by Ben Terrett

車を運転していると突然進路上に車や人間が飛び出してきて、急にブレーキをかけたりハンドルを切ったりしたことのある人は多いはず。Googleと同じAlhabet傘下の自動運転車開発企業であるWaymoが、赤信号を無視して走る人間や突然車線変更をする車など、潜在的危険に対する衝突回避能力を評価するためのテスト手法「Collision Avoidance Testing(CAT)」について解説しています。

Collision Avoidance Testing of the Waymo Automated Driving System - Collision Avoidance Testing of the Waymo Automated Driving System.pdf

(PDFファイル)https://storage.googleapis.com/waymo-uploads/files/documents/safety/Collision%20Avoidance%20Testing%20of%20the%20Waymo%20Automated%20Driving%20System.pdf

Waypoint - The official Waymo blog: Waymo's Collision Avoidance Testing: Evaluating our Driver’s Ability to Avoid Crashes Compared to Humans

https://blog.waymo.com/2022/12/waymos-collision-avoidance-testing.html

完全自動運転を行う完全自律型システムは、運転席に人間がいない状態でも運転タスクのすべてを処理する必要があるため、通常の運転支援システムよりもはるかに細かいテストが行われます。Waymoでは、仮想運転・テスト走行・実走行を組み合わせた「シナリオベーステスト」という方法を用いているそうです。

Waymoは、これまでの経験から得た既存の運転データや警察の事故データベース、ドライブレコーダーで記録された衝突事故データ、Waymoの自動運転車が走行する地域や道路の状態など、さまざまなデータをシミュレーションに投入。これにより、テストでは「車道から車がはみ出る」「歩行者が信号を無視して横断する」といった、ほとんどどこでも起こり得る一般的な状況が再現されており、自動運転車は何度もさまざまな状況を踏まえてこのテストを何度も受けながら、自身にフィードバックさせていくそうです。

以下はサンフランシスコでWaymoの自動運転車の走行中に、すぐ横を複数の歩行者が歩いているところ。このような歩行者の群れから、突然1人の歩行者が横断するために飛び出してくるケースが考えられます。



以下は、上の状況に似たところから本当に歩行者が飛び出してきたところをCATで再現した様子。



Waymoは死角から飛び出してくる歩行者や自転車に対応するため、人間の位置や速度を変更しながら、衝突を避けるために緊急回避操作が必要になるテストシナリオをいくつも作成したとのこと。以下のサムネイルをクリックすると、突然死角から飛び出す自転車を避けるために減速するWaymoの実験の様子をGIFアニメーションで見ることができます。



Waymoによると、Waymoの自動運転システムは、人間による手動運転での結果よりも高い衝突回避能力を見せたとのこと。2022年9月に行われたテストでも、常に注意を怠らず疲労もしないという想定の「健康で常時問題に注視している(non-impaired, with eyes always on the conflict:NIEON)」という仮想人間ドライバーの運転だと衝突完全回避率が62.5%だったのに対し、Waymoの自動運転システムの自動運転システムは75%を記録したそうです。

Waymoは「Waymoの自動運転をより多くの場所で、より多くの人に提供し続けるため、このCATは安全性評価プロセスにおいて非常に重要です。私たちは、一般の人々や規制当局、政策立案者、および運転者が安全に対する取り組みをよりよく理解できるように、テストと安全評価方法に関するより多くの情報を引き続き共有していきます」と述べました。