事故についての調査結果を発表する黄少将

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(台北中央社)空軍司令部は15日、沈一鳴参謀総長ら8人が犠牲になった先月の軍用ヘリコプター墜落事故に関する記者会見を開き、事故は環境(天候や地形)、人的要因が重なったことによるものだったとする暫定的な調査報告を発表した。

事故を起こしたのは米国製の軍用ヘリ「UH60M」。先月2日、13人を乗せて台北から北東部・宜蘭県の軍事施設に向かう途中、山中で墜落した。同機のブラックボックスは米国の対台湾窓口機関、米国在台協会(AIT)を通じて米国に送られ、約4週間にわたる解析を終えて今月初旬に台湾に戻った。

同部監察総監の黃志偉少将によれば、事故当日、山間部の天気が急変し、ヘリは一瞬にして雲に突入。事故の12秒前に操縦士が雲から抜け出そうと試みた形跡が認められたが、間に合わず地面に接触したとみられる。黄氏は、操縦士のこの行動がなければさらに多くの犠牲者が出たとする見解を示す一方で、あと1〜2秒の余裕があれば事故を避けられた可能性があったことも指摘した。正副操縦士の健康状態や経歴、飛行前の生活状況などはいずれも問題なかったという。

この報告結果を受けて同部は、操縦士の危機管理訓練の強化や気象レーダーの装備を計画するほか、重要任務に当たる専用機の操縦士の階級を引き上げ、正操縦士2人体制にする方針だとしている。

(游凱翔、余祥/編集:塚越西穂)