2023年のインフレ・世界経済の行方は?
●見方が分かれる予測
ロイター通信によると、米国のイエレン財務長官はCBSの番組インタビューで、2023年には米国内でのインフレが鈍化するとの見通しを述べたと言う。すでに経済成長は大幅に鈍化し、インフレも和らいでいると指摘している。【こちらも】中国のゼロコロナ緩和で株式市場も回復か!?
このまま大きなショックがない限り、2023年末にはインフレ率はかなり低くなるだろうと、語っている。
一方で10月にIMFが発表した世界経済見通しは、最悪の事態はこれからと言う悲観的な見通しを示している。
コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻が重なり、世界的なインフレに見舞われた2022年だが、2023年も、世界的なインフレは続くのだろうか?
●気になる米国の利上げペース
9日のNY株式市場は、11月のPPI(生産者物価指数)が前月比0.3%増、前年比7.4%増となり、予想を上回ったことを受けて、NYダウは305ドル安となった。13日には11月のCPI(消費者物価指数)の発表を控えており、経済指標の結果に神経質となっている。長期金利の動向も株価を左右している。
イエレン長官が言うようにインフレは和らいでいるとは言え、まだまだ高い水準であることには変わりがない。
●長期化への懸念も
景気後退が警戒される中、雇用統計が予想より良好なことが、さらに問題を複雑にしている。FRBのパウエル議長は11月30日の講演で、利上げの減速時期が早ければ、12月になると発言した。
12月2日に発表された11月の雇用統計は予想を上回っていたことから、景気がそれほど減速していないと言う受け止め方となり、株が売られた。
雇用統計が良好なことにより、利上げが長期化し、景気の後退はまだこの先にあると言う警戒感も根強い。
原油価格が下落傾向であることは、インフレ抑制には良い傾向だが、ロシアへの西側諸国の制裁によっては大きく変動する可能性もある。
ゼロコロナから転換しつつある中国も正常化への道のりは険しく、台湾有事への懸念も残る。
不透明な情勢が多い中、2023年は、インフレも世界経済も先を見通すことが難しいと言えるだろう。