※この記事は2014年12月10日にBLOGOSで公開されたものです

12月14日に行われる衆議院総選挙に向けて、各党の政策が発表されている。BLOGOS編集部では、テーマごとに各政党のマニフェストの内容を抜粋してお届けする。各党の政策を比較し、投票時の参考にしてほしい。今回は、被災地の復興に関する各党の記述を抜粋した。

各党のマニフェストにおける「被災地の復興」に関する記述


自民党
<東日本大震災からの復興加速化を>
・引き続き、東日本大震災からの復興を最優先に進めます。わが国で開催される2016年のサミット、2020年オリンピック・パラリンピック東京大会では、復興を果たしたわが国の姿をお見せすることで、世界中の方々からいただいたご支援、ご協力に報います。

・「復興集中期間」については、各種の特例措置・制度を充実させて延長を図るため、予算執行状況や今後の事業量を見極めながら、特例措置等の延長の可否等を精査します。その上で、地震・津波災害被災地域、原子力事故災害被災地域それぞれの視点に立って、被災現場の実情や将来展望等に合わせた細やかな施策を展開できるよう必要な財源確保に努め、復興10年の後半に挑みます。

・被災者の方々に一日も早く恒久的な住宅に入っていただけるよう住宅再建支援や工事の加速化を図るとともに、「いつ、どこに、誰と、どのように」住めるのか、街並みの全体地図を含めて誰にでも分かる工程表を整備し、生活の見通しと希望が持てるように取り組みます。

・仮設住宅での避難生活の長期化や災害公営住宅への転居、新天地への移住等、被災者の方々の生活が多様化していることを踏まえ、心と体の健康維持に万全を期すため、必要な人員を確保しつつ、支援を充実強化します。

来年のゴールデンウィーク前までの常磐自動車道全線開通をはじめ、道路、鉄道等の基幹インフラ復旧を一日でも早く前倒しできるよう着実に推進します。

・産業・生業の再生を加速し、雇用の確保や教育、医療、商店街等の「まち機能」を整備して、安心して暮らせる環境を作ります。福島県では、その一環として、「イノベーション・コースト構想」の実現に向けて、政府と一体で取り組みます。

・帰還をお待ちいただく被災者の方々のための住宅建設を進めつつ、避難指示区域全体の将来図を早期に示す等、国・県・市町村・住民が一体となった4輪駆動の「協働」馬力で福島の再生を実現します。 "
民主党
「集中復興期間」(5年間)を延長し、被災地の復興に向けた施策をより強力に進めます。

・復興庁・復興特区・復興交付金などを活かし、まちづくり、高台移転の促進、雇用・働く場の創出などに取り組みます。

・子ども・被災者支援法に基づき 、健康調査の強化、母子・父子避難者への支援、帰還支援などを進めます。

・国の社会的責任を認め、福島の原子力災害からの復興及び再生を推進します。事故原発の安全確保に万全を期し、汚染水漏れなど廃炉の課題に主導的に取り組むとともに、風評被害対策、除染の徹底、速やかな賠償などを通じ 、生活再建・安定化を迅速に進めます
(出典:今こそ、流れを変える時。(※PDF))
維新の党
13.震災復興は地元目線で
・平成27年度に見直し予定の「道州制特区推進法」に北海道だけでなく東北地方を加え、道州制を視野に入れた権限や財源の以上を進め、被災地はじめ東北6県の発意で復興と再生を実現する

・巨大なコンクリート防波堤に代表されるハード偏重からソフト重視の復興支援策へ転換する
・復興は人づくりから。地元の大学に地域の若者を集め、東北で起業する環境を整備する。
・東電福島第一原発事故の収束は国家プロジェクトして国が責任を持ち、東電任せにせずに世界から技術と人材を集めて実施する。
・「子ども被災者支援法」の基本理念に基づき原発事故被害者の生活再建支援を最優先にする "
(出典:身を切る改革。実のある改革(※PDF))
公明党
1.東日本大震災からの復興加速化
引き続き、東日本大震災からの復興を最優先に取り組みます。その際、復興の進展にあわせ、被災地・被災者の視点に立ったきめ細かな対策を講じます。 被災者の方々が安心して住み続けられる住宅に居住できるよう、工程表に沿って、まちづくりとあわせて整備を促進します。産業・生業の再生を図るとともに、医療・介護等の整備、基幹交通インフラ等の復興を進めます。

