KN/JNマスクがコロナ対策にはオススメな理由 サイズの選び方など見ためではわからない最新マスク事情

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FASTALERT(ファストアラート)の新型コロナウイルス リアルタイム情報によれば、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の新規感染者数は減少傾向にあるが、累計感染者数は今もなお、増え続けている。

感染対策の有効な方法としてマスクの着用は今や必須であり、厚生労働省も手洗い、3密回避、換気などとともに徹底をうながしている。

そこで今回は、改めて最新のマスク事情を確認してみた。

マスクの種類
マスクは用途別に、
・家庭用マスク
・医療用マスク
・産業用マスク
これら3種類に大別される。

〇家庭用マスク
日常的に使用するマスクのことで、形状や素材によって性能も異なる。
主に花粉や微生物などの進入を防ぐために使用される。

〇医療用マスク
医療現場で使用されることが多く、サージカルマスクとも呼ばれる。
・医師や看護師が体内の微生物を患者に感染させない
・患者の血液や体液に含まれるウイルスに感染しない
これらの目的で使用される。

〇産業用マスク
工事現場や工場で使用されることが多く、作業時に発生する塵(ちり)などから身を守る用途から「防塵マスク」とも呼ばれる。
形状としては、
・口と鼻を覆うタイプ
・顔全体を覆うタイプ
この2種類がある。

■素材別、マスクの種類は?
マスクは、素材の違いによって、以下の3つに別れる。
・不織布(ふしょくふ)タイプ
・ガーゼタイプ
・ウレタンタイプ

〇不織布タイプ
繊維を織らずに絡み合わせたマスク
安価に製造できるため、使い捨てを前提とした製品に広く使用されている。
厚みやすき間を自由に調整できるメリットがある。
また立体構造のマスクは、口紅が付きづらいため、女性に人気がある。

最近の不織布マスクには、
・KN95
・JN95
このような表記のマスクがある。

これらのマスクは一般的な不織布マスクとは何が違うのだろうか。

KN95を説明するために、まずはN95という規格について触れておこう。
・N…「not resistant to oil」(耐油性がない)
・95…塩化ナトリウム(空力学的質量径0.3μm)の捕集効率試験で95%以上捕集する性能を備えている
N95マスクは、5μm以下の飛沫核に付着した病原体を捕集することができる。

このN95と同等の基準をクリアした中国の規格GB2626-2006に準じたマスクがKN95マスクなのだ。

JN95は、韓国製のKF94に似た製品だが、日本で製造されている立体マスク
国内清潔基準のもと、最高品質を目指して作られている。
KN/JN95タイプは4層フィルターとなっており、一般的な不織布マスクの3層フィルターよりフィルター数も多い。
一般財団法人カケンテストセンターが実施する微粒子捕集効率試験においては、捕集率平均99.9%と、性能的な面でも安心感がある。


上は一般的に使用されている「不織布マスク」、下は立体構造を採用した「KN95マスク


〇布タイプ
ガーゼと、それ以外の布のタイプがある。
ガーゼタイプは綿のガーゼを使用したもので、肌ざわりがよく、保温性や保湿性に優れている。


100円ショップで購入した「ガーゼマスク」。口紅付着防止用の布を付属


ガーゼでない布タイプは、様々なデザインのマスクが販売されている。
肌触りが良く、衣料用洗剤で洗えるマスクや抗ウイルス加工ガーゼを挟んだマスクなどもある。


迷彩色の「洗える布マスク


〇ウレタンタイプ
通気性に優れており、カラフルな色や様々なデザインのマスクがある。
洗えるマスクであれば、家庭用洗剤で汚れを落として、繰り返し使用できる。


通気性に優れた「ウレタンマスク



■種類別、マスクの効果は?
理化学研究所が2021年3月に発表した研究レポート「室内環境におけるウイルス飛沫感染の予測とその対策」の「2021年3月4日 記者勉強会 発表資料(PDF 約7.5MB)」では、「マスク素材のフィルター補集効果と通気性脳の関係」についての研究結果を公表している。

マスク捕集性能は性能が高い順番に、
・N95
・不織布
・布
・ウレタン

結果を見ると、
N95は100%近い性能を誇る。医療現場で使用されるのもうなずける。
ウレタンの性能はかなり低く、性能が低い不織布の半分以下しかない。

通気性能は、
・ウレタン
・布マスク
・不織布
・N95
このように、ウレタンマスクの通気性がもっとも高い。


■飛沫防止の効果は?
くしゃみをしたとき、くしゃみをされたときの飛沫について、気になる人もいるだろう。
理化学研究所は2020年12月、スーパーコンピューター「富岳」で、マスク素材ごとの飛沫防止効果のシミュレーションの結果を発表した。

「吐き出し飛沫量」の測定結果は、
・不織布マスクは、約80%
・ウレタンマスクは、約50%

「吸い込み飛沫量」の結果は、
・不織布マスクは、約70%、
・ウレタンマスクは、約30〜40%

ここで、
吐き出し飛沫量 ウイルスに感染していれば、他者にうつす可能性がある
吸い込み飛沫量 ウイルスをうつされる可能性がある

ウレタンマスクは不織布マスクに比べて、ほぼ半分の性能だといえる。

マスクをしていない人に過剰反応する「マスク警察」と呼ばれる人たちは以前から存在したが、今ではこうした理由から「ウレタンマスク警察」と呼ばれる人も登場している。


■2重マスクの効果は?
マスクを2重にすれば、効果が増すのではないかと考える人もいるだろう。
実際のところ、2重マスクの効果はどの程度なのだろうか。

スーパーコンピューター「富岳」でシミュレーションした結果、2重マスクの効果はわずかであり、1枚を顔に密着するように着けた状態と同等だという。


2重マスク、スパコン「富岳」が効果を計算 結果は意外



マスクサイズの決め方は?
マスクサイズには、簡単な決め方がある。

一般社団法人 日本衛生材料工業連合会のホームページによると、
・親指と人差し指でL字を作る
・耳の付け根の一番高い場所に、親指をセット
・鼻の下の付け根から1cm下の場所に、人差し指の先端をあてる
・親指から人挿し指までの長さを測定する
この4つからマスクサイズを決定することができる。


マスクの測定法(一般社団法人 日本衛生材料工業連合会のホームページより)
https://www.jhpia.or.jp/product/mask/mask2.html#q3


測った長さによるおすすめのサイズは、
・9〜11cm…子ども用サイズ
・10.5〜12.5cm…小さめサイズ
・12〜14.5cm…ふつうサイズ
・14cm以上…大きめサイズ
このようになるという。

新型コロナウイルス感染症というパンデミックを経て、今では外出時に欠かせないアイテムとなったマスクだが、詳しく調べてみると案外知らないこともあるだろう。マスクの種類だけでなく、正確なマスクサイズや装着方法も実践すれば、より効果的な感染対策となり得るだろう。

一般社団法人日本衛生材料工業連合会
2021年3月4日 記者勉強会 発表資料(PDF 約7.5MB)
飛沫やエアロゾルの飛散の様子を可視化し有効な感染対策を提案 〜「富岳」による新型コロナウイルス対策その1




ITライフハック 関口哲司