工事用信号は道路交通法が定める「信号」には該当しない

 どういうわけだか、年末や年度末になるとやたらと増える道路工事……。忙しいときに限って、道路工事で一車線が規制され、工事用信号による片側交互通行に出くわしてイライラすることも! そんなとき、よく見ると対向車はまるでくる気配がない。「これって、この信号って、そもそも法律的に従う必要性があるのだろうか?」そう疑問に思う人がいても珍しくない。

 結論からいうと、あの工事用仮設信号は、法的根拠があるものではないので、仮に工事用信号に従わなくても、道路交通法で罰せられることはない。

 道路交通法が定める「信号」とは、

 1)都道府県公安委員会が設置した信号機

 2) 警察官等の手信号

 の2種類のみ(道路交通法 第四条「公安委員会の交通規制」)。

法的効力はなくとも信号に従ったうえで安全確認は自己責任!

 民間の工事会社が設置した仮設信号や、工事現場の誘導員の指示も法的効力はまったくなく、工事関係者が現場付近の交通の流れを円滑にするために、任意でお願いしているカタチに過ぎない。

 だからといって、あからさまに無視するというのは、ルール上は問題なくても、マナー上はよろしくないし、危険な場合もある。

 ただし、厄介なことに、工事用の信号に従う、あるいは工事現場の誘導員の指示に従って走り出したときに、対向車などと事故を起こしても、その責任はドライバーが負うのが基本! 安全確認の義務は、ドライバーの責任になり、工事で片側相互通行になっていた場合は、本来の車線側のドライバーが優先。反対車線側に出たクルマがより大きな過失として扱われる(ドライブレコーダーなどで、工事用の信号を順守していたことが証明できれば、過失割合も多少は変わる)。

 というわけで、交通量が少ない道で見通しがよく安全が確認できる状況なら、工事用の信号を無視してもペナルティをもらうことはないが、ごく稀に長期間(災害復旧等)工事が続く場合は、工事用の仮設信号でも都道府県公安委員会の認可を受け、認識番号付きの公安委員会の表示板がある信号もあるので要注意。これは仮設とはいえ道路交通法上の信号と同じ扱いになるので従う義務があるし、無視すれば道交法違反になる……。

 ただ法的云々に関わらず、安全であることが第一なのは間違いないので、見通しの悪い道は当然として、そうでない道でも基本的に工事用信号にも従うべきだ。と同時に信号は安全を保障してくれるものではないので、安全確認はドライバーの自己責任でしっかりと。

 またイライラしないことも安全運転には大事な要素なので、工事現場に差しかかったときはその道を利用する皆がより安全に、スムースに行き交うことができるよう、お互いに気を配ることも忘れずに。