よく見るとちょっと違う!? 国内では売られていない海外仕様の日本車5選
日本より豊富なボディ形状がある海外仕様車とは?
クルマの好みや需要は国や地域によって大きく異なります。そのため、同じメーカーであっても日本と海外では販売している車種が違うことが多々あります。
それは日本のメーカーであっても同様で、日本で売られているクルマが米国では存在しなかったり、逆のパターンもよくあるのです。
【画像】あれ? なんか違う? 国内では未発売の日本車をチェック(35枚)
日本未発売のモデルも興味深いのですが、モデルそのものは日本でも販売されていても、日本とは異なる仕様やボディ形状が海外仕様には設定されているケースも存在。
今回は、日本未発売のボディ形状を持つクルマを5台ピックアップして紹介します。
●トヨタ「ハイラックス レボ スタンダードキャブ」
2017年に13年ぶりの国内復活を果たし話題となったトヨタのピックアップトラック「ハイラックス」。8代目にあたる現行型はタイで生産され、日本では輸入車という形で販売されています。
ちなみに、先代の7代目モデルは日本では販売されておらず、2004年に販売終了となった6代目モデル以来のハイラックス復活となりました。
日本仕様は4ドア/5人乗りの「ダブルキャブ」のみの設定ですが、「レボ」のサブネーム付きで販売される生産国のタイでは、2ドア/2人乗りの「シングルキャブ」や、観音開きのリアドアを備える4ドア/4人乗りの「スマートキャブ(エクストラキャブ)」もラインナップされています。
ボディサイズは、ワイドフェンダーの有無やバンパー形状の違いで多少の差はありますが、ボディ形状にかかわらず基本的には変わりません。キャビンの大きいクルマはそのぶんデッキ(荷台)の長さが切り詰められています。
なお、シングルキャブには335mm短いショートホイールベース仕様も存在し、こちらは全長も約200mm短くなっています。
ラインナップが豊富なのはボディ形式だけではありません。エンジンは日本仕様と同じ2.4リッターディーゼルターボに加え、2.8リッターディーゼルターボも設定。
トランスミッションは、6速ATと5速MT/6速MTが用意されており、4WDだけでなく廉価な2WDの設定や、後から荷台を自由に架装できるように荷台が省かれた「キャブシャーシ」仕様も販売されていたり、多くの選択肢がそろっています。
●ホンダ「シビッククーペ」
ハッチバックのようなスタイリングながら、ハッチゲートではなくトランクを持つ2ドアモデルとして1972年に登場したホンダ「シビック」。
それ以降、さまざまなボディバリエーションを展開してきましたが、やはりスポーツコンパクトの印象が強く、いまでもシビックと聞くと、3ドアハッチバックを思い浮かべる人も少なくないでしょう。
しかし近年は需要の変化から5ドアハッチバックと4ドアセダンが中心となり、現行モデルも2017年に両ボディで国内デビューしました。
残念ながら4ドアセダンは2020年8月をもって販売が終了されており、現在は5ドアハッチバックのみのラインナップとなっています。
北米に目を向けると、セダンはもちろん、日本では未発売のクーペボディも販売されています。
かつては日本でも5代目、6代目をベースとする「シビッククーペ」が販売されていましたが、じつはそれもアメリカ製でした。
最新のシビッククーペには、日本仕様のシビックハッチバックにも搭載されている1.5リッター直噴ターボのほか、2リッターの直列4気筒i-VTECエンジンを設定。
さらに、ブーストアップされた1.5リッター直噴ターボを搭載するスポーティバージョンの「シビック Si クーペ」もラインナップされています。
これには6速MTとヘリカルLSD、アクティブダンパーといった、「シビックタイプR」も顔負けの装備が奢られています。
海外ではクーペやセダンもラインナップ
●インフィニティ「Q60」(日産「スカイラインクーペ」)
「スカイライン」は日産を代表するモデルのひとつですが、過去にはさまざまなボディスタイルをラインナップしていました。
