「こんなことまで、私が…？」デート相手からの、“ある要求”に耐え切れなくなった女性は…
男と女は全く別の生き物だ。それゆえに、スレ違いは生まれるもの。
出会い、デート、交際、そして夫婦に至るまで…この世に男と女がいる限り、スレ違いはいつだって起こりうるのだ。
-果たして、あの時どうすればよかったのだろうか？
できなかった答えあわせを、今ここで。
今週のテーマは「旅行に誘われた男と、関係を切った理由は？」という質問。さて、その答えとは？
▶【Q】はこちら：旅行の約束までしたのに、突然態度が豹変した女。LINEが既読スルーになった理由は？
仕事を終え、スマホを見ると一通のLINEが入っていた。渋谷にあるオフィスから街を見下ろすと、師走のせいかみんな足早に歩いている。
― 鉄平：美玲ちゃん、来週は何してる？都内にいるなら、ご飯でも行かない？
画面からすぐに目を離し、流れる街の人並みをじっと見つめた。
エレベーターに乗りながら、ここ3ヶ月のことを思い返していた。鉄平はいい人だし、最初は好きだった。でも何度かデートを繰り返し、やり取りをしているうちに冷めてきたのだ。
― 美玲：ごめんなさい、ちょっと年末は忙しくて…
― 鉄平：そっか。じゃあいつなら行ける？
結局、この返信をするのも面倒になって私はそのまま既読スルーをしてしまった。
どうして私の気がここまで変わったのか？それにはちゃんとした理由があった。
A1：飲食店のリストアップを要求されたこと
鉄平と出会ったのは、食事会の席だった。身長が高く、スマートな立ち振る舞いの彼に、私はすぐに好意を抱いた。
彼も同じように感じてくれたのか、出会った翌日からすぐにLINEが来て、私たちはデートをすることになった。
しかも初デートで、鉄平は港区で話題になっている『焼鳥 篠原』を予約してくれていた。
「このお店、知ってた？」
「来たことはなかったのですが、名前だけ。ラグジュアリーな内装が話題になっていたので、来てみたかったんです！」
細部までオリジナリティーが溢れており、私は思わず目が輝いてしまう。一枚板のヒノキが使用されたカウンターも美しい。
「美玲ちゃんって、お店とか結構詳しいの？」
「詳しくはないかもですが…でも食べることが好きなので、行きたいお店とかよく見ているんです」
元々食べることも飲むことも好きなので、行きたいお店や美味しそうなお店はいつもピックアップしている。
「じゃあ美玲ちゃんは、グルメなんだね」
「そんなことないですよ〜」
「今気になっているお店とか、ある？」
「たくさんありすぎて…。鉄平さんのほうこそ、美味しいお店をたくさん知っていそうですけど」
鉄平は経営者だと聞いている。仕事柄、接待も多いだろうし、食通そうだ。
そんな鉄平の次のセリフに、私は期待してしまうことになる。
「そうだね。僕も食べることが好きで。一緒に行ってくれる人、募集中だけど（笑）」
柔らかくてジューシーなつくねの旨みが、口の中いっぱいに広がっていく。これは私を遠回しに誘ってくれているという認識で合っているのだろうか。
「そうなんですか？私でよければ…いつでも誘ってください」
「本当？じゃあまた誘わせて」
「待ってます♡」
ここまでは良い流れだった。
「ちなみに、来週仕事でお店を予約しなきゃいけなくて…。男性が相手なんだけど、その人もグルメでさ。ワインが飲める、良い感じのところどこか知ってたりする？」
「ワインが飲めるお店…接待ですか？」
「そうそう」
「例えば、こういうお鮨屋さんとかどうですか？」
このあいだ知人から、面白いお鮨屋さんを聞いた。このお店ならグルメな人でも面白がってもらえるかも、と思い、私はお店を検索して鉄平に見せてみた。
「美玲ちゃん、すごいね！」
すると、鉄平はこんなことを言い始めた。
「ちなみに…他にもこういった感じの店、知らないかな？」
ここまではまだ良かった。でもさらに要求は続く。
「後で、まとめてもらえたりする？」
― え？…まとめる？？
「いいですよ！明日送りますね」
「ありがとう！助かる」
