知った場所でもムルチを駆ると特別な時間に【Multistrada Discover Japan Trip Part1】(ピックアップ)
ツーリングの定義を刷新するあっぱれなムルチ
Multistrada Discover Japan Trip をまずは京都の散策でスタート。造り酒屋の蔵がみせる佇まいと、春爛漫の陽射しに映える桜の華やかさは、却って息が詰まる思いで呆然としてしまった。
いやムルチのせいだ。徒歩での散策や、長く馴染んだ旅バイクなら、唯々見とれて和めたはず。今回は傍らにムルチがいて、その存在を意識せずにはいられない。
ムルチの大柄な車体は、跨がるというより大型トラックの視点の高い運転席へ座る感覚。自分が周囲を威圧する側にいる優越感に浸れる。
しかもV4という、捻ったら飛び出す暴れん坊を懐に抱え、少し気後れしつつ細い裏道へ足を踏み入れるのが、こんなに心地よいとは想像もつかなかった。
そして向かったのが清水寺の急な坂道にある湯どうふ屋。京都には大人が嗜む粋な食文化だらけだが、その極みのひとつだと思う。いつもは嵐山だが、今回は春のうららに混み合う細道を進む。
赤い大柄なイタリアンの不釣り合いさといったらない。なのに迷惑そうな顔ひとつせず、通り過ぎる京都人の我関せずな生き様とのコントラストがたまらない。京都にいるという昂ぶりと、押しの強いムルチとのコンビネーションが、想像つかなかった新しい「旅」の発見へ誘う。
当たり前だけど、狭い裏道を抜け出してドバーッと路面を蹴っ飛ばしたくなる誘惑に見舞われ、どうせ行くなら全く知らない京都の山の風情に触れたくなった。
山に行きたくなるのは、タイヤから伝わる大雑把に走れる意外な軽快感もある。リーンアウト気味に曲がりくねった山道を、いかにもチャレンジングに駆け抜けるシーンをイメージする。
電子制御フル装備なのに、いやだからこそワイルドな環境へ行きたくなる。ライダーじゃないと伝わらないだろうな、などと呟きながらひたすら北へ。
ここは貴船神社、山への玄関口で夏は渓流を眺めながら涼める、趣のあるリゾート地。
もちろんさらに林道へとムルチは登り続ける。正直ちょっと心細くなるほど陽の届かない濡れた山々と森の世界は、神聖というより何かが住んでいるに違いない空気に、どこまでこの緊張感に堪えられるか、そんな心落ち着かない時間との闘いになりつつあった。
落ち葉で横滑りが終了の合図。山の神へ無事を感謝して麓へと退散。アドベンチャー気分を楽しむというより、ライダーの不安をサポートする足回りやエンジン特性に助けてもらうばかり。
ドゥカティがこんな領域にも本気なのを思い知らされ、新しいツーリング世代の誕生に正直感動した。乗ってみなければ、そして旅をしないとこの次元は伝わらないだろう。
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