中国のゼロコロナ緩和で株式市場も回復か!?
●中国がゼロコロナ政策を緩和
中国が全土に広がる抗議活動を受け、新型コロナウイルスを徹底的に封じ込める、厳格なコロナ対策(ゼロコロナ政策)を緩和する方向に舵を切りつつある。【こちらも】サッカーW杯と株価の関係は?
中国のゼロコロナ政策は、ロックダウン(都市封鎖)などの厳格な行動制限により国内の景気を悪化させるだけでなく、サプライチェーン(供給網)の混乱により、他国への影響も計り知れない。
各国がアフターコロナとして動き出している中、ゼロコロナ政策はインフレやロシアのウクライナ侵攻に並ぶ、世界経済の大きなリスクだった。
コロナ規制緩和の報道により、中国株・香港株だけでなく、原油価格も上昇し、欧米株にも影響を与えている。
ロイター通信の取材で、IMF(国際通貨基金)も来年の成長率が上向くことを期待していると明かしたが、このまま株式市場はリスクオンへと向かうのか?
●中国のゼロコロナ政策と抗議デモ
習近平政権の中国政府は、一貫してゼロコロナ政策を頑なに変えようとしなかった。地下鉄などの公共交通機関だけでなく、屋外の公園に入る際も陰性証明を求めていた。11月後半には新規陽性者が過去最多を記録するなど、さらに厳しい状況が続いている。
新疆ウイグル自治区ウルムチ市の高層住宅火災において、コロナ対策の影響で住民が逃げ遅れて犠牲者が出たことに対する抗議運動が中国のSNSで拡散され、3年間のコロナ対策に対する国民の不満が爆発。中国全土に抗議活動が広がった。
当初は、情報統制を行い、抗議デモの様子は国営メディアでは一切伝えず、中国当局は抗議デモを弾圧しようとしていた。
だが天安門事件の再来とも言われるほど、規模が拡大。習氏の辞任を求める声も上がり、収拾がつかなくなった。
●リスクオンになったのか?
コロナ対策に関しては、抗議デモが起きる前の11月には、海外からの入国者に帯する隔離期間を短縮するなど、緩和措置を講じていた。抗議デモ後は陰性証明の提示も緩和されている。
だがこの3年間、医療制度の問題などは放置されたままで、欧米並みの緩和にすぐに踏み切れるかは不透明である。行動制限が長く続いたことで、経済活動が元通りに戻るのに時間がかかるとも見られる。
投資家から見ると、束の間のリスクオンに終わる可能性も否定できない。