同じく、ディズニー・アニメーションで最も人気のある作品の実写化なので、またも大きな話題になることは確実。海の中の世界がとことん美しいビジュアルで表現され、サマームービーにぴったりの一作になりそう。おなじみのキャラクターたちが実写でどう変わるのかにも期待が高まる。そして名曲の数々に加え、ミュージカル界の天才、リン=マヌエル・ミランダも加わって制作された新たなナンバーも楽しみ。主人公のアリエルを、アフリカ系アメリカ人のハリー・ベイリーが演じることで、アニメ版とは違う新たな魅力が世界中の観客を虜にしそう。

『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』7月21日公開

 スキーのジャンプ台のようなセットをバイクで滑り降り、そのまま空中へジャンプし谷底へ落下……。そんな衝撃のスタントシーンを公開前に披露し、またも限界知らずのスピリットを見せつけたトム・クルーズ。彼にとっても最高の当たり役であるスパイ組織IMFのエージェント、イーサン・ハントの、シリーズ7作目は2部作として公開。タイトルの「デッドレコニング」とは、船舶や航空機などが航行した経路や海流から位置を確かめる専門用語「推測航法」の意味で、イーサンのこれまでの過去から未来を予見させる、まさにシリーズを総括する物語となる。『トップガン マーヴェリック』に続き、2023年の頂点をうかがうアクション超大作だ。

『トランスフォーマー/ビースト覚醒』夏公開

 日本が生んだ“おもちゃ”から、実写のアクション映画へと発展した『トランスフォーマー』。今回、新たなシリーズとして再始動する。2018年のスピンオフ作品『バンブルビー』や、1990年代に放映されたテレビアニメ「ビーストウォーズ 超生命体トランスフォーマー」とのつながりが濃厚で、トランスフォーマーの古代の歴史にもさかのぼり、ニューヨークのブルックリンで家族と暮らす元軍人が地球の脅威に立ち向かう。ゴリラ姿のオプティマスプライマルなど、人気キャラクターの想像を超える変身=トランスフォームがド迫力の映像に!

『DUNE:パート2(原題) / Dune: Part Two』2023年公開

 SF小説の金字塔を2021年に映画化し、アカデミー賞作品賞にノミネートされるなど高評価だった『DUNE/デューン 砂の惑星』。当初から2部作が構想されていたので、このパート2では物語が大きな盛り上がりをみせる。ティモシー・シャラメ演じるポールが、家族を破滅させた相手への復讐を誓い、愛と使命で葛藤する物語。『エルヴィス』の主演で賞レースをにぎわせているオースティン・バトラー、若手スターで最も勢いのあるフローレンス・ピュー、『007』シリーズのレア・セドゥら、新たに加わるキャストも豪華。前作以上に壮大なスケールの映像が確実視される。

『ジョン・ウィック:チャプター4(原題) / John Wick: Chapter 4』2023年公開

 キアヌ・リーブスの新たな当たり役となった最強の殺し屋。その4作目は、パリや日本など世界各地が舞台となり、シリーズ最大のスケールと興奮が待ちかまえている。今度こそジョン・ウィックを亡き者にしようとする主席連合(世界の犯罪組織で構成される協会)との死闘では、肉弾戦はもちろん、バイクや馬でのチェイス、刀で銃弾を跳ね返すなど、ありとあらゆるアクションの醍醐味が詰め込まれる。ドニー・イェン、真田広之というアジアの“レジェンド”との共演や激闘、日本のシーンがどのように表現されているか……など、過去のシリーズ以上に気になるポイントが多数!