ルー大柴、65歳の今も魅力は健在「ストーンの上にもスリーイヤーズですよ」
『アデランス』のCMで「トゥギャザーしようぜ!」というフレーズとともに、34歳で遅咲きの大ブレイクを果たしたルー大柴。ブームが終息し低迷期に突入するも、'07年、英語と日本語をミックスさせた“ルー語”が女子高生を中心に話題となり、50歳を過ぎて再びブレイク。
「手を替え品を替えですよ。芸能人も大変なんだよ」と笑うが、飄々(ひょうひょう)としながらも時代にアジャストする生き方は魅力的。現在、65歳。世間的にはリタイアを迎える年齢だが、長崎の街を散策する冠番組『よル〜じげ トゥギャザーしようぜ!!』(長崎国際テレビ)のMCを務めるなど、60代になっても活躍の場を広げている。
あきらめたら終わり
「この年になって仕事ができるだけでもありがたいもんですよ」
そう謙遜するが、この番組、数あるローカル番組の中でも指折りの高視聴率を叩き出し、彼が長崎を歩けば老若男女問わず「ルーさん!」と声をかけられるほどの人気番組に成長している。
「開始当初は、深夜番組だし、若者が街ブラするわけでもないから、すぐ終わるだろって(笑)。ところが、自分でもビックリするくらい反響があった。自分に台本もないロケ番組ができるのか不安だったけど、チャレンジしてみるもんだね。温かく迎えてくれる長崎のみなさんの優しさに感謝しかないですよ」
“クドい男”というイメージが強い彼。それだけに、クドすぎる街ブラになるのでは!? なんてことを考えてしまいそうだけど、そうではない。実はルー、13年ほど前から武家茶道の一派・遠州流に通い続け、今では師範を許可され『貫庵・大柴宗徹(そうてつ)』の庵号・茶名を与えられるほど。“静”のスペシャリストでもあるのだ。
「通い始めたころは、自分には向いてないなって思いましたよ(笑)。でも、ストーンの上にもスリーイヤーズ(石の上にも三年)。ストレスや嫌悪感を抱かない限りは、続けてみたほうがよいこともある。あきらめたら終わり」
僕の人生はふれあい
その言葉どおり、ルーさんはご近所付き合いから始めたという太極拳も10年ほど続けているとか。
「フレンドリーにご近所さんと付き合うようになったことや、茶道を習いに行く中で、新しい自分をディスカバリーしたことが、結果的に『よル〜じげ トゥギャザーしようぜ!!』をはじめ、今の年齢でできることにも活きていると感じますね。“動”のルー大柴だけじゃなく、“素”の本名・大柴亨、“静”の大柴宗徹、自分の引き出しが増えていくのは楽しいよね」
といっても、茶道を極めるつもりはないという。
「例えば、僕がルー語を使ってお茶を点(た)てたら、きっとお客さんは喜んでくれると思うんです。エンターテイメントとしての茶道を広めたい。アメリカやヨーロッパでファッショナブルに披露できたら最高ですよ」
あくまで自分が楽しめるように、自分の好きなことをする。自分を追い込まずに、手を替え品を替え、人生を切り開く。2度ブレイクしたルー流の哲学。ガ然、3度目も期待したくなる!
「頭と身体の健康エクササイズ『GymGym』を広めるため、全国各地でイベントに参加しています。僕も2人の孫を持つおじいちゃんだから元気でいたい。リタイアしてのんびりしたい気持ちもリトルビットあるけど、70歳まではアクティブに活動するつもり。そういう思いを持っているみなさんと、『GymGym』を通じてトゥギャザーしたいね!」
ルーは、「僕の人生はふれあい。コミュニケーションです」と言い切る。
「どう楽しませてハッピーになれるか。自分がチャレンジしたことが、その次のステージで活きるんですよね。年をとってきたら、変に気取ったって意味なんかない。
それに、今って芸能人が芸能人らしく振る舞うことを求められてないような気がするんだよね。僕もかつては調子にのって芸能人感を出していたけど、この年になるとそんなことをしたいと思わない(笑)。芸能人感を出すと垢がつくだけ。気取らずに、ナチュラルな自分を出すこと。それが自分をネクストステージに連れていってくれるんじゃないかな」
《PROFILE》
ルー大柴 ◎るー・おおしば。1954年、東京都生まれ。タレント、俳優として活躍しながら、'07年、NHK『みんなのうた』で放送された『MOTTAINAI』をきっかけに環境活動にも積極的に取り組み、芸能活動の傍ら、茶道・遠州流師範、山野美容芸術短期大学客員教授も務める。