※この記事は2014年12月11日にBLOGOSで公開されたものです

12月14日に行われる衆議院総選挙に向けて、各党の政策が発表されている。BLOGOS編集部では、テーマごとに各政党のマニフェストの内容を抜粋してお届けする。各党の政策を比較し、投票時の参考にしてほしい。今回は、「年金・介護・医療」に関する各党の記述を抜粋した。

各党のマニフェストにおける「年金」に関する記述


自民党
<持続可能な社会保障制度の確立を>
「自助」・「自立」を第一に、「共助」と「公助」を組み合わせ、税や社会保険料を負担する国民の立場に立って、持続可能な社会保障制度を構築します。

消費税財源は、その全てを確実に社会保障に使い、平成29年4月までの間も、着実に子ども・子育て支援、医療、介護等の充実を図ります。

基礎年金の2分の1国庫負担は確立されており、その下で、若者も安心できる年金制度を運営します。
民主党
・少子高齢化・人口減少、非正規雇用が増加する中で、国民皆年金を堅持し、高齢者の生活保障を確保できるよう、公的年金制度の一元化、最低保障年金の創設に向け年金制度改 革の実現をめざします

・まずは、低年金者への給付の確保、被用者年金のさらなる適用拡大をめざします。

・年金積立金の運用は、被保険者の利益、確実性を考慮し、株式運用倍増をやめ、堅実で最適の運用をめざします。

・税金と医療・年金の保険料、雇用保険の保険料をまとめて扱う歳入庁を設置します"
(出典:今こそ、流れを変える時。(※PDF))
維新の党
・社会保険としての受益と負担をバランスさせる。受益(給付)と負担(保険料)を明確化し、適正な保険料の設定・適正な給付を実現する

・高齢者向け給付を適正化する。高齢者雇用の創出を図った上で、年金の支給開始年齢を段階的に引き上げ、医療費の自己負担割合を一律とする。年齢で負担割合に差を設けるのではなく、所得に応じて負担割合に差を設ける。

・公的年金制度は払い損がなく世代間で公平な積立方式へ移行する。

・公的年金制度において、世代別勘定区分を設置する。原則として、同一世代の勘定区分内で一生涯を通じた受益と負担をバランスさせる。

・高齢化で増える相続資産への課税ベースを拡大、年金目的特別相続税を創設する。(相続金融資産20兆円、年率10%と仮定すれば税収2兆円)。

・最低生活保障につき、給付尽き税額控除はじめ「負の所得税」的な考え方を導入する。その前提となる所得と資産の正確な把握のため、マイナンバー(納税者番号)制度を充実させる。
(出典:身を切る改革。実のある改革(※PDF))
公明党
年金制度の機能強化
①低所得者への加算
低所得の年金受給者に事実上の年金加算となる「福祉的な給付」が実施されることを踏まえ、より一層の拡充による低年金対策に取り組みます。その際、あわせて障害基礎年金の加算など所得保障をより充実させます。

②被用者年金の適用拡大
社会保険における格差を是正するため、2016年10月から開始される被用者年金の適用拡大について、さらなる拡充を図ります。また、マイナンバー制度(社会保障・税番号制度)の早期導入による「免除制度」の確実な適用を図るなど、国民年金の未納・未加入問題の解消へ取り組みます。
(出典:manifesto2014(※PDF))
次世代の党
持続可能な制度とするため、公的年金を積立方式へ移行
(出典:次世代が希望を持てる日本を)
共産党
安倍内閣の“際限なき年金削減”に反対――年金制度の2段階の改革で、今も将来も安心できる制度を実現します

年金積立金の株式運用反対――過大な積立金は計画的に取り崩して給付保障に

「消えた年金」「消された年金」問題を、一人たりとも被害者を残さないよう、一日も早く、国の責任で解決します

パート、派遣、契約社員など非正規雇用で働く人たちの厚生年金加入の権利を保障します

公的年金等控除改悪など“高齢者増税”を見直し、「天引き」をやめさせます

「一元化」や「積立金方式」を看板にして負担増・給付減をおしつける改悪に反対します――制度間の格差をなくして、公平な年金制度へ前進させます

社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の実施に反対します
(出典:総選挙2014)
生活の党
・最低保障年金と所得比例年金の構築により年金制度の一元化を図ります。
(出典:生活者本位の国へ(※PDF))
社民党
・だれもが安心して老後を迎えられるよう、最低保障機能を備えた年金制度を創設します。廃止された老年者控除や縮小された公的年金等控除を復活します。

