ガス欠が心配でスロットル開度を小さくは逆効果!

日常からロングツーリングが主体で、とにかく燃費を優先したライディングを心がけているライダーにはいまさらの内容かも知れない。
しかしスポーツバイクでワインディングを闊歩しているライダーだと、ツーリング先でふと気がついたら給油ランプが点灯したり、キャブレター車だと燃料コックを切り替えなければならなくなったとき、それが人里離れた山の中だったりすると、給油できる場所までにガス欠に陥らないよう、これまであまり気にかけてこなかった、いかに燃料を消費しないで走るかの工夫をせざるを得なくなる。
そこで一番勘違いしやすいのが、とにかく小さなスロットル開度で走ろうとするケース。ギヤチェンジとか余計なことをせず、3速とかにホールドして5,000rpm以上にしておけば多少の勾配もそのまま行ける……となりがち。
しかしこれだといくらスロットル開度が小さくても、爆発回数が多く相応に燃料は消費してしまうのでNGなのだ。
大事なのは爆発回数を減らす低回転域に徹すること。が、それだとパワーの低い回転域なのでスロットルをそこそこ捻らないと走れない、そんな心配がよぎるかも知れないが、低い回転域の爆発回数の少なさは高い回転域のクルージングする一定開度の状態より燃料を消費しない。
さらに低い回転域はスロットルを全閉まで戻しても、あまりエンジンブレーキが働かない。これを利用して6速など高いギヤの低い回転域で加速、スロットルを全閉まで戻して暫く走りまた加速、といった走り方のほうが燃料消費を抑えることができる。

給油ランプや燃料コックを切り替えたとき一番にすること

給油を必要とするアラート、最新の燃料噴射仕様であれば電子制御と関連してメーターパネルに給油ランプが点灯、もしくは何キロ以内に補給するようにその距離が表示されたりする。
そこで迷わずすることがトリップカウンターをゼロにして、アラートからどのくらい走ったかを簡単にチェックできるようにしておくこと。機種によってはそれまで走ってきた燃費から、これからどれくらい走れるかを計算してくれるが、通常の状態で次の町までどのくらいと余裕をもって組み立てられるなら良いが、人里離れた山の中だった場合、万一を考えて燃費優先に走り方を変えるので、自分で工夫しながら対策していくしかない。
またキャブレター車だと燃料コックを予備(RES)に切り替えて、それが残3.5リッターなのかなど容量を知っておかないと、行程を優先するのか戻って給油できる町へ下りたほうが良いのかなど対応を誤りかねない。
これも同じくトリップカウンターをゼロにする。日常燃費など考えたことがないと、3.5リッターでもどのくらいの距離を走れるか見当がつかない。そういう意味でも満タンクにしたとき、トリップカウンターをゼロにする習慣づけは大事で、とりあえず燃料コックを切り替えた場所までの燃費は掴めるはずだ。

下り坂でもエンジンのIGNを切るのは危険!

給油するとき「満タン!」だけで済まさず何リッター入ったかチェックしておこう。同じ日ならば領収書で確認できるが、前回の給油だと出先で履歴がわからず土壇場の燃費が予想できない。

ツーリング専用モデルは走行可能な距離はもちろん、燃費もそのときの走りに応じてデータを知らせるなど、給油までの安心がはかり知れないほど大きい。

山の中から下りるので下り勾配を利用してニュートラルで走ったり、場合によってはエンジンを切って空走で駆け降りるというアイデアも浮かぶかもしれないが、これは両方とも危険なので避けるべきだ。
そもそもエンジンの駆動は、加速だけでなく減速でも後輪と車体の安定を支える大事な機能。ブレーキだけで減速できると思うと、少しでも曲がったカーブで膨らんでしまうなど、意外なほどいつもと違う走りになりかねない。
ましてやエンジンのIGNキーをOFFにしてしまうと、たとえばABSは機能しないのでフェイルセイフが一切ない状態に陥る。それに何かの拍子にバランスを崩したときなど、エンジンが繋がっていればちょっと加速しただけで事無きを得るというケースも充分に考えられる。
ギリギリだからとそこまで燃料消費を抑えるのはやり過ぎで、たとえばスロットルが閉じた状態でエンジン回転が低ければそれほど消費はしない。
いずれにせよ、燃料が足らない状況に陥らないよう、愛車の燃費など万一の対応は予め考えておくことだろう。

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