特に、2015年度までの「集中復興期間」以降についても、残された課題等を見極めつつ、個々の被災地域の実情・視点に立って、将来に向けた展望・ビジョンに合わせた施策を展開できるよう必要な財源確保に努めます。

2.福島の再生と「イノベーション・コースト構想」の推進
福島の再生に向けては、原発事故の収束や廃炉・汚染水対策、除染、賠償、帰還支援など広範にわたる課題に対して、これらの課題を整理した再生プランを基に、被災者の理解が得られるよう丁寧に進めます。国・県・市町村・住民が協働して復興計画を作り、被災自治体の実情・要望に応じて国の責任で実行に移します。 国内外に対する放射線に関する正確な情報提供の強化をはじめ、風評被害対策を強化します。浜通り地区における新たな産業集積の構築など復興に向けた地域戦略を展開するため、「福島・国際研究産業都市(イノベーション・コースト)構想」の早期具体化に向けて、政府一体での取り組みを推進します。

3.原発事故からの収束―除染、廃炉・汚染水対策
東京電力福島第一原発事故による被災者の方々の早期帰還に向けて、復興の動きとあわせて除染の実施等を推進し、生活再建への環境が整った地域から避難指示の解除を進めていきます。あわせて、福島第一原発の廃炉・汚染水対策を国内外の叡智を結集し、安全かつ 着実に実施します。

中間貯蔵施設については、30年以内に福島県外で最終処分を完了することや施設に係る国の責任の明確化を前提に進めていきます。汚染土壌等の搬入については、周辺住民の方々の十分な理解と万全な安全対策を講じつつ、2015年1月開始をめざします。

4.心のケア、リスクコミュニケーションの充実等
復興の進展にあわせ、変化・多様化する被災者の方々への健康・生活支援については、被災者の方々の心身の状況等に応じたきめ細かな支援策を講じます。避難者の孤立死の防止、高齢者の生きがい健康支援、子どもの心のケア等、適切な支援策を講じます。また、災害公営住宅のコミュニティの形成を支援します。低線量・内部被ばくの防止対策に万全を期しつつ、継続的な健康調査を実施します。避難指示区域の見直しによる早期帰還の実現等に向けて、放射線に関する適切なリスクコミュニケーションを進めます。

5.農林水産業をはじめとする産業の振興
復興に向けたまちづくりとともに、活力ある地域経済の再生に向けて、農業、林業、漁業、水産加工業などの主力産業の振興を支援します。特に、販路の確保・拡大など再生を後押しする支援を強化します。

特に、福島では「イノベーション・コースト構想」をはじめ、「再生可能エネルギーの世界的な先進地=福島」に向けた取り組みを加速します
(出典:manifesto2014(※PDF))
次世代の党
被災地復興の促進
(出典:次世代が希望を持てる日本を)
共産党
・東日本大震災被災者支援は生活再建を基本に

東日本大震災の復興について日本共産党は、「21世紀半ばのあるべき姿を目指す」ことや「わが国が直面する課題等の解決に資するための先導的施策への取組」などを国が押し付けるのでなく、被災者を中心に据えた復興をすすめることを要求してきました。

被災地の実態にあわない国の基準によって支援の対象を振り分けるやり方を転換し、生活や生業の基盤である住宅や事業所・店舗なども含めすべての被災者を支援の対象とすべきです。被災者生活再建支援法にもとづく支援金を300万円から500万円に引き上げ、半壊などにも支援を拡大します。

被災者の医療費窓口負担などを国の責任で免除するとともに、グループ補助金やまちづくり事業などについては、現場の声を反映させ、被災地にとって使い勝手のよい制度とすることが必要です。JR線の早期復旧をすすめることも地域の再建にとって不可欠です。政府は復興財源を来年度までしか示していません。国が、必要な復興財源を確保するとともに、住宅再建や被災者支援に地域の判断で使えるようにします。

