明るい未来、という表現はやや陳腐だが、2022年はコロナ禍を踏まえて次のフェーズに進む「新たな1年」になると、誰もが考えていたのではないだろうか。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、世界的な景気低迷とそれに伴う広告・メディア支出の混乱など、波乱に満ちた1年となった。DIGIDAY[日本版]恒例の年末年始企画「IN/OUT 2023」では、 DIGIDAY[日本版]とゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブや次世代リーダーに、2022年をどのように受け止め、2023年にどのような可能性を見出し、新たな一年を切り開いていこうとしているのか伺った。テレビ大阪株式会社にて、編成・制作・報道スポーツ・デジタル戦略担当、専務取締役を務める三宅耕二氏の回答は以下のとおりだ。

――2022年を象徴するトピック、キーワードを教えてください。

「ナナめ上のコンテンツを全国に届ける」です。2022年、テレビ大阪は深夜番組のYouTube展開を本格化しました。「さらぱ青春のテレビ大阪チャンネル」「撮影NGを漫画にしてみました」「片っ端から喫茶店」の3チャンネルを開設、21年に始めた「初耳怪談」「テレビ大阪ニュース」も登録者数を着実に伸ばしています。幅広い視聴者の獲得を目指す放送番組と異なり、特定の層に受ける「ナナめ上」のコンテンツ作りを心掛けています。ちなみに「ナナ(7)」はテレビ大阪のチャンネルです。

――2022年にもっとも大きなハードルとなった事象は何でしたか?

コロナ禍にもかかわらず、行動制限のない2022年は、外出する人が増え、テレビをリアルタイムで視聴する人が減りました。地上波放送局にとっては向かい風で、とがったコンテンツを配信することで、デジタル広告収入を着実に獲得する戦略を展開しました。

――2023年に必ず取り組むべきだと考えていることは何ですか?

番組のマルチユースを加速させることです。地上波番組、TVer、YouTubeへの配信、関連イベントの開催、関連商品の販売など、番組を起点にしたマネタイズポイントを増やし、テレビCM以外の収入の道を開拓していきたいと思っています。

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