「iOS 15」の配信がスタート、「集中モード」や「テキスト認識表示」など新機能まとめ
2021年9月21日未明から、iPhone向けOSの最新版となる「iOS 15」の配信がスタートしました。iOS 15が発表された2021年6月のWWDC 2021では、新型コロナウイルスのパンデミックにより離れ離れになった人々をつなぐための機能に重点を置いた説明が行われていたのですが、それ以外にも多数の新機能が登場しています。
iOS 15 is available today - Apple
iOS 15 のアップデートについて - Apple サポート (日本)
https://support.apple.com/ja-jp/HT212788
iOS 15 - 特長 - Apple(日本)
https://www.apple.com/jp/ios/ios-15/features/
iOS 15へのアップデート方法は簡単で、「設定」アプリの「一般」→「ソフトウェア・アップデート」から「iOS 15にアップグレード」をタップ。
「ダウンロードしてインストール」をタップすればOK。アップデートに必要な容量は3.2GBです。
iOS 15で新しく登場する機能一覧は以下の通り。
◆FaceTimeの機能強化
FaceTimeのビデオ通話とオーディオ通話の両方がアップデートされており、通話がより自然でリアルなものに進化しています。FaceTimeは新しく空間オーディオに対応しており、グループでの通話時には参加者の声がそれぞれ違う方向から聞こえてきます。
また、新しいマイク関連機能である「Voice Isolation(声を分離)」では、機械学習を用いてバックグラウンドノイズを除去し、ユーザーの声を優先的に通話で届けることが可能です。一方、バックグラウンドノイズも含めてすべての音を通話相手に届けたい場合は、「Wide Spectrum(ワイドスペクトル)」に切り替えればOKです。そのほか、iPhoneのカメラで利用できるポートレートモードに触発された、背景をぼかしてユーザーにのみ焦点を当てるポートレートモードがFaceTimeにも登場します。
加えて、これらの新機能はFaceTimeだけでなくWebex、Zoom、WhatsAppといったサードパーティー製のビデオ通話アプリでも利用可能となります。ただし、「空間オーディオ」「声を分離」「ワイドスペクトル」「ポートレートモード」はiPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降のiPhoneのみ対応しています。
さらに、FaceTimeのグループビデオ通話時には、画面上に参加者の映像を均等に配置するグリッドビュー表示にも対応。
この他、FaceTimeはApple端末だけでなくAndroid端末やWindows端末でも利用可能となりました。Apple端末以外からFaceTimeを利用するにはウェブブラウザを使用する必要があり、ウェブ版のFaceTimeはエンドツーエンド暗号化に対応しているので、プライバシーが侵害される心配はありません。なお、ウェブ版のFaceTimeを使用するにはApple端末側で通話用のリンクを作成する必要があります。
また、Facetime中に友人や家族と一緒に音楽や映像コンテンツを共有するための新しい方法として、「SharePlay」にも対応します。これにより、テレビ番組や映画を一緒に見たり、一緒にワークアウトを完了したり、画面を共有したりすることが可能。SharePlayはApple Music、Apple TV+、Apple Fitness+といったApple純正サービスのほか、Disney+、ESPN+、HBO Max、Hulu、MasterClass、Paramount+、Pluto TV、SoundCloud、TikTok、Twitchなどのサードパーティー製アプリにも対応します。なお、FacetimeでSharePlayを利用するにはiPhone、iPad、Macのいずれかから利用する必要がありますが、通話に参加している誰でもSharePlayセッションの再生・一時停止を管理することが可能です。
◆Shared with You(あなたと共有)
「あなたと共有」は、写真・Safari・Apple News・音楽・ポッドキャスト・Apple TVといったアプリで利用できる、友人や家族とメッセージ経由で写真・記事・音楽・映像などを共有する新しい方法です。共有したコンテンツはそれぞれに対応したアプリに追加されるようになっており、例えば写真を共有すれば写真アプリに、ニュース記事を共有すればApple Newsアプリに追加されます。共有したコンテンツはそれぞれのアプリの共有セクションに自動で追加され、誰が共有したコンテンツかが簡単にチェック可能です。
