「AirPodsよりも際立っている」と評価されるワイヤレスイヤホン「Beats Fit Pro」レビューまとめ
Appleが2021年11月1日付けで、アメリカでワイヤレスイヤホン「Beats Fit Pro」を販売開始しました。販売価格は登場したばかりの第3世代AirPodsとAirPods Proの間となっていますが、使い勝手はどうなのか?ということで海外メディアのレビューをまとめてみました。
Beats Fit Pro review: sporty AirPod Pros with better sound - The Verge
Beats Fit Pro Review: The Fitness Alternative to AirPods
https://www.newsweek.com/beats-fit-pro-review-fitness-alternative-AirPods-1643643
Beats Fit Pro review: The sportier AirPods I've always wanted - CNET
https://www.cnet.com/tech/mobile/beats-fit-pro-review/
Beats Fit Pro review: Ahead of the pack | TechCrunch
https://techcrunch.com/2021/11/01/beats-fit-pro-review-ahead-of-the-pack/
Beats Fit Pro review | engadget
https://www.engadget.com/beats-fit-pro-review-140004462.html
Beats Fit Pro Review - SlashGear
https://www.slashgear.com/beats-fit-pro-review-01697756/
◆良い点
・邪魔にならず、かつフィット感のある形状
・バランスの取れた音質
・効果的なノイズキャンセリング機能と優れた透明モード
・Apple H1チップによってAirPodsの機能を引き継いでいる
・第3世代AirPodsではできない「デバイスでの音量調整」が可能
・Androidでの使用にも向いている
・第3世代AirPodsよりも長いバッテリー寿命
◆悪い点
・ケースがワイヤレス充電に対応していない
・ケースが大きくかさばる
・通話機能は第3世代AirPodsより弱い
・長時間の利用によってやや不快感あり
・物理ボタンの使いにくさ
ケースに入ったBeats Fit Proはこんな感じ。本体にはカーブのある突起がついています。
サイズは長さ3cm×高さ1.9cm×幅2.4cmで、重さは66.3g。シリコンチップがついています。
ケースのサイズは高さ2.85cm×長さ6.2cm×幅6.2cmで重さが55.1gです。
ややケースがかさばることと、USB Type-C充電のみでワイヤレス充電に対応していないことは、「高価格帯のイヤホンなのにあり得ない」と低評価されていた点です。
耳に装着している様子。
◆形状と耳へのフィット感
Beats Fit Proは、Newsweekが「AirPodsに代わる運動中の選択肢」、CNETが「スポーツ向けAirPods」と呼ぶアイテムで、耳にフィットして外れにくいがゆえに運動時に向いているのが特徴です。SLASH GEARはフィット感に関しては「間違いなく過去数年間で試したものの中で最も快適」と記しています。
BeatsブランドのワイヤレスイヤホンにはBeats Studio BudsやPowerbeats Proがあり、得にPowerbeats Proは耳を覆う形状なので運動時に外れにくいという利点がありましたが、一方で大きくてかさばるという点がデメリットとなっていました。Beats Fit Proは特徴的な突起があり、Beats Studio Budsよりはサイズが大きいもののPowerbeats Proよりは圧倒的に小さく、軽く、しかも同等に耳へのフィット感が高いという点が特徴です。また、IPX4等級の防水性能を有しており、飛沫程度の水であれば問題なく耐汗性もあります。
左がBeats Studio Budsで右がBeats Fit Pro。
Powerbeats Proはこんな感じ。
Powerbeats Pro、Beats Fit Pro、Beats Studio Budsのケースを並べたところ。ケースについてもBeats Fit Proはちょうど中間サイズとなっています。
AirPodsも形状に特徴があり、シリコンチップを使わなくとも耳から外れにくくする工夫がありますが、「激しい運動をするには十分ではない」という評価も複数ありました。一方でBeats Fit Proはほとんどのメディアが「運動時のソリューションとして最適解」との見解を示しています。
◆音質
