TOKIOの山口達也 女子高生強制わいせつで「起訴猶予」は甘い! - 渡邉裕二
※この記事は2018年05月02日にBLOGOSで公開されたものです
このところ、森友・加計問題や防衛省の日報問題、さらには財務省の改ざん問題、福田淳一前事務次官のセクハラ騒動など話題が集まり、芸能界の暇ネタは、すっかり隅に追いやられた感じだった。が、ここに来て、ジャニーズ事務所の古参グループであるTOKIOのメンバー、山口達也(46)の「強制わいせつ」が発覚したことで一気に様相が変わった。先週末は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との南北首脳会談という国際的なニュースもあったものの、TOKIOの山口のインパクトは、それ以上の迫力があったとも言えよう。
もちろん、ネタの重要度という点では比較するようなものではない。とはいっても、何だかんだと支持率の低下が悩みのタネになっていただろう安倍政権にとっては、ゴールデンウィークのタイミングとも重なって、絶好の目くらまし?になったことだけは確かだろう。要は、今や政治も芸能も同じ土俵で語られる時代なのである。
それにしても、森・加計や厚生省、防衛省、財務相…次から次へと問題が発覚して来たが、いつものように不毛な論議に終始し、気づいたらテレビのコメンテーターあたりから「そんなことより、もっと重要なことがあるだろう…」なんて声まで出始め、いつの間にかウヤムヤに…。ま、誰もが疑問に感じながらも、反省もなくこの調子で過ぎ去っていく…。
示談成立なのに「捜査中」の苦しい言い訳
それは、今回の山口の騒動にしても似たり寄ったりだった。山口は記者会見を開いて、経緯や事情を説明し、連日にわたってワイドショーやスポーツ紙でも、あれやこれと報じて来た。しかし、肝心なところになると、
「捜査中なのですみません」
捜査中?捜査なんてそんなの終わってるだろうに。だいたい被害者との間では〝示談〟も成立していた。だからというわけでもないだろうが1日には「起訴猶予」が〝予定通り〟明らかになった。そんな状況の中で「捜査中なので」って?国会の証人尋問じゃあるまいし!
そりゃ、自己保身もあるだろう。被害者との守秘義務もあるのかもしれない。もちろん辣腕弁護士のご意見だって聞かなきゃならないことも分かる。けれど、逆にそれが「真相」という部分を曖昧にした。
山口「メンバー」と呼称するマスコミの気遣い
山口にとって、今回の会見は、それこそ清水の舞台から飛び降りるような思いだったかもしれないが、よくよく見ればテレビから一般紙まで「山口メンバー」「山口メンバー」と、事務所や山口に気遣っていたことが分かる。ところが、山口が「まだ、自分の席があるなら、TOKIOとして…」と発言したことだけには、なぜか批判が相次いだ。でも、それって、周りが「メンバー、メンバー」と持ち上げてんだから、ついつい、勘違いして発言してしまったのかもしれない。
ただ、そういった山口の発言にTOKIOの他のメンバーが、自分たちの気持ちとして疑問を呈するのは分かる。けど、メディアが、それをどこまで批判できるのか?まず己の行動を考えなけりゃ。
だいたい、山口本人も公の場で「捜査中」といっているということは、これが「刑事事件」だと自覚しているわけである。なら…。大げさにいったら日本は「法治国家」であるはずなんだから、ここは、少なくとも「メンバー」なんて〝特別扱い〟するんじゃなく「容疑者」と報じるべきだったように思う。
山口達也の起訴猶予は甘い
〝特別扱い〟といえば、やはり「起訴猶予」というのは甘い。結局、東京地検は被害者が示談に応じて被害届を取り下げたことで、事件を不問にしてしまったようにも思える。そもそも、これは「強制わいせつ」である。しかも、女子高校生に対しての行為だ。本来なら「被害届」が出ようと出まいと即逮捕という案件である。有名人で社会的制裁を受けた…といったとしても、そこは、やはり議論すべき点だろう。
私の意見としては、芸能人である以上は、いくら「酔っていた」「記憶が定かではない」としても、ここは一般より厳しく対処すべきだった。もっとも、昨年、17歳の女子高生との飲酒及び不適切な関係が報じられた俳優の小出恵介にしても結局は「不起訴処分」だった。
疑問もある。(酔っていたという)山口から連絡を受けた被害者の女子高生は友達と一緒だったとしても、山口の家に行ったというのは…もちろん高校生で好奇心旺盛な時期とはいえ「安易過ぎる」思う。この部分については色々と報じられてはいるが、どうにも、その時の状況がどうなっていたのか掴めない部分がある。さらに、もう一つ大きな疑問が…。
NHKは女子高生との関係を知っていた?
今回の事件は、NHKの第一報で発覚したが、被害者の高校生と山口が出会ったのはNHKの番組(Eテレ「Rの法則」)だった。私は、女子高生と山口の関係を番組プロデューサーは実は知り得ていたと踏んでいるのだが、その部分がハッキリしない。実際、被害者の母親は関係者を通じてNHKに抗議したとも言われている。だとしたらNHKは第三者ズラはできないはずで、事件に対しては、ジャニーズ事務所以上にピリピリしていたに違いない。そう考えると、今回の「示談成立」や「起訴猶予」には、どうにも〝闇〟の部分があるのではないかと思ってしまう。
いずれにしても、今は、山口の会見の言葉だけでしか真相は語れないが、犯罪は犯罪である。ただ、今回の事件の最大の問題は、山口が、己の行動について全く自覚していなかったことである。つまり、2月12日の〝出来事〟から警察から連絡がくる3月末まで「気づいていなかった」という恐るべき事実である。もちろん気づいてはいたが「何とかなる」とでも思っていたとも考えられる。だとしたらなおさら大問題である。これは、酔っていたとか何とかいう以前のことである。
こんな話がある。ある人気タレントの目撃情報だが「ある番組の女性ADが、(山口に)胸をワシ掴みされて嫌がっていた」というのだ。ちょっと笑えない話ではなるが、だとしたら案外、山口の〝わいせつ行為〟というのは常習犯だったのかもしれない。ある意味で〝性癖〟なのかもしれないが、冷静に考えたら「46歳にもなって何とも勘違いも甚だしい男」だったとも言えそうだ。
事務所の先輩である東山紀之は、山口に対して「寂しいというのが強かったのかもしれない。離婚もしたし、子供達にも会えないということの寂しさ。ちょっと分かっていました」とした上で「ここは突き放すというよりも、もうちょっと彼が、どういう風に人生をここから学んでいくのかっていうのを見ていきたい」とコメントしていた。
さすがは、ジャニーズ事務所を背負っているだけあって素晴らしいコメント。
TOKIOは、来年25周年だという。そういった中で山口には「無期限活動停止」の処分が下されている。今日、今回の事件についてTOKIOのメンバーが記者会見を予定しているというのだが…。