例えば写真アプリの場合、「For You」タブの中に新しく「あなたと共有」という項目が追加されており、他ユーザーから共有されたコンテンツをチェック可能。
◆Focus(集中モード)
iOS 15で新しく登場する「集中モード」は、ユーザーが集中したい事柄に基づき通知をフィルタリングすることで、ユーザーが物事に集中することを手助けするという機能。例えば勤務時間中は仕事に使用するアプリからの通知だけを許可し、不要なアプリからの通知を一切表示しなくすることで、仕事に集中できるよう手助けします。
集中モードにはあらかじめシーン別に使える「おやすみモード」「睡眠」「パーソナル」「仕事」という4つのフィルタリングが用意されていますが、自分でどのアプリの通知を許可するかをカスタムすることも可能です。なお、集中モードは設定アプリ内に新しく追加されており、○時〜○時といった時間帯を指定する形で利用する形式となります。
さらに、ユーザーは集中モードを利用している際に、一部のアプリやウィジェットだけをホーム画面に表示するように設定することも可能。これにより、通知だけでなくホーム画面からも不要なアプリにはアクセスできなくなるわけです。なお、集中モードをひとつのApple端末で利用した場合、同じApple IDにひもづけられている他の端末も自動で集中モードに切り替わることとなります。
◆通知
通知領域も再設計され、連絡先に登録されている人の写真が表示され、アプリのアイコンがより大きく表示されるようになりました。また、新機能の「通知の要約」により、設定したスケジュールに基づき、毎日都合のよい時間帯に通知をまとめて配信することが可能となっています。これに合わせて、1時間あるいは1日単位で任意のアプリやメッセージスレッドからの通知をミュートにすることもできるようになりました。
◆テキスト認識表示
写真の中に含まれる文字や文章をテキストデータに変換してコピー&ペーストできるようになる「テキスト認識表示」機能も実装されました。これにより、電話番号の写った写真をタップして電話をかけたり、ウェブアドレスの書かれた画像をタップして該当ページを開いたりすることが可能になります。
◆Safari
Safariでは、これまで画面上部にあった検索ボックスとタブ管理が、画面下部に「タブバー」として固定されることとなり、片手でのウェブブラウジングがより簡単になりました。なお、このタブバーの配置は従来通りの画面上部に固定された形に変更することも可能です。
その他の新機能は以下の通り。
メッセージとミー文字
・「メッセージ」の会話内で友だちから送られたコンテンツが写真、Safari、Apple Music、Apple Podcast、Apple TVといった各アプリの「あなたと共有」に表示
・選択した共有コンテンツをピンで固定して「あなたと共有」、「メッセージ」の検索、および会話の「詳細」表示で上部に表示して目立たせることが可能
・「メッセージ」で送られた複数の写真を、一目で分かるコラージュまたはスワイプ可能なスタックとして表示
・ミー文字用の40以上の衣服で最大3色の異なるカラーを選択して、ミー文字ステッカーの衣類や帽子類をカスタマイズ可能
マップ
・サンフランシスコベイエリア、ロサンゼルス、ニューヨーク市、ロンドンなどの都市(今後、さらに都市を追加予定)で、高度、木々、建物、ランドマーク、横断歩道、右左折車線、そして複雑なインターチェンジを案内する3D表示を街の地図に詳しく表示(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
・新たなドライブの機能として、交通情報や事故などの詳細が強調表示されるドライバー向けの新しい地図や、今後の出発時刻または到着時刻を選択して移動経路を確認できる経路プランナーなどを追加
・臨場感あふれる徒歩での経路案内で、ステップバイステップの経路案内を拡張現実で表示(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
・交通機関での移動体験がアップデートされ、最寄りの交通機関の出発時刻にワンタップでアクセスしたり、経路を片手で簡単に表示/操作したり、降車駅に近づくと通知で知らせたりすることが可能
・インタラクティブな3D地球儀に、山岳地帯、砂漠、森林、海などの拡充した詳細情報を表示(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
・デザインが新しくなった場所カードでは、場所の詳細確認や操作を行いやすくし、ガイドが新たに表示され、好みに合わせてエディタが厳選したおすすめの観光スポットを表示
