同時配信・見逃し配信サービス「NHKプラス」4月開始へ テレビ販売にマイナスか
NHKは1月15日、総合テレビとEテレ(NHK教育)の放送番組をインターネットで配信する新サービス「NHKプラス」を4月1日に開始すると発表した。それに先立ち、3月1日から試行的に実施する。
受信料を財源とする、従来の「放送」を補完するサービスで、NHKの上田良一会長は「新しいプラスの価値を体験していただきたい」「暮らしの中に公共性の高い情報と接触する機会をプラスしていただきたい」とコメントしている。
具体的には、午前6時から翌日0時までの18時間(試行期間は午前7時スタートの17時間)、インターネットで同時配信する「常時同時配信」と、放送後7日間、いつでも利用できる「見逃し番組配信」を提供し、NHKの受信契約者と生計を同一にする家族などは、手続きを経ると追加料金なく利用できる。
常時同時配信・見逃し番組配信の対象は、地上2波の総合テレビとEテレ。サービス開始時は、南関東エリア(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を対象とした放送を全国に、放送と同時に配信する。画質は最大1.5Mbps(SD画質相当)。対象機器はPC、タブレット端末、スマートフォン(スマホ)で、テレビ一体型端末向けのサービスは当分の間、実施しないとしている。
申込方法は専用案内ページまたはアプリから。執筆時点ではまだ公開されていないが、申込後、郵送で契約住所に確認コードが記載されたハガキが届くという申込フローを考えると、2月中には公開されるだろう。
このNHKプラスの第一報を聞き、テレビアンテナ、「ひかりTV」や「ソフトバンク光テレビ」といった光ファイバーを利用したテレビ視聴サービスを利用せずに、受信料と固定通信回線の月額料金だけでNHKの番組が受信できるようになると思った。しかし、テレビチューナー搭載デバイスは対象外のため、従来同様、大画面テレビでNHKを視聴するには、アンテナ設備または光テレビサービスの契約が必要となる。
今年1月1日の改正放送法の施行を受け、初めて可能になったインターネットを利用した公共放送の常時同時配信サービス。基本的に今と変わらないが、チューナーを搭載するテレビやレコーダーを保有しなくともNHKが見られるという変化は大きい。普及は未知数だが、画質がモバイルデバイスなら不満のないクオリティでアプリの使い勝手が良ければ、定番の動画配信サービスに加わるだろう。
そうなると、タブレットやモバイルノートPCの販売にとっては追い風になりそうだ。同時に、一人暮らしの必須アイテムから「テレビ」が外れるかもしれない。災害発生時や記念イベント開催時などにNHKの生放送を見たいというニーズを、普段使っているスマホだけで満たせるようになるからだ。
家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、NHKまたは開始予定のNHKプラスを単体で受信・視聴できるデバイスの19年の税別平均単価は、地上デジタルチューナーを搭載した液晶テレビが7万742円、有機ELテレビが25万7604円、BDレコーダーが4万5144円、タブレット端末が4万545円、スマートフォンが4万4751円(参考値)、ノートPCが10万4621円、デスクトップPCが12万1319円。
前年1年間に比べた19年の販売台数・販売金額の伸び率は有機ELテレビが最も高かったが、販売台数の総数としてはスマートフォン、液晶テレビ、ノートPC、BDレコーダー、タブレットの順だった。
NHKプラスの正式サービス開始後、BCNランキングで、今は約4割を占める40型未満の中小型テレビの構成比が急落したら、NHK地上波を受信できるデバイスとしての「テレビ離れ」が始まったといえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
受信料を財源とする、従来の「放送」を補完するサービスで、NHKの上田良一会長は「新しいプラスの価値を体験していただきたい」「暮らしの中に公共性の高い情報と接触する機会をプラスしていただきたい」とコメントしている。
常時同時配信・見逃し番組配信の対象は、地上2波の総合テレビとEテレ。サービス開始時は、南関東エリア(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)を対象とした放送を全国に、放送と同時に配信する。画質は最大1.5Mbps(SD画質相当)。対象機器はPC、タブレット端末、スマートフォン(スマホ)で、テレビ一体型端末向けのサービスは当分の間、実施しないとしている。
申込方法は専用案内ページまたはアプリから。執筆時点ではまだ公開されていないが、申込後、郵送で契約住所に確認コードが記載されたハガキが届くという申込フローを考えると、2月中には公開されるだろう。
●普及は未知数 画質やアプリの使い勝手次第か
このNHKプラスの第一報を聞き、テレビアンテナ、「ひかりTV」や「ソフトバンク光テレビ」といった光ファイバーを利用したテレビ視聴サービスを利用せずに、受信料と固定通信回線の月額料金だけでNHKの番組が受信できるようになると思った。しかし、テレビチューナー搭載デバイスは対象外のため、従来同様、大画面テレビでNHKを視聴するには、アンテナ設備または光テレビサービスの契約が必要となる。
今年1月1日の改正放送法の施行を受け、初めて可能になったインターネットを利用した公共放送の常時同時配信サービス。基本的に今と変わらないが、チューナーを搭載するテレビやレコーダーを保有しなくともNHKが見られるという変化は大きい。普及は未知数だが、画質がモバイルデバイスなら不満のないクオリティでアプリの使い勝手が良ければ、定番の動画配信サービスに加わるだろう。
そうなると、タブレットやモバイルノートPCの販売にとっては追い風になりそうだ。同時に、一人暮らしの必須アイテムから「テレビ」が外れるかもしれない。災害発生時や記念イベント開催時などにNHKの生放送を見たいというニーズを、普段使っているスマホだけで満たせるようになるからだ。
家電量販店・オンラインショップの実売データを集計した「BCNランキング」によると、NHKまたは開始予定のNHKプラスを単体で受信・視聴できるデバイスの19年の税別平均単価は、地上デジタルチューナーを搭載した液晶テレビが7万742円、有機ELテレビが25万7604円、BDレコーダーが4万5144円、タブレット端末が4万545円、スマートフォンが4万4751円(参考値)、ノートPCが10万4621円、デスクトップPCが12万1319円。
前年1年間に比べた19年の販売台数・販売金額の伸び率は有機ELテレビが最も高かったが、販売台数の総数としてはスマートフォン、液晶テレビ、ノートPC、BDレコーダー、タブレットの順だった。
NHKプラスの正式サービス開始後、BCNランキングで、今は約4割を占める40型未満の中小型テレビの構成比が急落したら、NHK地上波を受信できるデバイスとしての「テレビ離れ」が始まったといえるだろう。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。