建築やが入居するビル(相模原市中央区)

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 (株)建築や(TDB企業コード:827023679、資本金500万円、相模原市中央区横山3-31-1、代表野口武昇氏)は、5月25日に事業を停止し、事後処理を多湖翔弁護士(相模原市中央区矢部4-17-8、多湖総合法律事務所、電話042-711-7142)ほか2名に一任、自己破産申請の準備に入った。

 当社は、2017年(平成29年)12月に設立。一般個人向けの戸建住宅建築工事を手がけ、相模原市と周辺地域を営業エリアとして事業を展開、民間元請受注を中心に個人や近隣企業を主な顧客としていた。当社自体の業歴は浅いものの、現代表は(株)則武地所(相模原市中央区)の前社長を務めるなど、長年にわたる地元業界での実績を背景に受注を獲得、2020年9月期には年売上高約6億3800万円を計上していた。

 しかし同業他社との競合に加え、労務費や材料費負担も重く、設立当初から低収益の状況が続き、2020年9月期末時点で約3億1500万円の債務超過に陥っていた。こうしたなか、当社代表が創業初期から2017年12月まで代表を務めた(株)則武地所において、2021年4月に東京都八王子市の賃貸アパートで、外階段が崩落して住人女性が転落死する事故が発生。業務上過失致死容疑でアパートを施工した同社および関係先の家宅捜索を警視庁から受けるなか、同社は5月19日に横浜地裁より破産手続き開始決定を受けていた。

 当社自体も、従前から財務内容はぜい弱で資金調達余力に乏しく、近時は新型コロナウイルス感染拡大の影響で受注環境も悪化。加えて、人的なつながりのあった(株)則武地所の破産による当社の信用悪化も追い打ちとなり、ここに来て事業継続を断念した。

 負債は債権者約130名に対し約2億円。