Safari
・下のタブバーにより、タブにアクセスしやすくなり、左右にスワイプしてタブ間の移動が可能
・タググループは、タブの保存や整理に役立ち、すべてのデバイスから簡単にアクセス可能
・タブの概要で開いているタブをグリッド表示
・背景イメージのカスタマイズや、「プライバシーレポート」「Siriからの提案」「あなたと共有」などの新しいセクションをスタートページに追加
・ブラウズ操作のパーソナライズに役立つiOSのWeb機能拡張をApp Storeからダウンロード可能
・音声検索により、自分の声でWeb検索が可能
ウォレット
・ホームキーを追加して、対応している自宅やマンションのドアの鍵をタップして解錠可能(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
・参加しているホテルのルームキーを追加して、ホテルの部屋のドアをタップして解錠可能
・参加している企業のオフィスのキーを追加して、オフィスのドアをタップして解錠可能
・車のキーと超広帯域無線により、バッグやポケットからiPhoneを取り出さなくても、対応する車のロックを解除したり、車をロックしたり、エンジンをかけたりすることが可能(iPhone 11およびiPhone 12のモデル)
・車のキーのリモート・キーレス・エントリー機能を使って、対応している車両で、車のロック、ロック解除、クラクションの鳴動、事前暖機、トランクを開くことが可能
Spotlight
・探している連絡先、俳優、ミュージシャン、映画、テレビ番組などに関する情報をすべてまとめて詳しく検索結果に表示
・自分の写真ライブラリから場所、人、シーン、写真に写っているテキストやその他のもの(犬や車など)を指定して、写真を検索することが可能
・Web画像検索では、人、動物、モニュメントなどの検索が可能
写真
・メモリーのデザインが一新され、インタラクティブなインターフェイス、内容に合わせてスマートに変わるタイトル付きのアニメーションカード、アニメーションとトランジションのスタイル、複数の画像のコラージュが新たに追加
・Apple Musicのサブスクリプションに登録している場合は、Apple Musicをメモリーに追加でき、エクスパートによるおすすめと自分の音楽の好みを写真やビデオに写っているものに組み合わせて、パーソナライズされた曲を提案
・メモリーミックスでは、さまざまな曲から選択して、メモリーに合う雰囲気を設定することが可能
・新しいメモリータイプとして、世界各地の新しい祝日、子ども中心のメモリー、一定期間のトレンド、改善されたペット用のメモリーを追加
・情報パネルに、使用されたカメラとレンズ、シャッタースピード、ファイルサイズなど、写真に関する詳細な情報を表示
ヘルスケア
・「共有」では、大切な人や介護者と共有するヘルスケアデータ、通知、およびトレンドを選択して共有することが可能
・「トレンド」を使って、特定のヘルスケア指標が時間の経過と共にどのように進行しているかを確認したり、新たなトレンドが検出されたときに通知を受けることが可能
・新しい指標の「歩行安定性」では、転倒のリスクを評価して歩行安定性が低下したときに通知することが可能(iPhone 8以降)
・証明可能なヘルスケアレコードにより、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種や検査結果の証明書のダウンロードと保存が可能
天気
・各地域で最も重要な天気情報を表示し、新しいマップモジュールが追加された新しいデザイン
・天気図をフルスクリーンで表示し、対応する地域では降水量、気温、空気質を見ることが可能
・アイルランド、英国、および米国では、「これから1時間の降水の強さ」の通知で、雨や雪の降り始めや、やんだときに通知を受け取ることが可能
・太陽の位置、雲、降水量をより正確に表すことができる新しいアニメーションの背景(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
Siri
・Siriへのリクエストの音声はデバイス上で処理されるので、特に設定しなくてもこのデータがデバイスの外に出ることはなく、オフラインでもSiriで多くのリクエストを処理することが可能(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
・Siriで項目を共有で、写真やWebページ、「マップ」の位置情報などの画面上の項目を任意の連絡先に送信可能
・Siriは画面上の文脈に沿って、画面に表示されている連絡先にメッセージを送信したり電話をかけたりすることが可能
