上野の超人的な投球に、賛辞が寄せられている【写真:荒川祐史】

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米国エリクセンHCは自国のことより先に上野の投球に賛辞連発

 ソフトボールの世界選手権(ZOZOマリン)は12日、決勝で世界ランク2位の日本が準決勝で敗れた同1位の米国に延長タイブレークの末に6-7で10回サヨナラ負け。7回完封した3位決定戦から“中3時間半”で先発したエース・上野由岐子(ビックカメラ高崎)が162球7失点で“魂の1日2完投”も力尽きた。一方、連覇で11度目の優勝を飾った米国のケネス・エリクセンヘッドコーチ(HC)は上野の超人的な投球を絶賛した。

 最後は米国の底力が上回った。10回表に2点を勝ち越され、万事休すかと思われたが、最強軍団はあきらめていなかった。その裏、無死二塁から始まるタイブレークで上野を攻めた。1死三塁からスポールディングの右前打で1点差に迫ると、2死一、三塁でムンロが左中間へのエンタイトルツーベースを放ち同点。続くスチュワートが三塁線を破り、逆転サヨナラ勝ち。最後は下位打線が上野を捉えての、劇的な優勝だった。

 試合後、まずエリクセンHCの口を突いたのは、チームのことよりも上野への賛辞だった。

「闘士のようなウエノ投手と戦うことができた。(1日で)17イニングを投げ切ったウエノ投手は素晴らしいとしか言いようがないよ。本当に素晴らしいなと感じる上野投手のパフォーマンス。1日で18人のバッターと対戦することはものすごいことなんだよ」と中3時間半で2試合、計17イニング、249球を投じた日本の大黒柱への称賛を惜しまなかった。

2年後にはさらに充実した布陣に?

 一方で2年後の東京オリンピックへ向けても、自国に大きな手応えを感じ取っている。

「一度オリンピックからソフトボールが抜けたよね。だけど、2016年にソフトボールがもう一度競技に戻ると信じてチームを作ってきたんだ。努力が報われたと思っている。16年の世界選手権も勝つことができた。今回も勝つことができて、いい経験を積めたんだ。ベテラン選手だけに頼るのではなくて、若い選手にフォーカスして作ってきた」

 エースで2008年の北京五輪を経験した33歳のエース、モニカ・アボット以外は、ほとんどの選手が20代半ばで構成されている。この日、先発した26歳のケイラニ・リケッツ投手ら、2年後にはまさにピークを迎えそうな面々がそろっている。さらには今後試したい選手もいるという。

 日本は今大会で米国と2度対戦して2敗。どちらもタイブレークの末の敗戦で実力差は紙一重だが、今後この差は開きかねない。2020年、立ちはだかる壁はやはり高く、分厚い。(THE ANSWER編集部)