・基礎年金には年金を目減りさせるマクロスライドをかけないように法律の改正を求めます。

・重い保険料負担を軽減できるよう、非正規労働者に対する社会保険制度の適用を拡大します。

・公的年金の積立金は、被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ確実な運用を堅持します。
(出典:平和と福祉はやっぱり社民党)
新党改革
・「年金通帳」で信頼される年金制度を確立
年金年齢に達したあと20年間の平均寿命で、納めた保険料の約1.5倍以上になって戻ってくることはあまり知られていません。銀行預金よりも安心で、株式投資よりも安全な保険制度なのです。

荒井代表は10 年前より、毎月納付した保険料の額と、もらえる年金額を記載した「年金通帳」を提案してきました。いつでも記帳して、将来もらう額を確かめることが出来る。そして何より1.5 倍以上を約束する「年金通帳」で、信頼できる年金制度の確立を目指します。

・スリーインワン保険
国民年金、介護保険、医療保険の一体化
「年金通帳」導入に加え大胆な方法論があります。「将来年金はもらえないのではないか」「今の生活が大変だから」と年金保険料を納めない方が増え、4 割近くが未納となっています。

もらうのが老後になるため、若い世代ではその必要性の実感は薄いことも要因です。そこで人生を通して安心のサポートが得られるように、医療保険と介護保険、そして年金の三大国民保険を一体化する、スリーインワン保険(仮称)への統合を検討します。これで、年金未納者は激減するでしょう。事務経費等も軽減され財政再建にも役立ちます。マイナンバー制度の活用も併せて考えてゆきます。
(出典:2014年・約束)


各党のマニフェストにおける「介護」に関する記述


自民党
・通所介護、訪問介護、訪問看護、ショートステイ等を組み合わせた多機能型サービスを整備推進します。

・認知症の方とそのご家族が、地域社会で安心して暮らせるよう、症状の初期段階から専門家がチームで対応できる体制づくりとともに、行方不明者の所在確認の支援を行います。
(出典:景気回復、この道しかない(※PDF))
民主党
・医療と介護の連携、サービス付高齢者住宅の確保、在宅サービスの充実等により、住み慣れた地域で暮し続けられるように、地域包括ケアシステムの構築を進めます。

・認知症の人とその家族への支援を充実させます。

・介護・福祉現場での人材確保のため、民主党が提唱して成立させた介護職員・障害福祉従事者の処遇改善法に基づき、介護報酬、障害福祉報酬をプラス改定し、介護職員・障害福祉従事者の賃金を引上げます。

・財政支出を抑制し、要支援高齢者に対する訪問介護・通所介護サービスを市町村に移管する「要支援切り」は、介護サービスの質と量の低下を招き、家族の介護のために離職する「介護離職」や介護する家族も倒れる「共倒れ」が増加するため、見直します。
(出典:今こそ、流れを変える時。(※PDF))
維新の党
・地域における医療と介護の切れ目のないサービス提供。がん患者の緩和ケアはじめ、わが家で療養できる在宅医療の基盤を整備する。
(出典:身を切る改革。実のある改革(※PDF))
公明党
1.地域包括ケアシステムの構築
誰もが住み慣れた地域で老後を安心して暮らせるために、医療、介護、住まい、生活支援サービス等を高齢者が地域の中で一体的に受けられる「地域包括ケアシステム」の構築を加速します。

