予選落ちすら懸念されていたものの、終ってみれば28位タイ。来年に期待　（Photo:JJ.Tanabe）

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　全米女子オープンの勝利の行方は通算イーブンパーでフィニッシュした女王アニカ・ソレンスタムとパット・ハーストによる18ホールプレーオフに持ち越されることになった。ミシェル・ウィー、朴セリら３名は通算２オーバーで３位タイ。宮里藍は通算14オーバーで28位タイ。不動裕理は通算17オーバーで46位タイに終わった。

　今日は36ホールの長丁場。第３ラウンドではパットが冴え、１アンダー70で回って順位を上げた宮里だが、第４ラウンドは４連続ボギーを喫し、79とスコアを落とした。それでも、「これだけ距離が長くでも、噛み合えばアンダーが出せるといういい経験になった」と笑顔を見せた宮里。しかし、その胸中は複雑だったと思う。そして、彼女の複雑な思いは「来年はこの試合に合わせて100％でやりたい」と語った言葉に表れていた。

　来年は100％でやりたい――今回は100％でやれなかったという意味。開幕直前に父・優氏から指示されたパット修正が尾を引いたことを指している。もちろん、複雑な気持ちは父・優氏も同じだ。「（修正を）やるかやらないか、結果だけを求めていくのかどうか、その判断は難しい」と優氏。では、今回はなぜ「やる」ことを選んだのか。優氏は言う。「修正前のパットはアメリカでつぶれて帰ってくる藍のイメージしかなかった（それほどひどかった）」。パットやスウィングの修正を行なえば、慣れるまでに時間がかかることは、宮里も優氏も当然ながら承知の上だ。「（今回パットを）修正したとき、藍は本当は嫌だった。でも、予選落ち覚悟で聞いてくれたのは偉かった」

　全米女子オープンは、メジャーであり、宮里にとっては思い入れの強い大会でもある。その大会の開幕直前にあえてパット修正を行なうべきか否か。父娘の葛藤は想像にあまりある。しかし、考え方を変えれば、「やるべき」という答えも出ることは出る。と言うのも、宮里はまだ21歳になったばかりで、米ツアーではルーキー。先は長い。メジャーに出場するチャンスは今後15年以上もある。「目先」ではなく「長い目」で見れば、今大会とて未来へ続く長い道程上の通過点にすぎないのだから、悪いところはその場で直すという選択肢も出てはくる。

　あとは、本人が何をどう選ぶか。今回の宮里は優氏の指示通り、パット修正を「やる」を選んだ。自分のフィーリングが失われつつあるパットでタフなコースに立ち向かうのは苦しさ倍増の72ホールだったであろう。しかし、だからこそ、昨年は果たせなかった予選通過を成し遂げ、戦い通した今、収穫は逆に倍増したとも言える。上位入りできなかったという結果は結果。「気持ちの問題が一番大きい」と語った宮里は、今後のメジャーやビッグ大会への臨戦態勢を含めて、あれこれ考えることが増えただろうが、そのぶん彼女は大きく成長すると信じたい。