新型モデル登場で人気再燃の予感!? 高性能ステーションワゴン5選
ここにきて復活の兆しがあるステーションワゴン
1989年にスバル初代「レガシィ」が発売され、ステーションワゴンの「レガシィ ツーリングワゴン」をラインナップ。当時はスキーやキャンプといったアウトドアレジャー人気もあり、高性能なエンジンを搭載したレガシィ ツーリングワゴンは大ヒットしました。
それに他社も追従し、次々とハイパワーなステーションワゴンを市場に投入するなど、ちょっとしたブームにまで発展したほどです。
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ステーションワゴンはセダンと同等のドライビングプレジャーがありながら、荷物の積載能力が高く、普段使いから家族とロングツーリングもこなせる優等生的なクルマです。
しかし、近年はミニバンやSUVの人気が高まったことで、ステーションワゴンは激減してしまいました。
一方で、数少ないものの、いまも高性能なステーションワゴンが存在。そこで、現行モデルの高性能なステーションワゴンを5車種ピックアップして紹介します。
●スバル「レヴォーグ」
スバル初代「レヴォーグ」は、2014年に発売されたステーションワゴン専用モデルです。
手頃なサイズとトップグレードには300馬力を誇る2リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載するなど、かつてのレガシィ ツーリングワゴンを彷彿とさせる、実質的な後継車でもあります。
そして、2019年10月に開催された「東京モーターショー2019」で2代目となる新型レヴォーグのプロトタイプが世界初公開されましたが、2020年8月20日から先行予約が開始と発表されました。
同年7月16日にはティザーサイトが公開されるなど、フルモデルチェンジへのカウントダウンが始まっています。
現時点で公表されている情報では、2代目レヴォーグは2016年に登場した5代目「インプレッサ」から採用されているスバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用。「フルインナーフレーム構造」とすることで、ボディ剛性の向上が図られます。
エンジンは、これまでの1.6リッターターボおよび2リッターターボに代わり、新開発の1.8リッター水平対向4気筒ターボが搭載される予定で、出力は未発表ですが、リーンバーン(希薄燃焼)をはじめとするさまざまな新技術が投入されています。
外観のデザインはキープコンセプトとしながらも、スバルのデザインフィロソフィーである「Dynamic × Solid」を深化させ、新デザインコンセプトである「BOLDER」を同社の市販車として初めて採用。
内装では、北米仕様の「レガシィ」や「アウトバック」などに搭載されている、大型のタブレット型ディスプレイが装着されます。
トランスミッションは現行モデルと同様にリニアトロニックCVTを継承していますが、新エンジンに合わせて大きく改良が加えられ、AWDシステムにも新技術が搭載される可能性があるようです。
また、スバル独自の先進安全技術「アイサイト」もバージョンアップし、高速道路でのハンズフリー運転も実現されます。
●トヨタ「カローラツーリング」
通算12代目となるトヨタ「カローラ」とステーションワゴンの「カローラツーリング」は、2019年9月に発売されました。
グローバルモデルと同じシャシへ一新され、カローラツーリングのボディサイズは全長4495mm×全幅1745mm×全高1460mmと、シリーズ初の3ナンバーサイズになりました。
外観は精悍なフロントフェイスに、サイズ以上にロー&ワイドなイメージのボディで、これまでのカローラシリーズとは一線を画する、力強さと流麗さをあわせ持つフォルムとなっています。
パワーユニットは1.2リッター直列4気筒ターボエンジンと、1.8リッター直列4気筒の自然吸気、1.8リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドの3種類を設定。
また、2020年6月に発売された特別仕様車「2000 Limited」には、170馬力を発揮する2リッター直列4気筒エンジンを搭載。
駆動方式は2WDで、Direct Shift-CVT(パドルシフト付10速スポーツシーケンシャルシフトマチック)との組み合わせで、発進から高速域まで力強い走りを実現しつつ、燃費はWLTCモードで16.6km/Lを達成。
外装は専用の17インチアルミホイールや、シルバーメタリック塗装のルーフレールなどを特別装備することにより、スタイリッシュさを高め、内装では上級グレードに相当する装備に加え、フロントシートはホールド性を高めるとともに、表皮に撥水加工を施したスポーツシートを採用しています。
2000 Limitedは500台限定かつカローラツーリングのみの設定です。
●ホンダ「ジェイド」
かつて、ホンダのステーションワゴンといえば、アメリカで生産された「アコードワゴン」が一世を風靡しましたが、現在のラインナップでは「シャトル」と「ジェイド」が担っています。
なかでもジェイドは、低い全高で美しいデザイン外観ながら、6人乗り3列シート車を設定するなど、希少な存在です。
さらに、全グレードが全高1550mm未満となっており、機械式立体駐車場に駐車が可能という使い勝手の良さもあります。
ジェイドはもともと中国向けのモデルでしたが、2015年に日本市場でも発売されました。当初は3列シートのみで、2018年に2列シートの5人乗り仕様を投入し、ステーションワゴンのイメージを強調。
また、パワーユニットもデビュー時は1.5リッター直列4気筒エンジン+モーターのハイブリッドでしたが、最高出力150馬力を発揮する1.5リッター直列4気筒ターボエンジンを追加しました。
足まわりにはフロントにストラット、リアにダブルウイッシュボーンを採用しており、重心の低いボディと相まって、高い運動性能を誇っていることもジェイドの特徴です。
しかし、残念ながらジェイドの生産は2020年7月をもって終了し、後継車の予定はありません。現在、生産調整がおこなわれており、すでに一部のタイプやボディカラーが選べない状況となっています。
欧州ステーションワゴンは、まだまだ活気あり!?
