「タメ口」連発に視聴者ツッコミ フジ新ドラマ「ナイト・ドクター」主要5人の関係性を読み解く
俳優の波瑠さん(30)が主演するドラマ「ナイト・ドクター」(フジテレビ系)の第1回が2021年6月21日放送され、登場人物の「タメ口」をめぐってインターネットではさまざまな声があがることになった。
同作は脚本家の大北はるかさんによるオリジナル作品。救命救急センターの過重労働を解消すべく試験的に導入された夜間診療の専門チームとして採用された主人公・朝倉美月を波瑠さんが演じ、殺到する急患に対応していく様子を描く医療ドラマだが、第1回の放送に対し、視聴者から「キャリアに関わらず全員ため口?」といった声が上がっているのだ。
「同期なんだし、タメ語でいいよタメ語で」
序盤、それまでの内科勤務から激務の夜間チームへ異動となったことを嘆く深澤新(岸優太さん=25)は、医局に入るなり、「あ! 新しい人来た!」と、ぶっきらぼうな声をかけられた。声の主は同じく夜間チームに配属された桜庭瞬(北村匠海さん=23)で、桜庭は自ら名乗るとやや馴れ馴れしい雰囲気を醸し出しつつ深澤と握手。さらには、「同い年......あ、まあタメ語でいいよタメ語で」と、妙なフランクさで初対面の挨拶を終えたのだった。
さらに、桜庭は「同期なんだし、タメ語でいいよタメ語で」と、やはり夜間チームに配属となった高岡幸保(岡崎紗絵さん=25)に話しかけると、高岡は「馴れ馴れしい......一番嫌いなタイプ」と返すなど、チーム内では必ずしもタメ語は受け入れられているとは言えない状況だった。
また、最初の急患受け入れが終わり、再び医局のシーンになると、桜庭主導での「タメ語会話」が発生。深澤と、夜間チームの中では医師歴が長い成瀬暁人(田中圭さん=36)に対し、「ねえねえ、2人はどうしてここに来たの?」と質問を浴びせたほか、「俺はねー、昔から救命医になるのが夢でね」と語り出すなど、やはりタメ語。このほか、第1回では随所で桜庭の口からタメ語が飛び出していた。
これら、その後も作中で散見されるタメ語に対し、視聴者からは「まじで同期なのはわかるんだけど年上に初日から若手全員タメ口はこっちが見づらい」といった声がツイッター上に続々。他にも、「こんなに経験値が違うのに同期という理由だけでタメ口で話す設定なの絶対ミスでしょ」と、設定に無理があるとする声も上がっているほどである。
指導医には「敬語」
このほか、「3話くらいでもいいから『てかなんでタメ口なんだよ?』って成瀬につっこんでほしい 周りも視聴者も『今なの?』っていうタイミングで」と、田中さん演じる成瀬に視聴者を代表してツッコむことを期待する声が上がるなど、第1回を見た視聴者から続々と上がった「タメ語」への疑問。
今後、作中で出演者の言葉遣いが変化していくのか否かは分からないが、本作に限って言えば、必ずしもタメ語は設定ミスではないのではないだろうか。それは、夜間診療に配属された5人は、1つのチームの「隊員」だと考えられるからだ。
それが証拠に、第1回のラストで桜庭は、いったんは夜間チームから離れることを決めた深澤が、指導医である本郷亨(沢村一樹さん=53)に残留を申し出た際に、それを本郷に受け入れさせるべく桜庭が放った一言は「いいですよね、本郷先生」だった。つまり、桜庭は指導者たる本郷にはきちんと敬語を使う姿勢を見せており、その一方で、同期、いや、チームの隊員にはタメ語を使っているわけであり、決して見境なくタメ語を使っているわけではないのである。そう考えると、桜庭が言う「同期」は一般的な意味というよりも「チーム」という意味で使われているとも考えられ、それならば、タメ語もそれほど不自然とは言えないだろう。
さらに言うならば、夜間チームの5人の関係性、そして、それを指導する本郷と5人との関係性というものが、どこかで見たことがあるということに気付かないだろうか。そう、本作の5人は、例えるならば、「秘密戦隊ゴレンジャー」なのである。
同作は1975年に放送を開始した「スーパー戦隊」シリーズの第1作。同シリーズは現在にわたるまで新作が制作され続けている人気シリーズだ。そのフォーマットは時代が下るにつれて多様性が増していったものの、その一方で、初期の作品においては、「悪の組織と戦う隊員5人」が、「隊員5人を指揮する監督的存在」からの指導を受けつつ、実際に悪の組織のメンバーを倒していくというものだったのだ。その隊員5人はさまざまなバックグラウンドを持ちつつ結集したメンバーであり、リーダーこそいるものの、その立ち位置は同格だった。
翻って、「ナイト・ドクター」だが、主演たる波瑠さんをメインメンバーとしつつチームが存在し、本郷からの指導を受けながら「ケガ」や「病魔」と戦うというストーリーが今後も展開すると見込まれるわけであり、そう考えると、「ナイト・ドクター」はまさしく、「医療戦隊ゴレンジャー」と言えるのではないだろうか。
(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)