凍結される直前のトランプ大統領のアカウント。「神聖で地滑り的に勝利した選挙」が「あまりにも、あっさりと奪われた」と主張している。現時点では、このツイートは見られない状態になっている

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米大統領選をめぐり「選挙が盗まれた」と主張してきた米国のトランプ大統領は、最終盤で、その発信手段を失うことになった。連邦議会で選挙人投票の集計が進む中、2021年1月7日未明(日本時間)にトランプ大統領の支持者が議会の建物に侵入。警察が催涙弾を使用して排除するまで、一時議事堂は閉鎖された。

トランプ氏は「暴力を起こしてはいけない」などとツイートしたものの、ツイッター社はトランプ氏のアカウントを一時凍結。トランプ氏が凍結直前のツイートで、動画やテキストを使って選挙の不正を主張したためだ。これまでは、トランプ氏の「選挙不正」を主張するツイートには警告がついていたが、警告にある「表示する」のリンクをクリックすれば内容は見られるようになっていた。ツイッター社としては、トランプ氏が具体的な根拠を示さないまま「選挙不正」の主張を続け、議会への侵入劇につながったことを受け、対応を強化した形だ。

最初は冷静になるように呼びかけるだけだったのに

今回の問題の発端は、トランプ氏が集会で行った演説で、支持者に対して議事堂に向かうように呼びかけたことだ。4時頃に支持者が警官の警備を突破して議事堂に侵入したことを受けて、トランプ氏は4時38分に

「どうか議会警察と法執行機関を支持してほしい。彼らは『我が国の側』にいる。平和にしてほしい」

と平静を呼びかけるツイートを発信。5時13分にも、

「議事堂にいる皆さんには平和を保つようお願いしたい。暴力を起こしてはいけない。我々は法と秩序の党だ、ということも思い出してほしい。法と警察を尊重してほしい」

と呼びかけた。

「神聖で地滑り的に勝利した選挙」が「あまりにもあっさりと悪質な形で奪われてしまう」

ここまでは単に支持者に対して冷静になるように呼びかける内容だったが、ツイッター社が問題視したのは、この後の2つの投稿だ。6時17分には、動画を投稿。「不正選挙」「選挙は盗まれた」といった従来の主張を繰り返しながら、支持者に対して帰宅を呼びかけた。

8時1分のツイートでは、

「神聖で地滑り的に勝利した選挙が、長い間ひどく不公正に扱われてきた偉大な愛国者から、あまりにもあっさりと悪質な形で奪われてしまうような物事や出来事が起きている。愛と平和のうちに家に帰ろう。この日を永遠に忘れないでほしい」

として、大統領選でトランプ氏が圧倒的な勝利を収めていたが、それが「奪われた」とする独自の主張を改めて繰り返した。

これら2つの投稿は7日13時現在、「このツイートはTwitter ルールに違反したため表示できません」として閲覧できなくなっている。サンフランシスコのテレビ局「KRON」によると、ツイッター社は、当初は問題となった動画ツイートに対して「この選挙不正に関する主張には異論が唱えられています」という警告をつけた上で、リツイートや「いいね!」の機能を無効にする対応をしていた。「暴力につながるリスクがある」というのが理由だが、結果として、さらに強い対応に踏み込むことになった。

9時過ぎにツイッター社のアカウントが、直前にトランプ氏がツイートした内容が「市民活動の阻害に関するポリシー」の「度重なる、深刻な違反」だとして、削除を要求したことを明らかにした。具体的には、12時間にわたってアカウントを凍結。それまでに問題のツイートが削除されない場合は、引き続きアカウントは凍結される、とした。さらに、今後もツイッターのルールに違反した場合は、アカウントを永久凍結するとしている。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)