価値なし…郊外ショッピングモール隣マンションの致命的欠陥

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本記事では、収益物件の売買や仲介事業を展開する株式会社BRAVEの代表取締役・山部和孝氏が、同業だからこそ見えてくる不動産投資の実態について、投資家から寄せられた意見を取り上げながら解説していく。 ※本連載は、『投資会社トップが激白!業者が「投資家を騙す」30のワード 不動産業者のハナシは信用するな』(クロスメディア・パブリッシング)より一部を抜粋・編集したものです。

「ショッピングモール近くのマンションは儲かる」の嘘

【Case】都市部から車で1時間くらい離れた郊外で「西日本最大級のショッピングモールが半年後に完成する。隣接地を買ってマンションを建てれば儲かるはず」と地元の某不動産業者が話を持ちかけてきた。インターチェンジや鉄道駅にもほど近く、宅地も造成されはじめている。新しい街のイメージが持て、需要も見込めそうだが、買いの判断をしていいものか。


 

郊外や地方に強い業者、業者とツルんでいるコンサルや個人投資家、不動産投資セミナー、実用書……あらゆるところで必ず出てくるワードが「郊外」だ。いまだに多くの業者やコンサルが大々的な宣伝をしている。ヤツらの決まり文句としては、

 |腸世代はリタイア後に、環境が良い郊外へ住もうと考えるから需要がある

◆々抒阿陵卦拊呂魍萢僂靴紳膩織轡腑奪團鵐哀札鵐拭爾禄元厠呂あり、隣接エリアのファミリーマンション等も需要があると見込まれる

 地方となればバスや自家用車を使ってまで鉄道駅に人が集まるということがあるから、駅近物件なら間違いない

など。せっかくなので、これらが間違いであることを説明していこう。

まずは,ら。元気な時、現役で稼いでいて仕事を退職する前にはそんなことを思い描くのかもしれないが、実際にリタイアした人が住みたいのは、環境が良い郊外ではなく、病院やスーパー、ホームセンターに近い平地だ。自動車で1時間以上かかる郊外へ移住しても、たまたま近所に良い病院があるか、後で運良く病院が開業するということがない限り、結局また都市部へ戻ってくる。

そう、勘違いしないでほしい。「環境が良い=ほどよく田舎」なのだ。

人口がドンドン減っているこの時代にわざわざ過疎化するのが見えている郊外を好き好んで買うのは投資家としては1点。短期転売を目指すなら100点だ。投資の基本は地域全体が都市化されていて、公的機関もあり、商業、経済の中心地安定運用できる物件だ。どんな不動産も、人が居なければ無価値である。

30年前に造られた郊外の街は現在どうなっているかその姿を見れば、必然的に郊外の投資としての危険度が理解できる。例外もあるだろうが、そんな低確率で勝負するほど無駄なことはない。

次に◆3里に大型ショッピングセンターのような商業施設ができると、人で賑わい、スポット的に街もできる。うまく行けば後追いで病院や学校ができるだろう。だが、歳月が経つと興味が薄れ(ほかにも色々施設ができるから)、人は少なくなる(新しい物好き日本人の特徴)。そもそも商業地は静かではないので、住む人が限られるのだが、それで賑わいがなくなれば、もはや住む理由がなくなる。

商業施設も民間企業が運営している。儲からなくなれば撤退は普通にある話だ。公共のインフラとは違うことを認識すべきである。

かつては日本一となった「ダイエー」も、地方都市の至る所に点在したが、現在は皆無だ。わずかに名前を変えて存在しているが、当時の勢いは無く、イオン系の1ブランドになってしまった。

俺の故郷にもダイエーは存在したが現在はマンションだ。駅前商店街にあったが、現在はシャッター商店街。人の往来は極端に少ない。そんな「事実」から俺は田舎への投資は行わないことを鉄則にしている。

そして。そもそもその地域、土地を知らない人からすれば需要があるように見えても、長く地元に住んでいる人からすれば「あそこは住もうと思わない」と言われ、テナント入居者が埋まらない物件がよくある。

土地勘がないというのは仕方ないのだが、調べようと思えば、自分で地元の業者へ足を運んで話を聞く、周辺の住民に話しかけてみるということもできる。そこを面倒がるから、儲からないし、損をするのだ。土地の地歴は大切だ。

少し話の趣旨と違うのかもしれないが、街でたまにみかける所有者不明の物件も、大きなニュースになった積水ハウスの地面師事件も、周辺住民は真実を知っている。はっきり言って、積水ハウスの調査能力不足と慢心が生んだ結果だ。

この事件ははじめ「この土地を担保に10億円融資できないか?」と遠く離れた大阪の業者にまで勧誘があった。事実、俺のところにも話が来たくらいだから。

ここで少しでも危機管理能力がある人間なら「無担保の土地ならまず銀行がお金を貸すでしょ?」と疑問が浮かぶはずだ。どんな投資話も事実であれば金融機関が資金を貸す。詐欺っぽいから金融機関が金を貸さない。それが自然である。

また、これは実際にあった話だが、ある繁華街に近い一等地で突如、店舗兼住宅が崩壊したことがあった。行政は所有者が不明ということで、ただ右往左往するばかり。でも、その周囲を自分で歩き、出会ったご近所の方と話をしていたら、かつての所有者の名前が出てきたのだ。結局は自分の足で歩き、調べることが大事なのだ。

「中心地が最も大事、郊外は後回し」は自然の摂理

もう一点、これは世界共通だが、街の中心地というものは、よほどのこと(原発事故とか、ひどい戦災を受けたとか)がない限りはいつの時代も守られる。たとえ地震で地割れが発生しようとも、まず中心地の復興からスタートとなる。なぜなら、中心地は常に人が集まり、経済活動をし、お金を生み出す。そして郊外は後回し。これは大多数の方を向く日本の民主主義下では当然のことだ。

そうなると、郊外を買うという選択肢はなくなる。その街や土地に愛着があるのなら仕方ないが、中心地の土地は未来永劫に誰かが欲しいと思うし需要がある場所(土地)だから、手に入れられる機会がもしあるなら、見逃してはならない。そうやって価値をお金に換え(入口)、時が来たらその価値を換金する(出口)のが不動産投資だ。

話を元に戻すが、商業施設また工場、大学などに近い立地に限っては、短期間での転売ならアリだ。別に家賃収入を得ることが悪いということはないのだが、いずれは移転や撤退といったことが発生するかもしれないというリスクがあることは、頭の片隅におくべき。だから、物件を欲しがる人が現れたら、すぐに転売できるような心構えをしておく。こうした出口を想定したストーリーを、投資家は必ず頭に入れておきたい。

「決まり文句」の裏側

株式会社BRAVE 代表取締役

山部 和孝