消費税増収分を活用した都道府県の基金については、医療分、介護分について必要な財源を確保するとともに、適切な配分と市区町村の現場に即した柔軟な運用ができるように取り組みます。また、同システム構築には、介護人材の確保が大きな課題になっています。そのため、介護職員の処遇改善加算について、各事業所のキャリアパスの構築が進むよう取り組みます。さらに、低所得の高齢者のための住まい確保とともに、24時間365日いつでも利用可能な在宅支援サービスを強化します。あわせて、認知症が疑われる早期の段階から家庭訪問を行い、本人はもちろん家庭支援を行う認知症初期集中支援チームを全市町村に設置します。
(出典:manifesto2014(※PDF))
次世代の党
※記載なし
(出典:次世代が希望を持てる日本を)
共産党
「医療・介護総合法」=介護保険大改悪の中止・撤回を求めます
・特養ホームの待機者をゼロに――国策転換で「介護難民」を解消します
・サービスとりあげ中止、利用料・保険料減免――「必要な介護が保障される制度」に
・介護・福祉労働者の労働条件改善、介護報酬の増額――提供体制を強化する
・介護職の常勤化、人員配置基準の改善をすすめる
・介護職の地位向上に逆行する改悪に反対…
・介護職による医療行為の代替は見直しを
・現行制度の不合理をただし、介護保険・介護報酬の改善をすすめます
・貧困・病気・孤立など高齢者の困難を解決する福祉・医療体制を構築します
・自治体の高齢者福祉を立て直す
・低所得で身寄りのない高齢者に住まいを保障する
・“保険給付の肩代わり”ではなく、地域福祉の本来の役割発揮を応援する
・医療・介護の連携をすすめる
・認知症対策を促進する
(出典:総選挙2014)
生活の党
・介護休業制度の拡充とともに、地域の知恵を活かした在宅介護に係る現金給付など介護手当をセットで導入します。
(出典:生活者本位の国へ(※PDF))
社民党
・特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設を増設し、安心の老後を実現します。

・介護と医療の連携強化、小規模多機能施設やグループホームへの支援を強化し、在宅生活を支えます。要支援者が必要とするサービスを確実に提供できる体制をつくります。認知症の人や家族を支援する体制をつくります。

・介護現場の人手不足は深刻です。介護職員の賃金の引き上げ、待遇改善に取り組みます。人材の確保・養成に力を入れます。"
(出典:平和と福祉はやっぱり社民党)
新党改革
■介護
認知症対策
・住みなれた地域や自宅で安心して老後を暮らすことができるようなシステムを促進していきます。

・医療と介護・福祉・消防等との地域連携・広域連携を推進し、効率的・包括的な介護 を実現します。

・介護士の努力を正しく評 価する仕 組みを導入し、待遇改善や、キャリアパスの充実を図り、介護の質を高めていきます。

・2012年の認知症患者数は、約 462 万人と推計されています。記憶力低下だけではなく 、生活障害を含めた認知症の早期発見、早期アプローチを可能とする為に、社会的な経験を蓄積していく仕組みを作り、また、住みなれた地域で暮らしていけるよう、きめ細やかな医療・介護の施策づくりを行っていきます。

・また、自分らしい老後のライフスタイル実現の拠点となる高齢者向け住宅について、中古住宅の活用などにより供給数を増やし、バリアフリーを充実させ、入りたい人の希望が満たされるようにします。
(出典:2014年・約束)


各党のマニフェストにおける「医療制度」に関する記述


自民党
世界に冠たるわが国の国民皆保険を次の世代にもつなげるため、医療保険制度改革を行います。

医師、歯科医師、薬剤師、看護師、介護職員等の人材確保を行うとともに、介護や障害者福祉サービスを担う職員の処遇改善を行い、医療・介護等の充実につなげます。

住み慣れた地域で「切れ目のない医療・介護」が受けられるよう、医療機関の病床の役割に応じた機能分化や医療介護の連携の支援と地域包括ケアを進めます。

一人ひとりが健康づくりを続けていけるよう、地域社会・職場・学校での環境整備を行います。
(出典:景気回復、この道しかない(※PDF))
民主党
・医療崩壊の危機を防ぐため、医師・看護師不足対策に取り組み、医療従事者の過酷な労働条件を改善します。

・チーム医療の強化、有床診療所の活用などにより、地域医療を充実させます。

・国民皆保険を堅持します。医療保険全体の安定的な運営のため、保険者間の負担の公平化、国民健康保険の都道府県単位化など医療保険の一元的運用を進めます。高齢者医療について年齢で差別する診療制度はなくしましたが、保険制度についても年齢で差別する制度を廃止します。