地震・津波と原発事故による複合災害により生活の基盤が奪われている福島県では、復旧・復興がすすまない中、避難指示区域の見直しを根拠にした東京電力による賠償切り捨ての動きが強められています。10月におこなわれた県知事選挙で「みんなで新しい県政をつくる会」は、①原発事故の収束と県内原発の全基廃炉、②徹底した除染と完全賠償、③子ども・県民の健康を全力で守る、④県民の一人ひとりの暮らし・生業の再建――「4つの願い」の実現を訴えました。国は、福島県以外の被災地を含め、安心して暮らせる条件を保証すべきです。

・被災者への支援を強化します

日本共産党は、被災者の最低限の住まいや生業など生活基盤の回復のための支援を国の責任でおこなうことを主張し、(1)自宅避難者をふくめ当面の生活の維持への支援をおこなうこと、(2)被災者生活再建支援制度については全壊や大規模半壊だけでなく半壊などに対象をひろげるとともに支給額を引き上げること、(3)地域経済とコミュニティの担い手である中小商工業者の事業の再建については金融に限定せず事業所や事業用施設・設備再建を直接支援の対象とすること、(4)被災者の自立にとって大きな障害となっている既存ローンの負担を抜本的に軽減すること、(5)被災住宅の被害判定については、竜巻や浸水被害、液状化などの宅地被害にも対応し、失われた住宅としての機能を反映した判定基準とすること──などを柱にした被災者支援を実現するため、引き続き被災者のみなさんと力をあわせます。

東日本大震災では、就業機会の再建をふくめ、被災者が生活と生業の再建を果たしきるまでの支援の必要が明らかになりました。災害救助法にもとづく応急救助が、被災者の生活再建に効果的に結びつくようにするとともに、国庫負担を最大で全額とするなど必要な見直しをおこなうべきです。被災住宅の応急修理や障害物の除去については、高齢世帯や母子世帯など実際に自力ではできない世帯はすべて救助の対象とする、特別基準による基準額や適用期間の延長など、現金供与も含めて被災の状況に見合った全面的な活用を追求します。「震災障害者」への支援や激甚災害制度を含め被災者や被災地の実態に即した実効ある支援制度とするため全力をつくします。 "
(出典:総選挙2014)
生活の党
5.東日本大震災からの復興加速

・福島第一原発事故の早期収束を政府主導に転換し、被災住民への損害賠償、汚染水対策・廃炉作業を迅速かつ適切に実施します。
・復興用地取得の特例措置などによる住宅再建やまちづくりの推進を加速化させます。
・除染しても居住にふさわしくない地域の被災者の移住を経済的に支援します。
・雇用創出を視野に入れた復興計画を推進し、地域経済を再生します。
(出典:生活者本位の国へ(※PDF))
社民党
・被災地の復興に勝る政策の優先課題はあり得ないとの大原則で予算の優先順位を明確化。

・2015年度までとされている震災の「集中復興期間」の延長、復興交付金はじめ国の特例的な財政支援を継続・拡充。被災地で進む公的支援の縮小に歯止め。

・多様化する被災地の要望を迅速・柔軟に反映する国の支援制度を確立。

・「人間の復興」を掲げ、被災者・避難者へのきめ細やかな生活支援を着実に推進。一日も早い災害公営住宅の整備、十分な住宅整備と一定の生活再建が実現するまで応急仮設住宅の無償提供を継続。仮住まいの期間をハード・ソフト両面で支援する万全の体制を確立。二重ローン問題解消を強力にサポート。

・「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業(グループ化補助金)」制度など被災企業支援策の長期継続、要件・対象範囲の拡大、柔軟な運用などによって雇用の受け皿を確保。

・被災県への中長期的な教職員の加配措置、全国からの自治体職員派遣増加や中途採用を増やせる交付税拡充など、被災自治体支援を強化。
(出典:平和と福祉はやっぱり社民党)
新党改革
東日本大震災・原発事故被害からの復興を加速します
(出典:2014年・約束)

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