・デバイス上でのパーソナライズにより、Siriの音声認識と理解能力が各ユーザに合わせて向上(iPhone XS、iPhone XS Max、iPhone XR以降)
プライバシー
・「メール」でのユーザアクティビティ、IPアドレス、またはメールを開いたかどうかを、メールの送信者に知られないようにしてプライバシーを守るメールプライバシー保護機能
・Safariで既知のトラッカーによるIPアドレスを使ったプロファイリングからも保護できるようになったインテリジェント・トラッキング防止機能
iCloud+
・特別な機能や追加のiCloudストレージを提供するクラウド型のサブスクリプションサービス
・iCloudプライベートリレー(ベータ)で、2つの異なるインターネットリレーを使ってリクエストを送信し、デバイスから発信されるインターネット・トラフィックを暗号化することで、SafariでWebサイトを閲覧するときのセキュリティとプライバシー保護を強化
・一意のランダムなメールアドレスを作成し、個人の受信ボックスに転送することで、実際のメールアドレスを共有せずにメールを送受信することができる「メールを非公開」機能
・iCloudストレージプランの容量を消費することなく、これまで以上に多くの防犯カメラを接続できるHomeKitセキュアビデオ
・カスタムのメールドメインを使ってiCloudメールアドレスをパーソナライズし、家族もそのドメインを使えるように招待することが可能
アクセシビリティ
・VoiceOverを使って画像を調べて、写真の中の人物やオブジェクトをより詳しく把握したり、テキストや表データを理解することが可能
・マークアップのVoiceOver画像説明を使って、VoiceOverで読み上げることができる画像の説明を独自で作成して追加することが可能
・アプリごとの設定では、画面表示やテキストサイズの設定を目的のアプリだけでカスタマイズすることが可能
・バランスの取れたノイズ、ブライトノイズ、ダークノイズ、オーシャン、雨、ストリームの音をバックグラウンドで連続的に再生し、外部からの不要な雑音を隠すことができるバックグラウンドサウンド
・スイッチコントロールのサウンドアクションにより、単純な音を発するだけでiPhoneをコントロール可能
・オージオグラムを「設定」で読み込むと、聴力検査の結果に合わせてヘッドフォン調整をカスタマイズ可能
・音声コントロールの言語に中国語(中国本土)、広東語(香港)、フランス語(フランス)、およびドイツ語(ドイツ)を追加
・ミー文字に人工内耳、酸素チューブ、ソフトヘルメットなどのオプションを追加
その他
・「メモ」と「リマインダー」ではタグを使って項目を素早く分類して見つけやすくしたり、独自のスマートフォルダやスマートリストを使って、定義したルールに基づいてメモやリマインダーを自動で集めることが可能
・「メモ」の「名前の言及」で、共有メモでの重要なアップデートをほかの人に知らせたり、新しいアクティビティ表示でメモで行われた最近の変更内容をすべて1つのリストに表示したりすることが可能
・Apple Musicがダイナミックヘッドトラッキング機能を備えた空間オーディオに対応し、AirPods ProおよびAirPods Maxで一段と迫力のあるドルビーアトモス体験が可能
・システム全体での翻訳機能により、写真の中のテキストも含め、システム内のどこでもテキストを選択してタップして翻訳可能
・「探す」「連絡先」「App Store」「睡眠」「Game Center」「メール」などの新しいウィジェットを追加
・アプリ間のドラッグ&ドロップ機能により、1つのアプリからイメージ、書類、ファイルを選んで、別のアプリにドラッグすることが可能
・キーボードの拡大ルーペで、カーソルを動かしたときにテキストを拡大表示することが可能
・Apple IDのアカウント復旧用の連絡先として信頼できる人を1人以上選び、パスワードのリセットやアカウントへのアクセスの復旧を手伝ってもらうことが可能
・新しいデバイスを購入した場合は、一時的なiCloudストレージを使い、データの一時的なバックアップを作成するのに必要なストレージ容量を最大3週間、無料で提供
・「探す」の手元から離れたときの通知機能では、対応するデバイスや持ち物が手元から離れた場合に、「探す」で持ち物までの経路を検索可能
・XboxシリーズX|SワイヤレスコントローラーやSony PS5 DualSenseワイヤレスコントローラーなどのゲームコントローラーを使って、直近15秒までのゲームプレイのハイライトを保存可能
・App Storeのアプリ内イベントにより、ゲームの対戦や新作映画のプレミア上映、ライブストリーミング体験など、アプリやゲーム内のタイムリーなイベントを見つけることが可能