・歯科医療を充実させます。予防医療、運動器障害(ロコモ)対策を充実させ、健康寿命を延ばします。
(出典:今こそ、流れを変える時。(※PDF))
維新の党
・診療情報の登録を推進し、ビッグデータの活用で医療費の抑制と医療の質の向上を同時に実現する。

・医療費等に関わる消費税制の見直し"
(出典:身を切る改革。実のある改革(※PDF))
公明党
※がん対策、再生医療、難病などへの言及はあるものの医療制度全般については記載なし
(出典:manifesto2014(※PDF))
次世代の党
患者の選択肢を広げるための混合診療の解禁、医療費自己負担割合の一律化
(出典:次世代が希望を持てる日本を)
共産党
・高すぎる窓口負担を軽減し、先進国では当たり前の“窓口無料”をめざします

・後期高齢者医療保険料の大幅値上げに反対し、差別制度の撤廃をめざします

・「国保の都道府県単位化」に反対し、国民健康保険の再建・改革をすすめます
〔高すぎる国保料(税)を引き下げ、低所得者の負担減免をすすめる〕
〔生活困窮者からの国保証取り上げをやめる〕
〔強権的な取り立てをやめ、住民の生活と権利まもる行政に〕
〔窓口負担の減免を推進する〕
〔小手先の「都道府県単位化」ではなく、真の制度改革を〕
〔国保組合の独自給付と国庫補助をまもる〕
・患者「追い出し」・病床削減をやめさせ、必要な治療を保障します
・保険外治療の拡大・混合医療の解禁を許さず、保険医療を拡充します
・「医療費適正化計画」のさらなる改悪に反対します
・削減されてきた診療報酬を元に戻し、地域医療を再建します
・医師不足を解決し、地域医療体制をたてなおします
・看護師不足を解消し、安全でゆきとどいた医療を


・自公政権による改悪をただし、安心できる医療制度への改善をすすめます 〔協会けんぽの改悪に反対し、中小企業の労働者の医療をまもる〕
〔健診をゆがめる制度改悪に反対し、改善・充実をはかる〕


・社会保障の給付削減をねらい、国民のプライバシーを危機におとしいれる共通番号(マイナンバー)の実施に反対します

・医科でも歯科でも、国民に安全・安心の医療を保障するために
〔医療保険財政の立て直し〕
〔高額療養費の改善〕
〔無料低額診療への支援をすすめる〕
〔子どもの医療費無料化〕
〔診療報酬の改革〕
〔出産一時金の引き上げと改善〕 〔歯科医療の充実〕
〔医療の安全、患者の権利の確立〕
〔がん対策〕
〔薬害・肝炎対策〕
〔たばこによる健康被害をなくす取り組みを進める〕
〔医療機関への消費税ゼロ税率適用、事業税非課税・租特法26条の存続〕
〔救急医療の拡充〕 
〔助産師・助産院への公的支援〕
〔在宅医療・介護における駐車問題の解決〕

(出典:総選挙2014)
生活の党
・医師の適正配置、診療科の偏在是正を推進するために地域医療基本法を成立させます。
(出典:生活者本位の国へ(※PDF))
社民党
・地域の医療を守ります。総合医の養成に取り組みます。公立病院の統廃合や民営化、社会保険病院、厚生年金病院等の廃止に歯止めをかけます。

・国民皆保険制度の中心を支える市町村の国民健康保険制度に公費を投入し立て直しを図ります。

・後期高齢者医療制度を根本的に見直します。70歳~74歳の医療窓口負担1割を継続します。"
(出典:平和と福祉はやっぱり社民党)
新党改革
■安心と希望の医療ビジョン
・医療制度改革(医師・看護師不足の解消、救急医療体制の整備、周産期医療体制 の充実、コメディカルの拡充など)をさらに進めていきます。

■医療・介護のデーターベース公開
・医療や介護の質を高め、保険料や自己負担に対する納得感・透明性を高めるため、医療・介護関連のデーターベースの公開・連結を行います。既存勢力からの反対に対しては、国民のデメリットよりメリットが大きいことを説明しつつ、政治がリーダーシップを発揮することで、政治主導で実現していきます。
(出典:2014年・約束)

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