翌日、鉄平に言われた通りいくつかお店をピックアップして送ると感謝はされた。けれども、どこかモヤモヤした気持ちが残る。
― 鉄平：美玲ちゃん、ありがとう！ちなみに、和食のお店も知ってたら教えてほしいな！
「和食のお店のリストも…？ちょっと図々しくない…？」
鉄平に悪気がないのもわかっているし、こんなことで怒る私が器の小さい人間なのだろうか。
だからその後もデートはしていた。でもこのあと旅行の話になった時、私は「この人無理かも」と思ってしまったのだ。
A2：「私は秘書かよ！」と言いたくなる要求の数々…。
そして三度目のデートのこと。あれ以来こまめに鉄平から連絡は来ていたし、会って話すと爽やかで良い人なので嫌な思いもしない。
「美玲ちゃん、ゴルフはするの？」
この日は、食事をしながらゴルフの話になった。
「始めたばかりなので下手なんですけど…」
「じゃあ今度、一緒に打ちっぱなし行こうよ」
「え〜行きたいです！本当に下手ですけど…」
「全然大丈夫。打ちっぱなしだし、気楽に練習しようよ」
最初は打ちっぱなしの約束だけだった。でもお酒が入っていたせいか、話はどんどん盛り上がっていく。
「ちなみに美玲ちゃん、ラウンドはしたことある？」
「それがまだなくて…」
「そうなの！？じゃあいつかラウンドも行こう」
「鉄平さんとなら、安心して一緒に回れそう♡」
「沖縄とかで、初ラウンドできたらいいよね」
「え…行きたい！」
思わず、そう口にしていた自分がいた。鉄平なら優しいし、初ラウンドでも楽しそうだなと思ったことは事実だ。
そして旅行をしても嫌な思いはしなさそうだなと思ったので、深く考えずに「行きたい」と言ってしまった自分にも非があると思う。
「…行っちゃう？」
「行っちゃいますか」
― でもこれって、どういう意味なんだろう？
話の流れで首を縦に振ったけれど、三度ほどデートはしても正式に付き合っているわけではない。この状況で行くのはさすがにやめておこうかな…。そんなことを考えていると、鉄平も同じことを考えていたらしい。
「ちなみに、美玲ちゃんは平気？」
「何がですか？」
「ううん、なんでもない。美玲ちゃん、これは食べた？」
そこから話は逸れたので具体的なことは進まずに終わっていた。一旦このままでいいかなと思っていたけれど、意外に鉄平は旅行に本気だったようだ。
「楽しみだね！」
「はい！それまでにゴルフ練習しないと」
ただここから鉄平は忙しくなり、会う時間が取れなくなった。そのことは別に構わない。年末だし仕事が忙しいのも仕方のないこと。
それよりも私が引っかかったのは、別のことだった。
鉄平からLINEが入ったので開いてみると、こんな文面が並んでいた。
― 鉄平：美玲ちゃんごめん！沖縄、ゴルフ場どこかあるかな？
「私、ゴルフ初めてなんですけど…」
しかもそれだけではない。鉄平はホテルとエアーまで私に調べろと言う。
― 美玲：私ゴルフ全然しないからわからないですけど…。どこか見ておきますね！
― 鉄平：ありがとう。ホテルとエアーも調べないとだね。時間見れたりする？
― 美玲：調べることたくさんありますね。
― 鉄平：助かる！
この人は、私のことを秘書か何かと勘違いしているのだろうか。
私だって忙しい。そもそも飲食店のリストを送ってほしいと言ってくるのもよくわからないし、ホテルもエアーも少しは自分も調べるということをしないのだろうか。
些細なことかもしれないけれど、付き合ったら“任せっきりにする男”になる可能性が高い。人の時間を奪っていることにまったく気がつかない人間が、この世界にはいるようだ。
そもそも彼にとって私は、都合のいい女でしかないのだろう。
「こういう相手の気持ちを考えずに、要求ばかりしてくる人って嫌だな」
そう思うと一気に冷めてきて、私は返信すらしなくなってしまった。
▶【Q】はこちら：旅行の約束までしたのに、突然態度が豹変した女。LINEが既読スルーになった理由は？
▶1話目はこちら：「この男、セコすぎ…！」デートの最後に男が破ってしまった、禁断の掟
▶NEXT：12月24日 土曜更新予定
クリスマス到来！聖なる夜だけど…
