使いかけの化粧品が高確率で病原性細菌に汚染されているという調査結果
by An Min
口紅やリップグロス、アイライナーなど、化粧品の中にはすぐに使い切れないものもあり、同じ化粧品を長い間使い続けているという人も多いはず。しかし、そんな開封済みで使いかけの化粧品のほとんどが「高いレベルで病原性の細菌によって汚染されていた」という研究論文が発表されました。
Microbiological study of used cosmetic products: highlighting possible impact on consumer health - Bashir - - Journal of Applied Microbiology - Wiley Online Library
Used Cosmetic Products Found to Be Crawling With Infectious Bacterial Contaminants
https://www.sciencealert.com/your-makeup-is-probably-crawling-with-bacteria
アストン大学の生物医学者であるアムリーン・バシール氏とピーター・ランバート氏の率いる研究チームは、96個の口紅、92個のアイライナー、93個のマスカラ、107個のリップグロス、79個のパフ(メイク用スポンジ)の細菌汚染度を調査しました。
イギリスでは、化粧品は「製造時に病原性の生物が含まれてはならない」と法的に規制されているものの、実際に調査すると開封済み製品の70〜90%が細菌に汚染されていたことが明らかになっています。さらに、研究チームが調査対象の化粧品を使用した人たちの化粧習慣をアンケートで確認したところ、化粧品自体に問題があるのではなく「使い方に問題があったために化粧品の細菌汚染が起こっている」と判明しました。
化粧品は食べ物と違い、賞味期限はありませんが、ほとんどの化粧品はメーカーによって使用期限が定められています。この使用期限は、製品に含まれる防腐成分が化粧品を細菌汚染から守る期限を示しているとのこと。そのため、化粧品の使用期限が切れてしまうと防腐効果が失われ、雑菌が繁殖しやすくなってしまうというわけです。なお、調査対象の化粧品に付着していた細菌には、黄色ブドウ球菌や病原性大腸菌、シトロバクターなどの腸内細菌も含まれていたそうです。
使用期限が切れていることを知らずに化粧品を使い続けている人が多いことは、これまでにも指摘されていました。例えば、2013年にブラジルで行われた研究では、学生44人という小さな母数ではあるものの、97.9%が期限切れのメイクを使い続けていることがわかっています。
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また、アンケートでは、回答者の93%が「パフを一度も洗ったことがない」と答えたそうです。また、64.4%が「パフを床に落としてもなお使い続けた」と回答しています。
研究チームは論文の中で、「研究によると、パフは特に細菌汚染されやすく、調査したパフの4分の1以上が大腸菌に汚染されていることがわかりました」と報告し、「パフはぬるめの湯と洗剤で洗うことができます。ただし、しっかり乾かさなければ、微生物の繁殖を促進することとなります」と述べました。
バシール氏は「化粧品を定期的に洗浄し、完全に乾燥させる必要があること、そして使用期限を過ぎて化粧品を使用するリスクについて、消費者や化粧品業界全体は学ばなければなりません」と注意を促しています。