Beats Fit Proには9.5mmドライバーが搭載されており、「AirPods Proよりも優れた音質を生み出す」とThe Vergeは記しています。9.5mmドライバーについてCNETは「明瞭さが生まれ、低音がよりパンチのある深いものになっていると思う」と記述。SLASH GEARは「バランスの取れたサウンドに感銘を受けました」「オーケストラや弦楽器を聞くとしたらBeats Fit ProよりもソニーのWF-1000XM4の方が優れていますが、ダンスやR&B、電子トラックに関してはBeats Fit Proが余計な誇張やピッチのない、暖かく活気に満ちたサウンドを提供してくれます」と記しました。全体として、「オーディオに並々ならぬこだわりがあるオーディオファン」を満足させるには少し物足らないものの、ワークアウトには最適、というレベルに仕上がっているようです。
また第3世代AirPodsにはついていないシリコンチップがついているので、サウンドをより豊かで、深く、緻密なものにするとNewsweekは評価しました。
◆空間オーディオなど
Beats Fit ProはApple H1チップを搭載するため、以下のようなAirPodsに搭載される便利な機能を多数利用できます。
・空間オーディオとヘッドトラッキング
・iPhone、iPad、Mac間との自動切換え
・全てのiCloudデバイスとの自動同期
・オーディオ共有
・「探す」の設定
・「Hey Siri」コマンド
・皮膚検知センサー
空間オーディオは、映画を見ているときに左右から違う音が流れることで臨場感のあるサウンドを生み出すというもの。またヘッドトラッキングは頭の向きを変えたりiPhoneを動かしたりしても適切にサウンドを調整してくれるというものです。これらは第3世代AirPodsにおいても高く評価されました。
◆ノイズキャンセリング
Beats Fit Proは基本的に、H1チップを搭載するAirPods Proと同様のアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載しています。ANC機能を搭載しない第3世代AirPodsよりもノイズキャンセリング機能が優れているAirPods Proには「外部音取り込みモード」が搭載されていますが、Beats Fit Proも外部音取り込みモードを搭載。Beats Fit ProのノイズキャンセリングはANC機能とシリコンチップによって構成され、ジムや街路の雑音をしっかりと遮断してくれるとのこと。
◆バッテリー寿命
Beats Fit Proのバッテリー寿命に関しては、ANC機能がオンの時と、オフの時(アダプティブEQモード)で異なります。アダプティブEQモードの時が最もバッテリー寿命が長く7時間再生が可能で、ケースでの再充電を含めると稼働時間は30時間になります。ANC機能および外部音取り込みモードを機能させると再生時間は6時間27分に短縮されます。一方で第3世代AirPodsのバッテリー寿命は音楽再生が6時間、ケースでの再充電を含めると30時間となっているため、バッテリー寿命に関してはBeats Fit Proの方が優れているといえます。
◆物理ボタン
Beats Fit Proはイヤホンの外側に「b」と書かれたボタンがあり、ここで操作を行う仕組み。ボタンの1回タップは再生/一時停止および通話、2回タップでトラックを進める、3回タップでトラックを戻す、長押しでANC機能/外部音取り込みモードの切り替えとなっているとのこと。なお、長押しは「音量調節」に設定を変更可能であり、第3世代AirPodsにデバイス上の音量調節機能がなかったことから考えると、これは利点だと評価されています。ただし、イヤホンをしっかり取り付けようとするときにボタンを誤って触ってしまう可能性があり、この点をEngadgetは「わずらわしい」と記していました。またマイクの位置が原因で、フィット感を調整しようとしているときにノイズが発生することもあったとのこと。
◆通話機能
「音声通話のパフォーマンスは高いものの、AirPodsには達していない」とThe Vergeは評価。Beats Fit Proは、通話時に片方のイヤホンだけを使用している場合には3つのマイクが利用され、両方のイヤホンを使用している場合には合計5つのマイクが使用されるようになっています。音声検知アルゴリズムを利用しているため背後の音と音声を識別して区別してくれるのですが、実際にZoomミーティングを行ったところ「AirPodsよりは明瞭さに欠ける」とコメントをもらったそうです。
◆Androidでの使用にも対応
BeatsにはAndroid用のアプリがあるため、Beats Fit ProはAndroid端末でも利用可能です。Android端末でBeats Fit Proを利用した際でも、ANC機能、外部音取り込みモード、アダプティブEQ、空間オーディオ、皮膚検知センサーによる自動停止/再生、ワンタッチペアリング、高速充電、クラス1Bluetoot接続といった多くの機能を利用可能。ただし、空間オーディオやヘッドトラッキング、Siriの起動などは利用できません。
Beats Fit Proの価格は199.99ドル(約2万3000円)で、日本での発売は2022年になる予定。「全てのイヤホンの中で最も高機能・高音質」というわけではないのですが、日常使いや運動時にイヤホンを使うという用途に限定すればかなり使い勝手がよいとのことで、適切なフィット感に着目することで「技術の多くを共有している第3世代AirPodsよりも際立っている」と評価されています。