プリンス自動車時代の初代モデルでは4ドアセダン以外に派生車の2ドアやオープンモデルが用意されるとともに、「ハコスカ」の愛称で知られる3代目からはワゴンやバンもラインナップ。先代にあたる12代目ではSUVの「スカイラインクロスオーバー」も登場して話題になりました。
しかし、2013年にデビューした現行スカイライン(V37型)は4ドアセダンのみです。
この背景には、クーペ需要の減少や「GT-R」のスカイラインからの独立などといった理由があったのですが、それはあくまでも日本国内での話。
一定の販売台数が見込める北米市場では、このスカイラインにもクーペボディが用意されています。
ただし、日産ブランドではなく、高級ブランドのインフィニティでの扱いとなり、「Q60」という車名で販売されています。なお、日本のスカイラインと同じセダンタイプは、インフィニティ「Q50」というモデルになります。
Q60のメカニズムや基本的なデザインはセダンに準じていますが、内装のカラーバリエーションが多く用意されるなど、セダンより少しラグジュアリーな位置づけです。
搭載されるエンジンは全車3リッターV型6気筒ターボ。300馬力仕様とハイチューン版の400馬力仕様があるのは日本のスカイラインと同様ですが、ハイブリッドモデルの設定はありません。
ちなみに、日本へは並行輸入という形で、レーシングドライバーの星野一義氏が代表取締役を務めるホシノインパルで販売されています。
●マツダ「マツダ2 セダン」
マツダのコンパクトカー「デミオ」は、2019年のマイナーチェンジで海外名である「マツダ2」へと車名変更されました。
上質な外観や静粛性を特徴とするマツダ2ですが、海外には伸びやかなスタイリングを持つセダンが存在します。その名も「マツダ2 セダン」です。
なお、セダンボディが販売されている国では、ハッチバックは「マツダ2 ハッチバック」と呼ばれています。
マツダ2 セダンが販売されているのは、南米やアジアです。エンジンは仕向け地によって異なり、メキシコ仕様は1.5リッターガソリン、タイ仕様は1.5リッターディーゼルと1.3リッターガソリンが用意されています。
デザインは、リアに向かって跳ねあがるウェッジシェイプで、スポーティさを強調。同じくセダンの「マツダ3 セダン」や「マツダ6 セダン」より若々しく元気な印象を与えます。
日本にはないマツダ2 セダンですが、じつは2019年から輸入されています。といっても一般販売はされておらず、教習車専用モデルの「マツダ教習車」として教習所に納入されています。
●スズキ「ディザイア」(スイフトセダン)
「ディザイア」はインドにあるスズキの子会社「マルチスズキ」が生産、販売する、コンパクトな4ドアセダンです。
スズキのコンパクトカー「スイフト」のセダン版で、2代目までは「スイフト ディザイア」の名称でしたが、2017年に登場した現行型からは単にディザイアと呼ばれるようになりました。
プラットフォームはスイフトと共通で、ボディサイズは全長が約150mm長いだけ。フロントバンパーは専用のデザインとされ、スイフトとは異なる意匠のフロントフェイスとなっています。
セダンらしいコンサバなシルエットは評価が高く、インドのセダン市場で最も売れているモデルです。
2019年4月から11月には12万台以上を販売し、スイフトディザイア時代からの累計では200万台を超えているといいます。
エンジンは1.2リッターガソリンのほか、日本にはない1.3リッターディーゼルを用意。CVTはなく、どちらのエンジンにも5速MTと5速AGSの2種類が設定されています。
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いずれのモデルも日本ではよく知られているクルマですが、ボディ形式が違うだけで斬新かつ魅力的に目に映ります。
ぜひ日本でも販売してほしいものですが、メーカーの綿密なマーケティングのうえで販売しないという決定をしているのでしょうから、それを覆すのはなかなか難しいといえます。
せめて限定でもと思ってしまいますが、買えないからこそより魅力的に見えるのかもしれません。