●フォルクスワーゲン「ゴルフR ヴァリアント」
1974年の誕生以来、フォルクスワーゲン「ゴルフ」は、FFコンパクトカーのベンチマークとして君臨してきました。
その後、ゴルフをベースとして、さまざまなバリエーション展開がおこなわれてきましたが、日本で販売中の7代目モデルには、ステーションワゴンの「ゴルフ ヴァリアント」をラインナップ。
なかでも高出力なスポーツモデルが「ゴルフR ヴァリアント」です。ゴルフの高性能モデルといえば初代から続く「GTI」がありますが、さらに高性能化したモデルが「R」シリーズです。
搭載されるエンジンは最高出力310馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボで、7速DCTと組み合わされ、駆動方式はフルタイム4WDの「4モーション」のみとなっており、0-100km/h加速は4.8秒を記録。
外観ではフロントグリル、フロント&リアバンパー、リアスポイラー、ドアミラーがR専用で、フロントがストラット、リアがマルチリンクの足まわりも専用となっており、ベース車に対して10mmローダウンされています。
通常モデルと比べ車高を10mm低く設定するとともに、特性を最適化したスポーツサスペンションと相まって、高いコーナリング性能を発揮。
なお、欧州ではすでに8代目ゴルフが販売されており、今後はヴァリアントなどもモデルチェンジされ、日本にも上陸すると予想されます。
●ミニJCWクラブマン
イギリスを代表するコンパクトカー「ミニ」は、1959年に誕生。今の軽自動車よりも小さいサイズながら大人4人と荷物が積める優れたパッケージングで、後のFFコンパクトカーのお手本となった偉大なクルマです。
しかし、ローバーグループがBMWに買収され、2000年に生産を終了。
そして2001年、BMWグループのプレミアムスモールとして新生ミニが復活を果たし、発売直後から世界中で人気となったのは記憶に新しいところです。
現行モデルのミニは2013年に登場した第3世代で、ボディバリエーションは一時よりも整理されましたが、「ミニ3ドア」、「ミニ5ドア」、オープンカーの「ミニコンバーチブル」、SUVの「ミニクロスオーバー」、そしてステーションワゴンの「ミニクラブマン」をラインナップしています
ミニクラブマンとミニ5ドアは車格が近いモデルですが、ミニクラブマンの方が全長とホイールベースが長く、全幅もワイドになっており、明確にステーションワゴンであることを強調しています。
また、リアゲートが観音開きとしていることも、大きな特徴です。
日本で販売されているバリエーションは、ガソリン車の「ワン」、「クーパー」、「クーパーS」そして4WDの「クーパーS ALL4」と、ディーゼル車の「クーパーD」と「クーパーSD」があり、エンジンによって大別されています。
なかでもトップグレードに位置するのが「ミニJCW(ジョン・クーパー・ワークス)クラブマン」で、エンジンは2リッター直列4気筒ターボを搭載し、最高出力は306馬力を発揮。
組み合わされるトランスミッションはパドルシフト付きの8速ATで、駆動方式は4WDのみとされ、0-100km/h加速4.9秒を誇り、これは現行ミニシリーズのなかでも最速です。
内外装はJCW専用の仕様となっており、スポーティに演出され、さらにミニシリーズならではの豊富な純正オプションパーツによってカスタマイズも可能です。
足まわりも専用のスポーツサスペンションが採用されており、1600kgと重めな車重ながらも「ゴーカートフィーリング」は継承されています。
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ステーションワゴンの良さは走りと積載性ですが、新型レヴォーグやカローラツーリングの登場で、わずかながら活気が出てきました。
現在、ミニバンから3列シートSUVへの乗り換え需要が高まっているといいますから、ステーションワゴンの良さが見直される日も近いのではないでしょうか。
とくに今回紹介した5車種のようなクラスは、日本の道路事情にも適しているため、復権への期待が高まります。