ゲームの歴史や貴重な資料をまとめているGaming Alexandraの編集者であるクリス・コーラー氏が、30年以上前にスクウェアから発売予定だったものの、結局リリースされなかったゲームの1つ「3156コロコロ」を確認し、保存することに成功したと報告しています。

Lost “Canceled” Squaresoft Game 3156 Coro Coro Located And Preserved! - Gaming Alexandria

https://www.gamingalexandria.com/wp/2022/05/lost-canceled-squaresoft-game-3156-coro-coro-located-and-preserved/

コーラー氏はスクウェアの歴史を調査している際に、スクウェアで発売予定だったものの結局リリースされなかったソフトのリストを入手したそうです。

スクウェアは1983年に徳島県の電気工事会社のソフト開発部門が前身で、1986年に株式会社スクウェアとして独立しました。3156コロコロはコーラー氏が入手したリストに載っている1本で、PC-8800シリーズ向けのゲーム。スクウェアが株式会社として独立する前からスタッフであり、「聖剣伝説3」のディレクターや「ゼノギアス」「クロノ・クロス」のプロデューサーを務めた田中弘道氏が22歳の時に作成した作品だそうです。



本来であれば、リリースされずに没になってしまったタイトルであるため、3156コロコロを遊ぶことは不可能。しかし、コーラー氏は日本のウェブサイトで、3156コロコロが当時アスキーから発行されていた雑誌「LOGiN」の企画「プログラムオリンピック」向けに制作されたゲームであることを知ったとのこと。つまり、パッケージングされて販売はされていないものの、ゲームそのものは雑誌上にコードという形で発表されていたというわけです。

そこでコーラー氏は、3156コロコロのコードが掲載されているLOGiNの1985年10月号を探し回り、ついに入手に成功。掲載されているコードをスキャンしてOCR化し、T88テープイメージファイルフォーマットに落とし込んで、エミュレーターで動作するようにしたとのこと。



また、LOGiNの1985年10月号にはスクウェアと3156コロコロについての2ページにわたる特集が掲載されていたそうです。また、スクウェアが制作した最初のRPGである「GENESIS」がPC-8800シリーズ向けにリリースされたのが1985年10月でしたが、1985年9月に発売されたLOGiNの1985年10月号にコードが掲載されていることから、この3156コロコロが田中氏の携わったゲームで初めて発表されたものである可能性が非常に高い、とGaming Alexandraは述べています。



Gaming Alexandraは「日本のPCゲームは未開拓で資料不足の領域です。特に、日本の家庭用ゲーム産業の基礎を形成し、世界で最も人気のあるゲームもいくつかあるため、日本のPCゲームは非常に重要な存在です。世界的に有名なパブリッシャーであるスクウェアが制作したゲームが、専門家ですら未発売と判断するほど長い間行方不明だったというのはとても興味深いことです。他にどんなお宝が残っているのでしょうか?」とコメントしています。