ホンダの突然の発表で世界に激震!? F1参戦終了の影響は? ホンダ幹部が語る真実

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ホンダF1参戦 ついに終止符が打たれる!?

 F1からホンダが消える。

 2020年10月2日午後5時から始まった緊急オンライン会見で、ホンダの八郷隆弘社長は「2021シーズン末での参戦終了とは、(今後)再参戦しないということだ」といい切りました。

F1初優勝を飾ったスクーデリア・アルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリー選手(第8戦イタリアGP)

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 ホンダF1は1960年代から、第一期、第二期、第三期、そして現在の第四期と、参戦と休止を繰り返してきましたが、ついにその歩みを断つというのです。

 当然このニュースは、世界各国のホンダF1ファン、ホンダ車に乗るユーザー、ホンダ販売店、さらには世界最高峰モータースポーツで輝かしい実績を持つホンダという企業に日本の誇りとして認識してきた大勢の日本人に対して、大きなインパクトを与えました。

 テレビやネットニュース、SNS、雑誌などで、ホンダF1参戦終了についてさまざまな意見が寄せられています。

 そうしたなか、最初の発表から2週間後の10月16日。午前10時からホンダF1活動についての追加取材との名目で、ブランドコミュニケーション本部・本部長の渡辺康治氏がメディア関係者との意見交換に応じました。

 そのなかで、気になる質問とそれに対する回答があったのですが、ホンダ幹部はどのようなことを語ったのでしょうか。

――2022年以降、レッドブルがホンダエンジンをもとに(継承するかたちで)独自に開発して、F1参戦する可能性はありますか。

「レッドブルが自社開発する可能性は残っていますが、具体的な話はまだ出ていません。彼らの要望が来てから検討し、ホンダとしてやれることはやる予定です」

 そのうえで、現在の英国バッキンガム州ミルトンキーンズのF1前線基地、HRDミルトンキーズについては「(今後のホンダF1の)1年半活動が続くなか、2022年以降の施設の活用方法について、レッドブルとの関係も出てくることもオプションとして検討していく」と説明しました。

――F1参戦終了に際して、フォーミュラeへの参戦は検討しましたか。

「フォーミュラeへの参戦は検討していません。F1の代替として、別のモータースポーツをやろうということではなく、あくまでもカーボンニュートラルを進めるうえでの参戦終了です。

 また、2020年4月に研究所と本社の四輪開発体制を刷新しました。

 量産開発では、ものづくりセンター。未知の開発領域には、知能化・自動運転・製造技術などを扱う先進技術研究所と、カーボンニュートラルなど二輪・四輪・パワープロダクトの壁を越えた研究をおこなう先進パワーユニットエネルギー研究所という体制としています。

 この先進パワーユニットエネルギー研究所に、F1エンジン研究開発をしているHRD Sakuraの知見と人材を充てます」

――2022年以降のドライバー育成とF1日本グランプリについてはどうなりますか。

「モータースポーツの振興とレーシングドライバーの人材育成は、ホンダの事業活動の柱のひとつです。

 SRS(鈴鹿サーキットレーシングスクール)を中心とした育成活動を強化しながら、若手がそれぞれのモータースポーツで活躍できるチャンスを継続して提供していきます。

 F1ホンダがいなくても、F1やインディにいける人たちを育てることは変わりません」

 F1日本グランプリについては、「主催者である鈴鹿サーキットが決めることだと思いますが、ホンダとしてモータースポーツ振興を踏まえて鈴鹿サーキットと今後考えていきます。F1側との契約は2021年までありますが、その後についても前向きに考えていきます」と答えました。

――ブランドの考え方として、ホンダにとってF1の在り方が変わりましたか。

「四輪モータースポーツの頂点であるF1を含めて、モータースポーツがホンダのブランド作ってきました。しかし、最近は世のなか全体のホンダのブランドの見られ方が変わってきています。

 ユーザーがホンダに求めることとして、以前はモータースポーツが一番上に来ていましたが、それが、安全なクルマや優れた品質のクルマ、さらに(航空機事業の)ジェットなどが上位を占め、とくに若い世代でホンダに対するモータースポーツのイメージが薄い傾向があります。

 そのため、新たなる軸を作って、ホンダブランドを発信させていくべきだと考えています」ということですが、現時点で詳細を公表できることはないとしています。

これから先も、ホンダF1ヘリテージが消えることはない

 筆者(桃田健史)からは、次の2点を聞きました。

――ホンダ参戦終了会見を経て、ホンダ本社内や国内販売店、また国外でのホンダ関連企業や販売での反応はどうですか。

2020年シーズン F1第8戦イタリアGPで初優勝を飾ったピエール・ガスリー選手

「本社では、残念とか、ショックという声があります。対外的な発表と同じタイミングで社員に説明していたので。

 また(事業採算性の観点から)リーズナブルという人も多くいます。販売店の皆さんは、鈴鹿F1を販売促進に活用するなどホンダF1に共感して頂いた人も多く、残念という声もあります。

 一方海外では、冷静な意見が多いです。アメリカでは、そもそもインディへの関心が高いので、インディへのホンダエンジン供給継続はアメリカ側の都合で、F1参戦終了と発表時期が近くなっただけだといっています。また欧州では、カーボンフリーに対する理解が多い印象です」

――先回の八郷社長の説明では「参戦終了=再参戦なし」と発言していましたが、そうなると今後はF1ホンダのヘリテージ(歴史)として、広報やマーケティング活動にどう活かしていくのでしょうか。

「『再参戦しない』とは、これから先もずっとやらないのかということかどうかは分かりません。いまの時点では、再参戦するとは思っていません。

 そのうえで、F1ヘリテージの使い方が、現状でもうまくできてないという認識があります。F1活動を止めることでF1のイメージを今後使わなくなるということではなく、いままで以上にF1を含めたホンダのブランディング活動を続けていきます」

※ ※ ※

 今回の会見を聞いても、やはり、ホンダにとってF1は極めて大きな存在であり、それをやめるという決断をせざるを得ないほど、ホンダは未来へ向けた重要な岐路に立っていることが分かります。

 アフターコロナ時代、「アフターF1」のホンダの動きを注視していきたいと思います。