アルコールを含まないのに酔った時のような酩酊感があり、天然の抗不安薬・抗うつ薬としても利用されるドリンクが「カヴァ」です。「飲むと口の中がしびれる」といったヤバげな感想もあり、一体どんな飲み物なんだ……飲んでみるしかない……となったので、フィジーで夜な夜な開かれるカヴァ会に参加してきました。

1000円で泊まれる南国ビーチリゾート「Bamboo Backpackers」に宿泊した日の夜、夕食を食べ終えて部屋に戻ろうとてくてく歩いていると……



プールサイドに人が集まっているのを発見。



一体何しているんだろう?と寄ってみたところ、宿のスタッフさんたちが集まって楽しげにギターを弾いたりお話をしたりしていました。



そしてテーブルには、お酒と一緒に何やら白濁した液体が……。



洗面器っぽいものに入ったこれがカヴァ。どことなく泥水風です。



洗面器1つ、お椀も1つで、みんなで飲み回すのがカヴァの飲み方。お兄さんもぐいぐい飲んでいます。



カヴァの飲み方にはルールがあり、こんな感じでお椀に入ったカヴァを受け取ると……



3回手を叩き、「ブラ!」と叫んでカヴァを一気に飲み干します。飲み終えたらもう一度手を叩いて「ブラ!」と言うのがカヴァの飲み方。



ということで一気に飲み干してみたところ、何とも説明し難い味というか、「味」といっていいかもわかりません。「コショウっぽい」とよく言われますが、宿の同室だった人はカヴァの味について「無」とコメントしていました。ただ味以外の点では、飲み終えると口から喉の奥までが少し熱くなる感覚があり、確かに舌がしびれます。



「お酒じゃないのに酩酊する」と聞いていたので、カヴァを飲み終えて「全然そんなことないような?なんか普通……」と思っていたのですが、2杯、3杯と飲み進め、5杯ぐらい飲んだところで確かにゆったりした気分になっているのに気づきました。

ハイになるわけではないのですが、どことなくとろ〜んとした感じになります。宿のお兄さんたちの生演奏していると色んな人が寄ってきますが、フワフワした状態であるためか仲良くなりやすかった気がしました。

うつを改善する謎のドリンク「カヴァ」を夜な夜な飲む人々 - YouTube

「天国への扉」を歌うフィジアンたち - YouTube

宿のスタッフさんたちに「週にどのくらいの頻度でカヴァを飲んでいるの?」と聞くと「毎日」と返ってきたように、「カヴァを飲む」という習慣はフィジーでは一般的。現地の人の家に泊めてもらった時にも、夜にはカヴァ会が開かれていました。

このカヴァ会では、「タノア」と呼ばれる伝統的な器でカヴァを作っています。



タノアの横に置かれた袋の中にカヴァの材料が入っています。



袋の中はこんな感じ。灰色の粉末です。



これをオレンジ色の袋に入れ……



水の入ったタノアの中でしごいていくことで、成分を抽出するようです。



じゃぶじゃぶと混ぜ、これをみんなで飲み回します。



大人だけかと思いきや、子どもも参加していました。さすがにカヴァは飲んでおらず、大人たちと遊んでいました。



カヴァ会は21時ごろに開始され、最初は3〜4人しかいなかった参加者が、遅い時間帯になってくるとどんどん増えてきます。最終的に解散したのは朝方の4時だったそうです。



このカヴァ会ではカレーをチャパティでつつんだものをもらったのですが、カヴァを飲む前と飲んだ後では全く味が違いました。カヴァを飲んだ時の「舌がしびれる」という感覚は山椒の強烈版のような感じなのですが、そのためにカレーの味が「酸味寄り」「無寄り」になりました。あまりご飯と一緒に飲むべきものではないようです。



一般家庭で作られるということは、そのへんのスーパーに材料が売られているんだろう、ということで、市場を散策。



マーケットの中に入ってみると……



「TWINS KAVA DEALERS」という文字を発見。



これがカヴァ屋さん。



ずらりと並べられているのは木の根っこ。カヴァはコショウ科の灌木の根っこを乾燥させ、粉末状にしたもののこと。カヴァ屋さんはマーケットの中に何件もあり、人が頻繁に立ち寄っていたところを見ても、フィジー人の生活の必須アイテムだということが見て取れました。



なお、カヴァを飲む前にビールを飲んだ人から「カヴァとビールを合わせると信じがたいほどの二日酔い頭痛になる」という言葉を聞いたので、お酒と一緒には飲まない方がよさそうです。