藍に世界的な運はある？〜〜全米女子オープン練習日
ラフの設定は、大どんでん返しの末に閉幕した男子の全米オープンの舞台ウイングドフット同様、３段階になっている。ファーストカットの芝の深さは約３センチ、セカンドカットは8.5センチ、サードカットは11．25センチ以上。だが、このサードカットは、ラフというより「ススキ野」に近い。英国のリンクスでおなじみのフェスキューがうっそうと生い茂っているのだ。その意味では、ショットを大きく曲げた場合、ＵＳＧＡの今年のお気に入りと思われる「３段階ラフ」の難しさはウイングドフット以上。しかし、女子の場合、男子ほど曲がり幅は大きくないから、３段階目まで曲げる選手は少なく、フェスキューとの格闘シーンはさほど見られないと予想される。もしも男子選手たちがこのニューポートでプレーしたら、フェスキューが加わった「３段階ラフ」の難しさが思い切り発揮されるに違いない。
前置きが長くなってしまった。本題は、もちろん宮里藍がどんな戦いを披露するかである。しかし、練習日段階を見る限りでは、ちょっぴり雲行きが怪しい。というのも、父親でありコーチでもある優氏が現地を訪れ、宮里のパットを調整中。「（これまでのパットで）よく優勝争いをやっていたと思った」と優氏が言うほど、宮里のパットには狂いが出ていたそうで、オープンになりすぎていたスタンスをスクエアに直し、ボールポジションを体に近づけて目の真下へ持っていった。だが、肝心の宮里は「結構、違和感がある。自分のものになっていないまま試合を迎えるのは残念」。優氏も「これを言わなければ眠れないから……」。コーチとして指摘するべき修正点を指摘したけれど、娘の戸惑いを思う父親としては複雑な心境のようで、「パッティングできないと、（このコースは）しのげないね。（この大会には）不動さんより強いのがゴロゴロいて、みんなパワーエンジンをつけているんだから、藍は世界的な運がないと……」
元来、スーパースターは強運の持ち主だ。日本の国民的スターであるアイ・ミヤザトも強運の持ち主。と言うより、強者は強運を自分に呼び込む術を知っている。それが、スターがスターたる由縁だ。現在の藍ちゃんが持つ「運」は、優氏が言う「世界的な運」まで達しているのかどうか。「藍の力を量るいいチャンスです」と優氏。戦いは明日から始まる。
・[写真]宮里藍、ミシェル・ウィー − フォトギャラリー
