禅僧が教える「生きているだけでいい」の本当の意味
アップルの共同創業者のスティーブ・ジョブズや京セラの創業者の稲盛和夫など、多くのビジネスパーソンに影響を与えているのが「禅」だ。
禅では「今を生きること」を説いている。人生にはいいときもあれば悪いときもある。それに伴い、人の心は浮き沈みするもの。禅を学ぶことで、この波を平らに穏やかに生きていける、とされている。
■「生きているだけでいい」の本当の意味
『今を生きる練習』(五十川幸導著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、曹洞宗 月江山雲晴寺、第二十六世住職の五十川幸導氏が、仏の教えや禅の考えを紹介する。
五十川氏は、11歳で得度し学業を修める一方で、プロゴルファーを目指しプロテストを受けた過去もある異色の経歴の持ち主。2008年に雲晴寺副住職に就任し、2019年9月に住職に就任した。長い修行と過去のアスリート経験を活かし、曹洞宗認可参禅道場主管として坐禅会を主催。ほかにも縁結びイベントや東日本大震災チャリティーコンサートをお寺で行うなど、さまざまな方法で禅と生き方を広く伝えている。
目的や使命感を持って生きることができる人はそれに邁進していけばいい。きっとそういう人は迷いが少ないだろう。しかし、そんな人ばかりではない。「なんのために生きているんだろう」と生きる意味が見つからなかったり、人生でやるべきこと、やりたいことが見つからずに迷ったり、そのこと自体に罪悪感を覚える人もいる。このような人に五十川氏が伝えているのは「生きているだけでいい」ということ。
「生きているだけでいい」とはおそらくほとんどの人が誰かから聞いたことがある、言ってみれば月並みな言葉だ。ただ、そのことを肚から理解するのは難しい。お釈迦さまは「天上天下唯我独尊」と言ったと伝承されている。人は、天上天下にただ一人、誰とも代わることのできない大切な尊い存在として誕生する。
そのはずなのに、成長するにつれ知恵がつく反面、周りから心ないことを言われ傷ついたりする。しかし、本来は悩む必要はない。人間は「年収が高い」「仕事ができる」といった条件で尊いのではなく、命があるだけで尊い存在である。たとえ、今が充実していなくても、今の自分にできることを一つひとつ行うこと。何もできないのであれば、朝きちんと起きて部屋のカーテンを開けるだけでもいい。生活のリズムを整え、歯を磨く。最初はそれだけでもいいので、焦らずゆっくり進むことが大切だ。
また、禅の言葉で「深知今日事(ふかくこんにちのことをしる)」というものがある。これは「今日という日に集中しなさい」という意味。過ぎてしまった過去を後悔したり、まだ来ぬ未来を予想してあれこれ悩んだりするよりも、今のこの瞬間に全力を注ぐこと。今日の行動が未来を左右するということだ。今日できることに意識を向け、一つずつ取り組むことで未来が切り拓かれる。
時間に追われたり、誰かからの評価に追われたり、人間関係や仕事に疲れてしまったとき、禅の考えを取り入れてみてはどうだろう。今を大切にし、一日一日を大切に過ごすことで、人の内面は変わっていくのだ。
(T・N/新刊JP編集部)
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『今を生きる練習』(五十川幸導著、クロスメディア・パブリッシング刊)では、曹洞宗 月江山雲晴寺、第二十六世住職の五十川幸導氏が、仏の教えや禅の考えを紹介する。
目的や使命感を持って生きることができる人はそれに邁進していけばいい。きっとそういう人は迷いが少ないだろう。しかし、そんな人ばかりではない。「なんのために生きているんだろう」と生きる意味が見つからなかったり、人生でやるべきこと、やりたいことが見つからずに迷ったり、そのこと自体に罪悪感を覚える人もいる。このような人に五十川氏が伝えているのは「生きているだけでいい」ということ。
「生きているだけでいい」とはおそらくほとんどの人が誰かから聞いたことがある、言ってみれば月並みな言葉だ。ただ、そのことを肚から理解するのは難しい。お釈迦さまは「天上天下唯我独尊」と言ったと伝承されている。人は、天上天下にただ一人、誰とも代わることのできない大切な尊い存在として誕生する。
そのはずなのに、成長するにつれ知恵がつく反面、周りから心ないことを言われ傷ついたりする。しかし、本来は悩む必要はない。人間は「年収が高い」「仕事ができる」といった条件で尊いのではなく、命があるだけで尊い存在である。たとえ、今が充実していなくても、今の自分にできることを一つひとつ行うこと。何もできないのであれば、朝きちんと起きて部屋のカーテンを開けるだけでもいい。生活のリズムを整え、歯を磨く。最初はそれだけでもいいので、焦らずゆっくり進むことが大切だ。
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時間に追われたり、誰かからの評価に追われたり、人間関係や仕事に疲れてしまったとき、禅の考えを取り入れてみてはどうだろう。今を大切にし、一日一日を大切に過ごすことで、人の内面は変わっていくのだ。
(T・N/新刊JP編集部)
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