携帯電話料金値下げ戦争「冬の陣」はドコモ圧勝か?「5G」新料金のKDDIにネットは総スカン(2)
NTTドコモが2020年12月3日に発表した大幅な携帯電話料金値下げプラン「ahamo」(アハモ)が業界内に激震を走らせている。
9日、KDDI(au)とソフトバンクが主力ブランドから格安ブランドへの移行に伴う手数料を無料にすると発表。料金値下げへの「圧力」を強める菅義偉政権と、NTTドコモの挟み撃ちに屈した形だ。
また同日、KDDI(au)が満を持して発表した第5世代移動通信システム「5G」の新料金プランが、インターネット上で「期待外れ」「自爆か」と総スカンをくう事態となり、携帯料金値下げ戦争「冬の陣」が大混乱になっている。
KDDI 「5G」新プランは「わかりにくい」「期待外れ」
こんななか、KDDI(au)は12月9日、高速移動通信方式「5G」の新プラン「データMAX 5G with Amazonプライム」を発表した。データ使い放題、「Amazonプライム」と「TELASA」(編集部注:KDDIとテレビ朝日の合弁で設立された映画やドラマ、アニメなど映像作品を提供する動画配信サービス)の利用料金込みで、各種の割引を組み合わせると月額3760円で利用できる。また、22歳以下を対象にデータ使い放題プランが月額900円から利用可能になる「auワイド学割」のサービス拡大も発表した。
しかし、ネット上では「期待はずれ」「わかりにくい」など猛批判の声があがっている。
ヤフーニュース「みんなの意見」の、KDDI(au)の新料金プラン発表を踏まえたうえで「携帯会社どこがいい?」というアンケート調査では、投票総数3万9217票(12月10日13時30分現在)で、1位「NTTドコモ」(76.4%)、2位「楽天モバイル」(7.8%)、3位「ソフトバンク、Y!mobile」(6.0%)、4位「au、UQ mobile」(5.7%)、5位「その他」(4.0%)という結果になった。
「携帯会社のCMが多すぎる。あのムダを料金に還元せよ」
ネット上では、こんな意見があふれている。
「1万5500円も取られていたのか。すごいな。どういう理由で1万5500円必要だったものが、どういう理由で必要なくなったのか、情報を開示してもらいたいな。また、発表タイミングや施策の足並み揃えるの、もうやめなよ。そういうところだぞ、問題は」
「乗り換える前月にプラン変更すれば違約金は1000円で済むことを知らないとボッタくられる。まあそれでも1万5500円払ってでも一刻も早くMVNOに移ったほうが支払う額が減るから安く済むけど。そういう先を見据えたコスト計算ができない、そもそもしない層がキャリアに居残り、しかもそれがスマホ利用者の8割以上を占める。すごい国だ」
「そういえばその昔、電話権(編集部注:電話加入権)ってものを数万円で買わされていたっけ」
「どこもかしこも携帯会社のCMだらけ。CMタレントも人数多いし契約料金も高いはず。無駄にCMの広告多いが、あれって必要か? 消費者に還元してくれよ」
違約金といえば、こんなケースの報告もある。
「うちはauで契約者母、使用者父の契約だった。父親が病気で亡くなり、解約の際、違約金1万円を取られました。契約者は母なので、とのこと。じゃあ、わざわざ使用者を登録する意味ってなんなのでしょうか? 勝手にスマホを貸与していたわけではなく、auに使用者父と登録しているのに。死んだのに違約金? とビックリしましたよ」
利用者はもっと賢くなろうと、アドバイスをする人も多かった。
「1万5500円も取られていたのか、驚きだ、という人がいるが、『情弱』(情報弱者)だよ。全部契約書に書いてあるのに知らない人は、いったいどういう契約の結び方していたのか。難しい事は考えたくないから店員に任せきりだったとか?」
「...と、いうか、キャリアを選択すること自体が間違い。どの携帯会社にする? じゃなく、好きな機種を買い(AppleからiPhone購入など)好きなフリーシムを買えば済む話。ビッグローブのシムを入れて、家族3人、月4000円で普通にスマホを使えている。なぜ調べないのだろう。店舗であーだ、こーだ、ややこしい契約なんて必要ないのに。たまにフリーシム=格安携帯と勘違いしている人がいるけど違う。機種自体は自分で性能が良いのを選ぶから、まったく別。フリーシム、ビッグローブなどで調べてみるといい」
わざわざ高価格プランを発表したKDDIは「アホモ」か?
また、KDDI(au)の「5G」の新プランについては、こんな声が多かった。フリーランスジャーナリストの山口健太氏は、こう投稿した。
「KDDIはドコモがアハモを発表する前から今日のイベントを準備していた。しかし結果的にアハモ後の最初の発表会となり、auの対抗策に期待が高まる中でライブ配信には6000人以上が集まったのに、対抗プランが出てこなかったことに失望の声が広がった。auの新プランで比較対象となるのはドコモやソフトバンクの上位プラン。ただ、批判の声が高まる複雑な条件付きの料金を前面に押し出すスタイルを踏襲したことも、余計な摩擦を増やしている。アハモは携帯ビジネス全般に多大な影響を及ぼすプランであり、各社が対抗策を練るには少し時間がかかりそうだ」
ITジャーナリストの篠原健司氏は、こう書いた。
「今回、『期待はずれ』という批判の大本になっているのは金額の見せ方。KDDIは『データMAX5G with Amazonプライム』を月額3760円からと打ち出しましたが、基本料金は月額9350円。家族割やauスマートバリュー、そして期間限定の割引をすべて利用してようやく3760円になる。そのため3760円が適用される人は少なく、期間も長くない。それなのに最安の値段を前面に出してきたことに対して、ahamoの2980円のわかりやすさを見たスマホユーザーから批判が出ている形だ」
auファンからも期待外れの声が殺到した。
「au待ちだったユーザーに対する回答としては0点でしょ。*印(条件)のてんこ盛りのうえ、家族全員アマプラ(Amazonプライム)付けて何の意味がある? という血迷った料金プラン。新プランのAmazonプライムは要らない。Amazonで直接契約すれば家族会員2人まで追加できるからお得! 後出しじゃんけんで負けるのはなかなかできることじゃない」
「ahamo対抗プランではないのに、先に高価格帯の新料金を大々的に発表したという致命的な経営判断ミス。消費者にも『高い』という第一印象を植え付けてしまい、皮肉にもau離れが加速するプランになってしまった」
「ahamoも個人で20ギガも使わない人が多いのが欠点。10ギガにしてもう少し安いプランが出てきたらauが勝つと思っていた。蓋を開けてみたら論外。お話にもならない。ahamoで楽天とMVNO(格安スマホ会社)が終わると言われていたが、まさか先にauが自爆するとは予想外だった」
「ヘビーユーザ向けにこういうプランもあっていいと思うが、わざわざドコモの新プラン発表直後にいつも通りのややこしい高価格プランを大々的に発表したら『アホモ』なのかと思われても仕方ない」
(福田和郎)