【価格/サイズ/内装は?】ホンダe ホンダ初の量産EV、日本発売日は10/30 充電/航続距離を解説
はじめに ホンダ・ホンダeとはtext:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
ホンダが、新型EV(100%電気自動車)の「ホンダe(ホンダ・イー)」を正式発表した。10月30日から発売する。
ホンダ・ホンダeアドバンス(ルナシルバー・メタリック)2019年のジュネーブ・モーターショーでプロトタイプがワールドプレミアされ、昨年の東京ショーで日本仕様のプロトタイプが参考出品されている。
ホンダでは1980年代から電気自動車の開発を進めており、1990年代後半にはハッチバック型のフルEV「EVプラス」をアメリカ、日本、スイスなどで少数リース販売したが、1999年には終了。
その後はハイブリッドやFCV(燃料電池車)の開発にウエイトを置いたが、アメリカでは2017年からFCVクラリティのフルEV版である「クラリティ・エレクトリック」をリース販売。だが、日本やヨーロッパには導入されなかった。
これまでのクルマにはない魅力を追及するとともに、EVの本質を見つめ、そして柔軟な発想で未来を見つめてつくりあげたモビリティだという。まずは、その概略を紹介していこう。
ホンダe 外観
日本仕様のホンダeのボディサイズは、全長3895×全幅1750×全高1510mm。ホイールベースは2530mm。
新型フィットと比べると、100mmほど短く、50mmほど幅広く、車高とホイールベースはほぼ同じ、といったサイズ感である。
ホンダ・ホンダeアドバンス(モダンスティール・メタリック)いわゆる2BOXのプロポーションは、懐かしさや親しみやすさを感じさせながら、どことなく近未来的な雰囲気も漂わせている、独特のデザイン。
後述するRR(リアモーター/リアドライブ)の駆動方式により前後のオーバーハングを短くし、ホイールベースを長く、トレッドも広げた安定感のあるスタンスも特徴的。
円を基調としたシンプルなモチーフに、ショルダーに走る唯一のキャラクターラインはリアピラーで駆け上がり、初代シビックのイメージを継承している。
丸型のヘッドランプ&リアコンビランプ、フロントフード中央の充電/給電ポート、フラッシュ化されたドアのアウターハンドル、コンパクトなサイドカメラミラーシステム、機能美と独創性を追求したホイールなど、ディテールも凝っている。
日本仕様のボディカラーは、ホワイト、ブラック、シルバー、ガンメタに加え、走りの楽しさを際立たせる新色のイエロー、上質さを高めるブルーとレッドの全7色を設定している。
ホンダe 内装
インテリアでは、なんといっても世界初の5スクリーンを水平配置したインストゥルメントパネルが目を引く。
ステアリングの奥には8.8インチのメータースクリーン、中央には2連の12.3インチ・ワイドスクリーン、そして両サイドにはサイドカメラ・ミラーシステムのモニター。
ホンダ・ホンダeアドバンスの前席内装さらにルームミラーにもセンターカメラによるモニターを採用し、人とクルマの新しいつながりを提案している。
2画面のワイドスクリーンはボタンひとつで左右の画面を入れ替えたり、アプリの履歴表示など、さまざまな表示が可能。
メータースクリーンも、速度だけでなくホンダセンシングのシステム状態やウォーニング、パワー/チャージメーターなどを表示できる。
自然な風合いのウッド調パネル、ソファのような仕立てのシートで、インテリア空間はシンプルで居心地の良いリビングにいるような感じだ。
シートやドア内張りには2トーングレーのメランジ調ファブリックを採用し、モダンなリビング空間を演出。リアシートはソファらしさを演出するためシートバックを一体化している。
ラゲッジスペースは、デイリーユースには十分な容量を確保し、後席を折り畳めばゴルフバッグを2個収納することができる。
ホンダe シャシー
ホンダeは、新設計のスモールEV専用プラットフォームを採用している。
短いオーバーハングでも衝突時の安全性を確保するため、フレームはシンプルなストレート構造とした。
ホンダ・ホンダeアドバンスの前・後席内装また、フロアコーナー部の結合を強化したり、ボディとIPU(インテリジェント・パワーユニット)ケースのクロスメンバーを重ねて配置して、前方・側面からの衝突に対してバッテリーを保護。
さらに、リアまわりの環状骨格と合わせて車体剛性を向上し、キビキビした走りを実現している。
