稲荷神社の境内に置かれた狐像。裸だったり、前掛けを付けたりしている姿は多くの人が目にしたことがあるだろう。

しかし、ツイッターユーザーの幣束(@goshuinchou)さんが、青森市の沖館稲荷神社で目にした狐像は、非常にスポーティーだった。

雪の積もる台座に鎮座するのは、それぞれ紫と茶色のウインドブレーカーを着た2体の狐の石像。冬の青森の寒さを凌ぐために着せてもらったのだろうか。首元には、マフラーのように巻かれた手ぬぐいも。これなら服の中に雪が入り込んでしまうこともなさそうだ。

後ろの道は真っ白でなんとも寒そうな景色だが、このお狐様たちが服を着せてもらった経緯を想像すると温かな気持ちになってくる。

幣束さんのツイートを見た人からは、

「笠地蔵みたいに、着せた人の家にお狐様が恩返しに来るかもしれませんね」
「お狐様にもこれほどのお気遣い。奉納された方の思いが伝わりますね」
「地元の方々に大事にされているのだな、とほっこりさせられますね。素敵です」

など、ほっこりする声が寄せられた。

一体誰が、お狐様にウインドブレーカーを着せてあげたのだろう。Jタウンネット編集部は17日、沖館稲荷神社に話を聞いた。

夏は祭りのはんてんを着ている

取材に答えてくれたのは、宮司の佐藤紘一さん。佐藤さんによると、20年ほど前からお狐様に服を着せているそうだ。

「冬はこんなふうで、夏には祭りのはんてんとハチマキです」

とのことで、毎年衣替えも行われているようだ。


幣束さんのツイートより(編集部で加工)

ちなみに、夏といっても「雪が降る前くらいまで」は、はんてんを着せていて、お狐様が何も着ていないことはあまりないという。「たまにね、服の洗濯の間は裸のままいます」と佐藤さん。

服を着せ始めたきっかけを聞いてみると、

「子どもが大きくなって、はんてんが着れなくなって余ったので、神社の雰囲気を盛り上げようと着せてみたんですよ。それまでは、前掛けだけつけてあげていました」

それから冬になり、「はんてんだと寒いから」とウインドブレーカーを購入して着せてあげたそう。はんてんもウインドブレーカーも、3〜4年ごとに、新しいものに変えてあげているのだという。

「本当は帽子もかぶせてあげたいんだけど、なかなかないんですよね」

と佐藤さん。お狐様のことを大切にしているのが伝わってくる、優しい口ぶりだった。