車に関わる個人情報は大丈夫? 売る時に注意したい事とは

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あなたの個人情報が知らぬ間に他人にわたっているかも?

 2005年4月に「個人情報の保護に関する法律」、いわゆる「個人情報保護法」が施行されました。個人情報とはま個人の特定につながる情報を指し、個人情報保護法の施行以降、個人情報を取り扱う企業や団体などはガイドラインに即して厳格に個人情報の保護に努めています。

希少なクルマは個人が特定される可能性が高いので、とくに注意が必要?

 しかし、クルマに関係する個人情報が、ユーザーが知らない間に他人の手にわたっているケースがあるというのです。

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 そこで、普段あまり意識していない人が多い、クルマに関する個人情報の取り扱いについてレポートします。

※ ※ ※

 普段、私たちが運転しているクルマのなかには、個人情報が記載されている書類が数多く存在します。

 例を挙げると、車検証、自賠責保険の証書、整備記録簿、任意保険の証書、整備や修理などの領収書といったところが一般的です。

 ほかにも納税証明書に付いた自動車税の領収書や車庫証明の控えなども、車検証と一緒に保管していることが多いと思います。

 そうした書類の存在は車検の時や事故が起こらない限り、普段はあまり気にすることはないのですが、もしクルマを下取りに出して買い換える際や、クルマを処分する際に、そうした個人情報が記載されている書類はどう取り扱われているのでしょうか。

 最近、中古車専門店で中古車を買ったあるユーザーに話を聞くと「整備記録簿に前のユーザーの名前や住所が載ったままでした」と、驚きの証言が得られました。

 つまり、個人情報が第三者の手にわたってしまったということにほかなりません。

 そこで、多店舗を展開している某中古車店に、個人情報の取り扱いについて話をうかがってみました。

――下取りや買い取りをしたクルマに残っている個人情報について、どういう取り扱いをしていますか。

「個人情報についての扱いは、厳格に管理しています。例えば整備記録簿については、クルマの整備履歴がわかる重要な情報のため、評価の対象となりますので残しておきますが、前ユーザーの名前や住所が記載されている部分を切り取って処分しているので、個人情報が次のお客様へわたることはありません。

 また、自賠責保険が残っている場合、次のお客様が決まったら納車前に必ず名義変更をおこないます。

 それ以外の必要の無い書類などが見つかった場合は、前ユーザーにお返しするか、依頼があれば破棄することで、残っていることはありません」

――そうした取り組みは、中古車業界的に決まっているのですか。

「業界団体では個人情報の扱いについて指標があるようですが、弊社はコンプライアンスの観点から独自の基準で取り組んでいます。

 そのため、他の中古車店がどういう取り組みをしているかは、わかりません。

 店舗の大小に関係なく、それぞれの店舗によって個人情報の扱いはバラバラだと思います」

――書類以外にも個人情報の漏洩につながるものはありますか。

「意外と見落とされているのが、カーナビのデータです。カーナビには自宅の位置や目的地の履歴、機種によっては走行の軌跡が残っています。

 弊社では下取りや買い取りをしたクルマのカーナビから、これらのデータはすべて消去します。それと、個人情報ではありませんが、ハードディスクなどに音楽データが残っていることもあり、前のお客様の好みがわかってしまうので(笑)、やはり消去しています」

 どうやら、店舗によってはきちんと個人情報が他人にわたらないように対策しているのですが、前出のユーザーのように、対応していない店舗もあるのが現状のようです。

 もし、クルマの売却や処分する際には、次のユーザーに必要のない領収書などの書類は事前に取り出し、整備記録簿などの扱いは売却する店舗に確認するか、自身で切り取るなどの対応をした方が良いでしょう。

 また、カーナビのデータも、事前に消去することをおすすめします。

 そしてもうひとつ、個人を特定できそうなナンバープレートについて調べてみました。

ナンバープレートは個人情報なの?

 公道を走るクルマやオートバイには、ナンバープレートを装着する義務があり、すべてのナンバープレートは異なることから、世界にひとつ(クルマの場合は前後で2枚)しか存在しません。

 そのため、テレビやネットで事件や事故などが報道される場合、個人が特定されることを考慮してナンバープレートにはモザイク処理がおこなわれるのが通例です。

 では、実際にナンバープレートは個人情報に該当するのでしょうか。

背景やクルマへの映り込みからも生活圏が特定される可能性がある?

 じつは2007年までは、ナンバープレートの情報(自動車登録番号)と請求者情報などと合わせて「登録事項等証明書」を陸運支局や自動車検査登録事務所で請求することができました。

 しかし、個人情報保護やストーカー行為といった犯罪防止の観点から、2007年11月に請求方法が変更され、以前よりも請求事由のチェックが厳しくなっています。

 さらに、ナンバープレートの情報だけでなく、車台番号(下7桁)も必要になりました。

 車台番号は一般的にボンネットを開けてみるか、車検証を見ないと確認できませんから、クルマのキーを入手していることが前提です。

 これらの情報に加え、請求者の住所氏名、請求者本人が確認できるもの身分証明書、請求事由、手数料印紙と合わせた申請手続きが必要となり、たとえば街なかで見かけたクルマの持ち主を知ることは、容易にはできないということです。

 そのため、本来はテレビに写ったナンバープレートからは個人を特定できないことから、モザイク処理をおこなわなくても大丈夫なはずですが、トラブルを避ける意味があるのかもしれません。

 実際に日本自動車整備振興会連合会のホームページには、「自動車のナンバープレート情報は個人情報にあたらない」という旨の記載があります。

 一方で、そもそもクルマの所有者情報を、なぜ第三者にも開示できるようになっているのでしょうか。

「登録事項等証明書」は、クルマの所有権を公証する書類で、クルマの売買や保険の適用などの確認に使用されるケースがあり、要件を満たせば第三者でも開示請求できる仕組みが残されたということです。

 また、私有地内の放置車両の所有者を知りたいといったケースもあり、放置車両の場合は、車台番号なしでも申請できますが、放置車両についての資料提出が別途必要となります。

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 近年はSNSを日常的に使うことが一般的になりました。SNSに自分のクルマの写真をアップしたり、珍しいクルマを見かけて写真を撮り、SNSにアップすることも散見されます。

 しかし、ナンバープレートから登録地がわかり、写真の背景などから生活圏が特定される可能性がありますから、注意が必要です。

 また、非常に珍しいクルマでは、他のサイトなどの情報と合わせて、個人を特定することも不可能ではありません。

 とくに他人のクルマの場合は、個人情報にあたらないとはいえ無用なトラブルを避けるため、ネット上のマナーとしてナンバープレートはわからないようにした方がよいでしょう。