Appleが2021年11月10日にデバイスの管理、Appleによるサポート、クラウドストレージなどを1つにまとめた中小企業向けサブスクリプションサービス「Apple Business Essentials」のベータ版を発表しました。これにより、中小企業は従業員のデバイスの設定やインストールする業務用アプリ、データのバックアップを一元的に管理し、Appleによるサポートやデバイスの修理および交換なども優先的に受けられるようになるなど、大企業のIT専門部署さながらの管理体制を構築できるようになります。

Business Essentials - Apple

https://www.apple.com/business/essentials/

Apple introduces Apple Business Essentials - Apple

https://www.apple.com/newsroom/2021/11/apple-introduces-apple-business-essentials/

Apple introduces Business Essentials service for SMBs | Computerworld

https://www.computerworld.com/article/3640310/apple-introduces-business-essentials-service-for-smbs.html

Apple's New 'Business Essentials' Program Solves 1 of the Biggest Technology Challenges Small Businesses Face | Inc.com

https://www.inc.com/jason-aten/apples-new-business-essentials-program-solves-1-of-biggest-technology-challenges-small-businesses-face.html

AppleのBusiness Essentialsは、従業員のデバイスのセットアップや業務用アプリのインストールといった設定や、24時間365日無休のAppleのサポート、クラウドストレージによるデータのバックアップなどを1つにまとめたサブスクリプションサービスで、従業員数500人以下の企業を対象としています。

Appleのエンタープライズおよびエデュケーション・マーケティング担当ヴァイスプレジデントのスーザン・プレスコット氏は、発表の中で、「Apple製品が、経済の中核をなす中小企業の成長を支援する役割を果たしていることを誇りに思っています。Business Essentialsは、そんな中小企業における従業員のデバイス管理をセットアップ、オンボーディング、アップグレードから、迅速なサービスや優先的なサポートへのアクセスまで、あらゆる段階を効率化できるように設計されており、データのバックアップとセキュリティを維持しながら、企業がビジネスの運営に集中できるようになっています」と説明しました。

Business Essentialsに含まれている機能は、以下の通りです。

◆Collectionsを使った管理

Collectionsは、IT担当者がユーザーやグループ、デバイスの設定を管理できる機能です。具体的には、Business Essentialsアプリを通じて従業員の端末に業務用アプリをインストールさせたり、VPN設定やWi-Fiのパスワード入力を自動的に適用したりできます。

実際にBusiness Essentialsを使用したComputerworldのライターであるジョニー・エバンス氏によると、Collectionsは「経理チームが使用する全てのハードウェアに指定のアプリをインストールさせる」といった使い方ができるとのこと。また、各従業員の役割や権限を割り当てたり、各アプリのライセンスを管理して「どのライセンスをいつ追加購入もしくはキャンセルすべきか」を把握したりすることもできるそうです。



◆FileVaultやアクティベーションロックによるセキュリティ

セキュリティ面では、ディスクを暗号化するMacのFileVaultや、紛失もしくは盗難に遭ったデバイスを保護できるアクティベーションロックなどを強制的に導入し、勝手に機能がオフにならないようにすることができます。また、従業員が扱う業務データは暗号化した上で従業員の私用データと分離させることができるので、従業員のプライバシーと会社のデータの安全性の両立が可能とのこと。

◆ビジネス用iCloudアカウントによるストレージとバックアップ

Business Essentialsには専用のiCloudアカウントが割り当てられるので、ファイルやドキュメントの保存、バックアップ、共有が簡単かつ安全に行えます。また、iCloud上の業務データは自動的に保存されるので、デバイスの移行や更新も簡単になります。

◆AppleCare+ for Business Essentialsによる包括的なサポートと修理

「AppleCare+ for Business Essentials」は追加のオプションで、加入すると24時間365日の電話サポート、IT管理者と従業員の両方が受講できるトレーニング、年に2回までのデバイスの修理が受けられます。また、最短4時間でAppleの技術者が現場に駆けつけて、デバイスの復旧も行ってくれるとのこと。AppleCare+ for Business Essentialsの追加価格は記事作成時点では不明です。



Business Essentialsは2021年11月10日からアメリカで無料のベータ版として提供されています。さらに、2022年の春に正式に開始された際は、「1つのデバイスと50GBのストレージが使える1デバイス当たり月額2.99ドル(約340円)のSingle deviceプラン」「最大3台のデバイスと200GBのストレージが使える1ユーザー当たり月額6.99ドル(約800円)のMultideviceプラン」「最大3台のデバイスと2TBのストレージが使える1ユーザー当たり月額6.99ドル(約1480円)のMultidevice, more storageプラン」が用意されるとのことです。

エバンス氏は、Business Essentialsを使ってみた感想を「分かりやすいユーザーインターフェースとすっきりとしたデザイン、必要なものが見つけやすいアイコンは『確かにApple』と言えるものでした。特に「設定」の画面では、パスワードやWi-Fi設定などの標準的な設定項目に加え、「省エネ設定」なども管理できます。会社が省エネ設定を管理することの重要性がよく分からないという人もいるかもしれませんが、最大500人の従業員のエネルギーコストを考えれば、このような管理機能のメリットは明白です」と話しました。