サスペンション形式は、前後とも基本性能に優れたストラット式による4輪独立懸架を採用。シビック・クラスに使用する容量の大きなダンパーも採用して、凹凸のある路面でも優れた乗り心地を実現している。
また、フロントのロアアームをアルミ鍛造製とすることでバネ下重量を低減。乗り心地の向上に貢献している。
RRレイアウトによるモーターの配置やステアリング機構、補器類、サスペンション構造、ボディ骨格の形状などを工夫した結果、前輪は内側に約40°、外側に約50°切れることで、最小回転半径は4.3mを実現。また、ステアリングには可変ギアレシオも採用し、取り回しを楽にしている。
ホンダe パワートレイン
ホンダeのパワートレインは、ホンダが長年取り組んできたハイブリッド、プラグインHV、燃料電池の基本技術を活かしながら、コンパクトで優れた基本性能を実現するために専用設計された。
大トルクのe:HEV用駆動モーターを使用し、モーターの横にPCU(パワーコントロールユニット)を一体化してコンパクトにし、リアに搭載している。
V2H(ヴィークル・トゥ・ホーム)にも対応するホンダe。最高出力は154ps、最大トルクは32.1kg-mという、ガソリンエンジンならV6の3.0Lに相当するパワーとトルクを発生。
駆動用バッテリーはリチウムイオン電池を採用。フル充電での航続距離はベースグレードで283km(WLTCモード)となっている。
また、走行モードの切り替え、シングルペダル・コントロールのON/OFF、ステアリングの減速セレクターなどで、走行シーンに合わせて特性を変えられる。
充電/給電ポートは、さまざまな体格の人への使いやすさを考慮し、充電ガンが挿入しやすいフロントフード中央に配置。この場所は、運転席から接続していることが目視できるというメリットもある。
充電方式はCHAdeMO規格の急速充電とタイプ1単相の通常充電に対応。CHAdeMO(50kW以上)なら30分で80%、タイプ1単相は3.2kWまでの充電コンセントなら9.6時間以上、6.0kWまでの充電設備なら5.2時間以上でフル充電が可能だ。
ホンダe 装備
シティコミューターであっても、安心・安全装備が充実していなければならない。
ドライバーだけでなく、すべての人の安全を目指すホンダは、ホンダeにも先進の安全運転支援技術を搭載している。
ホンダeアドバンスのスカイルーフ(サンシェード付き)安全運転支援システムの「ホンダセンシング」は、衝突軽減ブレーキや誤発進抑制機能はもちろん、追従機能付きアダプティブ・クルーズ・コントロール、標識認識機能など、11の機能を標準装備。
インパネのワイドスクリーンには、直感的にわかりやすいイラスト表示の「安全装備設定」をホンダ車として初採用している。
また、駐車場所を選択してボタンを押すだけで簡単に使える「ホンダ・パーキングパイロット」、下向きのマルチビュー用カメラやサイドターンシグナルも内蔵したサイドカメラ・ミラーシステムを搭載。
これ以外にも、全面ガラスのスカイルーフ、クラウドAIによる音声認識と情報提供を行う「ホンダ・パーソナルアシスタント」、車載通信モジュールの「ホンダ・コネクト」など、シティコミューターとして効果的な快適装備も充実している。
ホンダe 日本価格
ホンダeは、ベーシックな「ホンダe」と、装備などを充実させた「ホンダeアドバンス」の2グレードを設定。
消費税10%込みの全国メーカー希望小売価格は、ホンダeが451万円、ホンダeアドバンスが495万円となっている。
ホンダeアドバンスの荷室アレンジ(後席フォールダウン)発売日は、前述のとおり10月30日だ。なお年間販売計画台数は、1000台を予定している。
ホンダe スペックホンダe
価格:451万円
乗車定員:4人
全長:3895mm
全幅:1750mm
全高:1510mm
ホイールベース:2530mm
車重:1510kg
最高出力:136ps/3078-11920rpm
最大トルク:32.1kg-m/0-2000rpm
駆動方式:RR
航続距離:最大283km(WLTC)
タイヤサイズ:185/60R16(前)205/55R16(後)
ホンダeアドバンス(差分のみ)
価格:495万円
車重:1540kg
最高出力:154ps/3497-10000rpm
航続距離:最大259km(WLTC)
タイヤサイズ:205/45ZR17(前)225/45ZR17(後)